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人を笑顔にするブドウの魅力に目覚めた、若き女性ファーマーの挑戦

人を笑顔にするブドウの魅力に目覚めた、若き女性ファーマーの挑戦

地域農業者育成のために、2016年から毎年JAバンク山梨が開催している「ニューファーマー育成スクール」。先進的な農業経営者や農業関係コンサルタントを講師に招き、マーケティング戦略、財務・労務管理など農業経営をテーマに10回程度の講義を実施する研修制度です。2023年度の修了生である山梨県甲州市の奥村 梓(おくむら あずさ)さんは、公務員を退職し実家のブドウ農家へ就農を決めました。農業に対してネガティブ思考だった奥村さんが、就農を選んだきっかけとは!?

家族3人でシャインマスカットなど90aのブドウを栽培

奥村さんは、ご両親と3人で90aほどのブドウを栽培していらっしゃいます。品種はシャインマスカットをメインに、巨峰、デラウェア、甲斐路、ワイン用の甲州など。そのほとんどを地元のJAに出荷されています。祖父の代から70年ほど続くブドウ農家に奥村さんが就農したのは、昨年1月のこと。元々は農業に対して否定的な考えしか持っていなかったのだとか。
「子供の頃から、両親の農作業を見て育ったので、農業は大変というイメージしかなかったんです。虫とか土いじりが苦手で『私は絶対に農家になりたくない!』って思っていたから、公務員の道に進みました」。

ブドウが秘めた「人を笑顔にする力」

大学卒業後、神奈川県内の市役所に入所。福祉担当部署で8年間活躍してきた奥村さんが、農業へのネガティブ思考を一新したきっかけは、両親が手掛ける“ブドウ”の存在でした。
「公務員として8年を過ごし、自分がやりたかったことがある程度達成できたので、次の新しい目標を模索していたんです。ちょうどその頃、実家のブドウを職場の人たちに購入してもらう機会がありました。『おいしかった』『知り合いにも贈りたい』って皆さんすごく喜んでくれて。こんなに人を笑顔にするブドウの力、農業の力ってすごい!って心を動かされたんですよ」。

スクールでは農業経営の大切さを学ぶ

ちょうど30歳を迎える節目だったこともあり、実家で就農しようと決意した奥村さん。早速、その準備段階として農業経営を学ぶため、「ニューファーマー育成スクール」の研修生となりました。最初は“農業経営”という言葉がピンと来なかった、と奥村さんは話します。
「カリキュラムを学んでいく中で、農業って他のビジネスと同じで“経営”が大事なんだ!って気付かされました。どんな客層にどんな商品を販売していくのか。どんな経営理念に基づいて営農をしていくのか。そんなことが重要だなんて目からウロコだったんです。農業全体を広い視野で捉えるための、良いきっかけになりました」。

ポジティブ思考の仲間に触発され、自信とやる気が

「他の研修生や講師の人々からすごく刺激を受けました」と話す奥村さん。自分の農業への姿勢がネガティブスタートだったので、熱意を持って就農を目指すポジティブな仲間の姿に触発されたのだそうです。
「脱サラ後に他県から移住して、こんな農業をやりたいという明確な理念を持った人たちの話や、講師の方の経営理念とか苦労話が聞けて、自信とやる気が湧いてきたんです」。

営農計画シート作りが、家族で農業を見つめ直すきっかけに

そんな奥村さんがカリキュラムの課題で作成した “営農計画シート”が、研修生の中の最優秀賞に選出。思わぬプラス効果もあったそうです。
「経営分析、戦略策定、戦術構築、収支計画といったテーマや経営理念について、両親と相談しながら計画シートを作成しました。それまで両親とは、細かい収支計算や経営理念の話なんてしたことが無かったので、家族で農業を改めて見つめ直す機会になったんです。今では、収益化に年数が掛かる新品種の導入に無関心だった父が、積極的に新しい品種を植えはじめ、先を見越した経営を考えるようになりました」。

病害虫防除作業も父の指導で勉強中

現在奥村さんは、夏はブドウの収穫や出荷作業で夜まで働き、秋冬は剪定、粗皮はぎなどの管理作業や売上の管理・分析と多忙な毎日を送っていらっしゃいます。
「特に春から夏は、ブドウの管理作業が多い。タイミングを逃すときちんと実が付かないから、とにかく忙しいんです。病害虫の防除作業担当は父なのですが、暑い時期にしなければならないので倒れないか心配(笑)。去年から少しずつ農薬の種類や散布時期などを教えてもらい、引き継げるように勉強している最中です」。

後は6次産業化にも挑戦し、地域にも貢献したい

奥村さんがスクールを修了し、実家に就農してから1年が経ちました。両親から以前の収支記録を見せてもらったとき、「もう少し売り上げを伸ばせるかも!?」と感じたそうです。
「まず直近の目標は経営を安定させること。そして、今後は従業員も雇用できるように収益をアップさせたい。ブドウを使って6次産業化にもチャレンジしてみたいですね」。
農業を通じて実家も地域も、もっともっと元気にしたい──と今後に思いを馳せる奥村さん。彼女のように元気なニューファーマーがもっと増えれば、山梨の農業はより活性化することでしょう。

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