サツマイモ(かんしょ)基腐病とは?
サツマイモ基腐病が深刻な理由
サツマイモ基腐病は、一度発生すると収穫量に大きな影響を及ぼします。収穫できるイモの数や品質が大幅に低下してしまいます。また、罹病株からの二次感染により畑全体に広がりやすいため、一度発生すると被害を抑えるのが困難です。
さらに、病原菌は罹病残渣中で長期間生存するため、翌年以降も影響を及ぼし、継続的な防除対策が必要になります。こうした特性から、サツマイモ基腐病は一度発生すると深刻な被害をもたらしやすく、特に発生地域では徹底した管理が求められます。
サツマイモ基腐病の発生地域
2018年に宮崎県や鹿児島県で初めて確認され、令和5年(2023年)1月時点で30都道府県以上で発生が確認されています。特に九州地方のサツマイモ産地で多発し、大きな被害が報告されています。
サツマイモ基腐病の厄介な点
この病気の厄介な点は、一度発生すると圃場に病原菌が長く残ることです。見た目には健全な苗やイモでも病原菌を保菌している場合があり、気づかないうちに被害が広がるケースも少なくありません。そのため、早期発見と防除対策を徹底し、被害の拡大を防ぐことが重要です。
サツマイモ(かんしょ)基腐病の主な症状と被害
茎の基部が黒く変色し、腐敗が進行
最も初期の症状は、茎の基部が黒く変色することです。最初は部分的な黒ずみですが、進行すると地上部の生育不良や萎(しお)れを生じます。
感染するとサツマイモの葉にも影響が及びます。葉の色は黄変・赤変し、萎れて、最終的には地上部全体が枯れ上がります。
イモの腐敗
基腐病に感染したサツマイモは、塊根(イモ)がなり首側(茎とつながる部分)から変色して腐敗するのが特徴です。感染した株では、収穫時にイモの腐敗が認められない場合でも、貯蔵中に腐敗が進み、接触した他のイモにも腐敗が広がる場合があります。
サツマイモ(かんしょ)基腐病の感染原因
感染した種苗(苗・種イモなど)を通じた伝染
サツマイモ基腐病の主な感染源は、病原菌に感染した苗や種イモです。見た目には健康そうな苗やイモでも、病原菌を保菌している場合があります。この状態で植え付けられると、採苗圃や本圃内に病原菌が持ち込まれ、感染が広がる原因となります。
・種イモの感染→病原菌が苗に感染し、育苗段階で拡散
土壌中の残渣から病原菌から感染
病原菌は、感染したサツマイモの茎、葉、根(イモ)の残渣の中で生存し、翌年の作付け時に感染源となります。
・連作→病原菌の密度が高まり、感染リスクが上昇
・汚染された土壌の移動→風や水、作業によって病原菌が拡散
水を介した病原菌の拡散
病原菌は降雨による水の流れを通じて広がることが知られています。特に、圃場内に水たまりができると、罹病株から周辺の健全な株へ二次感染するリスクが高まります。
・排水の悪い圃場では特に拡散しやすい
農機具や作業者を介した感染拡大
発生圃場の土壌が付着した、農機具・作業者の靴等を通して、圃場内や他の圃場へと広がることがあります。特に、発病した畑で使用したトラクターや長靴を消毒せずに別の畑で使うと、汚染が広がる可能性が高くなります。
・作業者の靴底に付着した土壌を通じて病原菌が移動する→健全な苗や圃場を汚染
サツマイモ(かんしょ)基腐病の防除方法
サツマイモ基腐病は、発病を未然に防ぐための防除対策が不可欠です。「持ち込まない」「増やさない」「残さない」の3つの原則に基づき、病原菌の侵入を防ぎ、圃場内での拡散を抑え、次作に影響を残さないように管理することが重要です。
健全な苗の確保と植え付け前の対策
サツマイモ基腐病を防ぐ第一のステップは、病原菌を圃場に持ち込まないことです。そのためには、無病の健全な苗を使用することが不可欠です。ウイルスフリー苗を利用するほか、種イモや苗の消毒を徹底し、感染リスクを最小限に抑えましょう。また、採苗圃は土壌の消毒を行い、病原菌の繁殖を防ぐ必要があります。
さらに、圃場の環境整備も重要です。排水性の悪い圃場では病原菌が拡散しやすいため、排水溝の設置や高畝栽培を行い、水はけの良い状態を維持することが必要です。
発病株の早期発見と除去
基腐病は、初期段階では葉の黄変や茎の黒変といった症状が見られます。圃場を定期的に巡回し、発病株の早期発見と除去に努めましょう。
発病した株を放置すると、胞子が雨によって広がり、周囲の株に感染が拡大します。発病株を除去する際は、抜き取った株を袋などに入れて圃場外に持ち出し、適切に処分することが必要です。また、作業後には農機具や靴についた土を洗い流し、消毒を行うことで、ほかの圃場への拡散を防ぐことができます。
適切な農薬の使用
病原菌の被害拡大を防ぐためには、防除効果のある農薬を適切に使用することも重要です。今回紹介するフリント®フロアブル25は、植え付け前に圃場全体に散布・土壌混和することで、土壌中の病原菌密度を低下させる働きがあります。
植え付け後に基腐病に効果のある茎葉散布剤と組み合わせて防除することで、より高い効果を得ることが可能です。
おすすめはフリント®フロアブル25
ここまで説明したように、サツマイモ基腐病は、一度発生すると急速に広がり、深刻な収量減少を引き起こす厄介な病害です。また、病原菌は土壌や罹病残渣に潜伏し、適切な対策を講じなければ翌年以降も発生リスクが続きます。
そのため、防除には発病を未然に防ぐ予防的な処置と、発生初期に病害の拡大を抑える管理が不可欠です。前者の対策において、フリント®フロアブル25は高い効果を発揮する殺菌剤です。
フリント®フロアブル25の特長
フリント®フロアブル25は、植付前の全面散布土壌混和処理により土壌中の病原菌の密度を低下させることで、圃場全体の感染リスクを抑制する殺菌剤です。
フリント®フロアブル25の使用方法

フリント®フロアブル25のチラシより画像を引用
植付前の土壌処理
フリント®フロアブル25は、植付前に圃場全体に無人航空機(ドローン)や地上散布を行い、土壌混和することで、土壌中の病原菌密度を抑制します。この処理により、土壌からの初期感染を防ぐことが可能になります。
生育期間中の散布
基腐病は生育途中にも拡散するため、圃場での感染拡大を防ぐために基腐病に有効な薬剤の茎葉散布と組み合わせた防除対策が必要です。
まとめ
サツマイモ基腐病は、一度発生すると収穫量が大幅に減少し、翌年以降の作付けにも影響を与える深刻な病害です。防除には基腐病菌を「持ち込まない」「増やさない」「残さない」対策が重要であり、「増やさない」対策の一つとして、フリント®フロアブル25の植付前の土壌散布混和処理がおすすめです。
フリント®フロアブル25の詳しい製品情報や使用方法については、公式HPをご覧ください。
さらに、サツマイモ栽培ではセンチュウ被害も大きな課題となっており、基腐病と同様にセンチュウ対策も求められています。基腐病対策に有効なフリント®フロアブル25と、センチュウ対策に有効なビーラム®プライムフロアブルを混用処理することで、基腐病とセンチュウの同時防除が可能となり、作業の効率化も実現できます。
ビーラム®プライムフロアブルの詳しい製品情報や使用方法については、公式HPをご覧ください。