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はるかとはどんな柑橘? 旬の時期や栽培する方法も解説

はるかとはどんな柑橘? 旬の時期や栽培する方法も解説

はるかは、福岡県糸島市で偶然発見された柑橘で、レモンのような黄色い見た目とは裏腹に、酸味が少なく、上品な甘さが特徴です。現在は愛媛県や広島県などで栽培され、希少性の高い柑橘として注目されています。適切な環境で育てれば、家庭でも栽培が可能です。本記事では、はるかの特徴や栽培方法、おいしい食べ方について詳しく解説します。

はるかとは?


はるかは、見た目がレモンのように鮮やかな黄色ですが、酸味が少なく、まろやかな甘さを楽しめる珍しい柑橘です。

はるかの誕生の経緯

はるかは、福岡県糸島市で発見された柑橘です。1980年代の柑橘の交配試験中に偶然生まれた品種で、親は日向夏と考えられています。当初は市場に出回ることは少なかったものの、近年ではその独特な甘さと爽やかさが評価されています。

品種登録の歴史

はるかは、1996年に品種登録されました。見た目がレモンのような柑橘は珍しく、それでいて酸っぱくないという特性もユニークだったため、市場でも徐々に注目を集めました。現在は、福岡県を中心に愛媛県や広島県などでも栽培されています。

はるかの特徴


次は、はるかの特徴について紹介していきます。見た目や味わい、旬の時期などを知ることで、もっとはるかを楽しめるようになりますよ。

レモンに似た黄色い果皮

はるかは、ひと目見ただけではレモンと間違えそうなほど、鮮やかな黄色をしています。しかし、レモンとは違い、皮は厚めでゴツゴツした質感があり、表面にやや凹凸があります。この見た目のユニークさも、はるかの魅力のひとつですね。

酸味が少なく、上品な甘さ

見た目はレモンに似ているのに味は全く違うので、実際に食べてみると驚くこと間違いなし。はるかは酸味が少なく、優しい甘さを楽しめます。

この甘さの秘密は、クエン酸の含有量が少ないこと。一般的な柑橘はクエン酸が多く含まれているため、爽やかな酸味を感じますが、はるかはこのクエン酸が少ないため、酸っぱく感じにくいのです。

旬の時期は2月上旬~3月下旬

はるかが市場に出回るのは、2月上旬~3月下旬頃。ちょうど柑橘のシーズンが終盤に差し掛かる時期なので、スーパーや果物専門店で見つけたら、ぜひ手に取ってみてください。特に、3月頃のはるかはしっかりと甘みがのっていて食べ頃ですよ。

また、保存性も高いので、冷暗所に置いておけば、比較的長持ちするのもうれしいポイントです。

はるかを栽培する方法は?

適した気候と土壌

はるかは柑橘類の一種なので、温暖な気候を好みます。特に以下のような環境でよく育ちます。

温暖な地域

はるかは、主に福岡県や愛媛県、広島県などの温暖な地域で栽培されています。冬場の気温があまり下がらない地域が理想的で、寒冷地では露地栽培が難しいです。

寒冷地で栽培する場合は、鉢植えにするのがおすすめです。冬に室内や軒下へ移動して低温を避けることができます。直径30cm以上の大鉢を使い、2~3年ごとに植え替えや土替えをしましょう。冬は5~10℃を保てる室内に置き、霜よけや防寒材を活用し、朝晩の水やりは控えましょう。

日当たりの良い場所

日光をたっぷり浴びることで甘みが増すため、日当たりの良い場所に植えるのがベストです。特に、南向きの斜面などは日照時間が長く、栽培に適しています。

水はけの良い土壌

柑橘類は湿気を嫌うため、水はけの良い土壌が理想的です。排水が悪いと根腐れの原因になるため、植え付ける際は砂質壌土や火山灰土などの水はけが良い土壌を選びましょう。

植え付け時期と方法

はるかの苗木を元気に育てるためには、適切な植え付け時期と正しい方法を知っておくことが大切です。植え付けのタイミングを間違えると、苗木がうまく根付かず、成長が遅れてしまうことがあります。

植え付けに最適な時期

植え付けに適しているのは、春(3月~4月)または秋(9月~10月)です。春植えは、気温が上がるにつれて根が活発に成長し、木が順調に育ちやすくなります。秋植えの場合は、冬の寒さに備え、しっかりと根を張るように管理することが大切です。寒冷地では冬越しが難しいため、春植えがよりおすすめです。

植え付けの手順

まず、直径50cm・深さ40cmほどの植え穴を掘り、そこに堆肥や腐葉土を混ぜて土壌を改良します。植える際は、接ぎ木部分が地面より5cmほど上になるように調整し、根が傷まないように丁寧に植え付けます。土を戻した後は、根がしっかりと馴染むようにたっぷりと水を与えましょう。最後に支柱を立てて苗木を固定すると、風などで倒れにくくなります。

剪定と施肥のポイント

「はるか」を健康に育て、おいしい果実を実らせるためには、適切な剪定と施肥が欠かせません。剪定を行うことで日光や風通しを確保し、病害虫の発生を抑えることができます。また、施肥は木の成長を助け、果実の品質を向上させるために重要です。

剪定の基本

剪定の適期は2月~3月(冬剪定)と6月~7月(夏剪定)の年2回です。冬剪定では、枯れ枝や病気の枝を取り除き、樹形を整えます。夏剪定では、内側に向かって伸びた枝や絡み合った枝を切り、風通しを良くすることで病害の発生を防ぎます。また、養分を無駄に消費する徒長枝(勢いよく伸びすぎた枝)も適度に間引くと、果実が良く育つようになります。

場合によっては摘花・摘果が必要

はるかの場合、他の柑橘類ほど大規模な摘花・摘果は必要ありませんが、必要に応じて行うと品質面でメリットがあります。一枝に果実が集中しすぎると、1つひとつが小さくなったり樹が疲れて翌年の結実に影響が出たりすることがあるためです。
摘果の際は、果実が密集している部分だけ軽く摘果すると良いでしょう。もともと大量着果しにくい品種なので、無理に摘花・摘果をする必要がない場合も多いです。木が弱っていたり果実が過剰気味だと感じたら、適度に間引いて樹勢を保つように心がけます。

施肥のポイント

施肥は年3回(2月・6月・9月)に行うのが基本です。2月の寒肥(かんごえ)では有機肥料や緩効性肥料を与え、新芽の成長を促します。6月には速効性の化成肥料を施し、果実の肥大をサポート。9月の施肥は、翌年の花芽を充実させるために有機肥料を中心に与えます。肥料は根元ではなく、木から少し離れた場所に施すのがポイントです。根の先端部分が養分を吸収するため、適切な場所に施肥することで、木の成長がより促進されます。

病害虫対策

はるかの木を健康に育てるためには、病害虫対策が欠かせません。特に、柑橘類に発生しやすいかいよう病やそうか病には注意が必要です。これらの病気は湿気が多い時期に発生しやすいため、風通しを良くするための剪定や、梅雨前の殺菌剤散布が効果的です。

害虫では、新芽を狙うアブラムシや、葉を傷つけるミカンハモグリガ・アゲハチョウの幼虫、乾燥時期に増えるハダニに注意が必要です。これらの害虫は発生初期に駆除することが重要で、水やりで葉裏を洗い流したり、天敵(テントウムシ)を活用したりするのが有効です。発生がひどい場合は適切な農薬を使用し、定期的に防除を行いましょう。

収穫のタイミングと方法

はるかの果実は、適切なタイミングで収穫することで、甘みや風味を最大限に楽しむことができます。収穫が早すぎると酸味が抜けきらず、逆に遅すぎると風味が落ちてしまうため、見た目と手触りを確認しながら適切な時期に収穫しましょう。

収穫の最適なタイミング

はるかの収穫期は2月~3月が目安です。果実がレモンのような鮮やかな黄色になり、表面にツヤが出たら食べ頃のサインです。収穫前に果実を軽く触ってみて、適度な弾力があれば完熟している証拠。樹上で長く置きすぎると風味が落ちることもあるため、適期を見極めて収穫しましょう。

収穫の方法と保存

はるかの果実はヘタがしっかりとついているため、手でもぎ取るのではなく、ハサミを使って収穫するのが基本です。ヘタのぎりぎりではなく、枝を少し残すようにしてカットすることで、果実が傷みにくくなります。収穫後は、風通しの良い冷暗所で保存すれば1週間程度持ちます。冷蔵庫の野菜室に入れると、2~3週間ほど鮮度を保つことができますが、乾燥を防ぐために新聞紙などで包んでおくと良いでしょう。

はるかのおいしい食べ方


はるかは酸味が少なく、まろやかな甘さが特徴で、そのまま食べるのに最適な品種です。

はるかをおいしく食べるコツ

冷やして食べる

常温でもおいしいですが、冷蔵庫で数時間冷やすと、甘みがより引き立ちます。

カットして食べる

はるかは皮が厚いため、ミカンのように手でむくのは難しく、ナイフを使ってカットするのが一般的です。詳しい手順は後述します。

スプーンですくって食べる

皮が厚めなので、グレープフルーツのように半分にカットしてスプーンですくって食べる方法もおすすめです。果肉が柔らかくジューシーなため、スプーンを使うことで食べやすくなります。

ヨーグルトやグラノーラと一緒に

はるかのさっぱりとした甘さは、ヨーグルトとの相性抜群です。カットした果肉をヨーグルトにのせたり、グラノーラと混ぜたりすると、ヘルシーな朝食やおやつになります。

ナイフでカットする方法

はるかは皮が厚いため、ミカンのように手でむくのは難しい柑橘です。ナイフを使ってカットすると食べやすく、料理やデザートにも使いやすくなりますよ。

上下をカットする

まず、はるかをまな板の上で横向きに置き、ヘタの部分と反対側を薄く切り落とします。こうすることで、皮をむきやすくなります。

外皮をそぎ落とす

ナイフを使って、皮をそぐようにむきします。白いワタの部分が少し残っても問題ありませんが、できるだけ薄くそぐことで、果肉の甘さをダイレクトに楽しめます。

最後はそぎ切りで仕上げる

皮をむけたら、種の多い中心の芯の部分を残すように包丁でそぎ切りにすれば完成です。食べやすく、そのままでも料理に使っても楽しめますよ。

新鮮なはるかの見分け方


新鮮でおいしいはるかを選ぶためには、以下のポイントに注目しましょう。

皮の状態

鮮度の良いはるかは、皮にハリとツヤがあります。皮がしなびていたり、傷があるものは避けましょう。

ヘタの色

ヘタが鮮やかな緑色をしているものは新鮮な証拠です。収穫から時間が経つと、ヘタが茶色く変色してくるため、緑色のヘタを目安に選ぶと良いでしょう。

重量感

同じ大きさであれば、手に持ったときにずっしりと重みを感じるものを選びましょう。重いはるかは果汁がたっぷり含まれており、ジューシーでおいしいです。

まとめ

はるかは、見た目と味わいのギャップが魅力の柑橘で、甘さと爽やかさのバランスが絶妙です。適した環境で育てればおいしい果実を収穫でき、剪定や施肥を適切に行うことで健康な木に育ちます。購入の際は、皮にツヤがあり、ずっしり重みのあるものを選びましょう。

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