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谷中ショウガってどんな野菜? 旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを解説

sato tomoko

ライター:

連載企画:解説!全国伝統野菜

谷中ショウガってどんな野菜?  旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを解説

夏の風物詩として親しまれている葉ショウガ。葉付きのまま若採りされたショウガで、緑の葉茎、白い根茎、そしてその境目に現れるほのかなピンク色が目にも鮮やかです。中でも「谷中ショウガ」は、葉ショウガの代表格として広く知られています。江戸時代に谷中本村で栽培が始まり、現在では江戸東京野菜の一つにも認定されている伝統野菜です。現在の主な産地は異なるものの、その味わいや食文化は、今もなお夏の食卓に受け継がれています。本記事では、一般社団法人日本伝統野菜推進協会の取材協力の下、谷中ショウガの特徴、栽培方法、食べ方、レシピをご紹介します。

谷中ショウガとはどんな野菜

ザルにのった谷中ショウガ

谷中ショウガ(谷中生姜)は、ショウガ科ショウガ属の野菜で、ショウガを若採りした葉ショウガの一種です。根茎を食用とします。かつて東京の谷中本村(現在の荒川区西日暮里周辺)で盛んに栽培され、江戸後期には同地の特産品として広く知られていました。

葉ショウガの栽培に適しているのは、水に恵まれ、水はけが良く、西日を避けられる場所です。ちょうどその条件がそろっている谷地に位置する谷中本村産の葉ショウガは「筋が少なく香りが高い」と評判だったと言います。

谷中ショウガは、江戸期に始まり東京の野菜文化を継承するとともに、種苗の大半が自家採種および在来種、または在来の栽培法等に由来する野菜として、JA東京中央会により「江戸東京野菜」のひとつに認定されています。

関東大震災後、同地では都市部からの人口流入などの影響で農地が減り、戦前にはすでに谷中ショウガの栽培は見られなくなりました。現在、葉ショウガの主な産地は千葉県や静岡県となっており、葉ショウガ全般を指して「谷中ショウガ」と呼ぶこともあります。

味の特徴

一般的な根ショウガや新ショウガと比べて辛みと香りが穏やかで、繊維質が少なく、やわらかいので生でも食べられます。みずみずしくシャキッとした歯ざわりで、爽やかな香りと辛みが口の中に広がります。

矢ショウガ、はじかみとの違い

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矢ショウガは、葉ショウガの一種ですが、太陽光を遮って軟化栽培したもので、根は白く、茎は鮮やかな紅色で、矢のように見えることからその名が付けられました。筆ショウガ、芽ショウガ、軟化ショウガとも呼ばれています。

また、はじかみは、矢ショウガを甘酢漬けにしたものです。いずれも日本料理店で焼き魚などの添え物などに利用されています。

旬の時期

谷中ショウガ(葉ショウガ)は、ハウス栽培のものが4月下旬ごろから出荷され、露地栽培のものが7月~9月ごろに出回ります。旬は夏の盛りの7〜8月です。

かつて東京では、谷中ショウガは熱い夏の食欲増進のため江戸っ子の食卓に上り、お盆の手土産や贈答品とされたことから「盆ショウガ」とも呼ばれていました。

含まれている主な栄養や効果

谷中ショウガの可食部である根茎には、ショウガ(根ショウガ・新ショウガ)と同様の栄養成分が含まれています。ショウガは独特の香り成分と辛み成分を持ち、漢方薬やアロマセラピーの精油の原料としても使われています。栄養成分としては、特にマンガンが多く含まれています。

ジンゲロール

生のショウガに多く含まれる辛み成分のひとつで、血流を促進する作用があるとされています。また、殺菌作用や抗炎症作用があり、食中毒の防止、風邪予防などに用いられています。加熱・乾燥させるとショウガオールに変化します。

ショウガオール

ショウガに含まれる辛み成分のジンゲロールが、加熱や乾燥によって変化した成分で、胃腸を刺激して内臓の働きを活発にします。体を温める効果があるとされ、冷え性の改善などに用いられています。

ジンギベレン

ショウガに含まれる香り成分のひとつで、食欲増進や消臭効果があるとされています。

マンガン

ミネラルの一種で、成人の体内に12~20mg含まれ、骨・肝臓の酵素作用を活性化し、骨の生成を促進する他、コレステロールの合成やエネルギーを作る働きがあります。ショウガ以外にも、種実類、玄米、のりなどの食品に多く含まれています。

谷中ショウガの育て方

種ショウガ

谷中ショウガはショウガを若採りしたもので、栽培は種ショウガのうち早生~中生の小ショウガ品種を用います。
5月に植え付け、7月下旬ごろが収穫の目安(一般的なショウガは10~11月収穫)です。高温多湿を好み、乾燥に弱いため保湿性がある用土が適しています。プランター栽培も可能です。

畑の準備

植え付けの2週間前までに畑に苦土石灰をまいて耕し、1週間前に元肥をまいて幅60cmほどの畝を立てておきます。プランター栽培には野菜用培養土が手軽です。

植え付け

種ショウガは3コブ(重さ60~70g)程度に手で割り、株間30cm、深さ10cmの穴に芽を上にして植え付け、土を被せたら押さえつけて鎮圧し、適度に水を与えます。

管理・水やり

発芽まで1カ月以上かかります。乾燥に弱いため、土の表面が乾いたら適宜水やりをします。6月頃、追肥をして土寄せをします。乾燥を防ぐため、プランターは日陰に置くと良いでしょう。

収穫

7~8月ごろ、葉が7~8枚つき、根元が太くなってきたら収穫期。根元を持って株全体を引き抜いて収穫します。

調整前の葉ショウガ

谷中ショウガを育てる時に注意したい病害虫と対策

ショウガは病害虫に比較的強い方ですが、連作すると根茎腐敗病などの病気が発生しやすくなります。ここでは谷中ショウガ栽培期の初夏から夏に注意したい病害虫とその対策を紹介します。

根茎腐敗病

糸状菌の一種によって引き起こされ、高温多湿の条件で発生しやすくなります。感染初期には葉茎の地際部が黒緑色の水浸状に変色し、病気が進行すると変色が広がり、組織が軟化して立ち枯れてしまいます。予防として、ショウガの連作を避け、水はけの良い土壌で、健全な種ショウガを用いて栽培します。病状の発生が見られた葉茎は株ごと引き抜き、畑の外で処分します。

ハスモンヨトウ

ショウガを食害する代表的なヨトウムシの種類です。幼虫が葉や茎を食害します。植え付け前に土壌をよく耕し、幼虫や蛹を見つけたら駆除します。防虫ネットをかけて成虫の飛来を防ぐのも一手です。

おいしい谷中ショウガの選び方

谷中ショウガは鮮度が大事です。葉の緑色が濃く、根の部分が白色で、茎の付け根のピンク色がくっきりしているものが新鮮です。乾燥していない、みずみずしいものを選びましょう。

ピンク色がいれいな葉ショウガ

谷中ショウガの保存方法

谷中ショウガ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。特に乾燥を防ぎたい白い根の部分は、水で湿らせたキッチンペーパーで包んでおくと良いでしょう。

谷中ショウガの基本的な食べ方とレシピ5選

やわらかく辛みが穏やかな谷中ショウガは、下処理して生のままみそをつけて食べたり、甘酢漬けなどに調理して魚料理の付け合わせに用いられるのが定番です。葉茎を持って手軽に食べられることもポイント。ここでは、その特徴である葉茎を生かしたレシピを紹介します。

どこまで食べられる?

緑色の葉茎は硬く筋っぽいため、基本的には白い根茎の部分を食べますが、葉を次々とむき進めると現れる軟白部分も食べることができるそうです。機会があれば試してみてください。

葉ショウガの可食部

下処理の方法

1.葉茎は用途に合わせた長さに切り落とす
2.水洗いして水気を切る
3.根茎がくっついている場合は手で割って離す
4.硬い皮や汚れがあれば、包丁の背などで軽くそぎ落とす

葉ショウガの下処理

みそディップ

谷中ショウガのみそディップ

谷中ショウガの爽やかな香りと辛みに、みそのコクがマッチ。手軽でシンプルながら食欲をそそる一品です。

材料(5~6本分)
・谷中ショウガ        5~6本
・みそ(白または合わせみそ) 大さじ2
・白すりごま         大さじ1
・みりん           小さじ1 
・ごま油           小さじ1 
・一味唐辛子(または七味)  少々

作り方
1.谷中ショウガは下処理する
2.ボウルに残りの材料を入れて混ぜ合わせる
3.皿に1を盛り付け、2を添える

ピクルス

ピクルス

甘酢漬けにすることが多い谷中ショウガですが、甘さ控えめのピクルスは肉料理の付け合わせにもぴったり。酢漬けにすることでピンク色の部分がより鮮やかになります。

材料(5~6本分)
・谷中ショウガ       5~6本
・酢            100ml 
・水            100ml   
・砂糖           大さじ2 
・塩            小さじ1/2 
・ローリエ         1枚 
・黒こしょう(粒)     5〜6粒 
・赤唐辛子(種を取る)   1本

作り方
1.谷中ショウガは下処理し、根の部分を熱湯に10秒程度くぐらせて、清潔な容器に入れる
2.小鍋に酢、水、砂糖、塩を入れて火にかけ、ひと煮立ちさせて砂糖と塩を完全に溶かす
3.火を止めたら、ローリエ・黒こしょう・赤唐辛子を加えて粗熱を取り、1に注ぎ入れる
4.冷蔵庫で半日~1日置いて漬け込む

肉巻きフライ

肉巻きフライ

根茎を肉巻きしてフライにした串カツ風の一品。ショウガの歯応えと爽やかな辛みも効いて、揚げ物もあっさりと食べられます。

材料(2人分)
・谷中ショウガ       6本
・豚バラ肉(薄切り)    3枚
・塩こしょう        適量
・薄力粉          大さじ2
・卵(溶いておく)     1個
・パン粉(細目)      1/2カップ
・揚げ油          適量

作り方
1.谷中ショウガは、葉茎を10cm程度残して下処理をする
2.豚バラ肉は半分に切り、塩こしょうする
2.谷中ショウガに豚バラ肉をしっかりと巻きつける
3.薄力粉、溶き卵、 パン粉の順で衣をつける
4.170〜180℃の油で、衣がきつね色になるまで5分ほど揚げ、油をよく切り、器に盛る
※好みでソース、塩、レモン(いずれも分量外)で食べる

谷中ショウガつくね

谷中ショウガつくね

葉茎を串に見立てたふわふわのつくね串は、ショウガの風味と好相性の甘辛タレで照り焼き風に。ボリュームがあり、おかずにもなります。

材料(2人分)
・谷中ショウガ       6本
・青じそ          3枚
・鶏ひき肉         200g
・卵            1個
・パン粉          大さじ2
・片栗粉          小さじ1
・塩こしょう        適量
<照り焼きタレ>
・酒            大さじ1     
・砂糖           大さじ1/2
・みりん          大さじ1
・しょうゆ         大さじ1

作り方
1.谷中ショウガは葉茎を持ちやすい長さに切り下処理する。青じそはみじん切りにする
2.ボウルに鶏ひき肉、卵、パン粉、片栗粉、塩こしょう、青じそを入れ、粘りが出るまでしっかり混ぜる
3.2を小判型にまとめ、谷中ショウガを包むように成形する
4.フライパンに油(分量外)をひき、中火で両面に焼き色をつけたら弱火にし、フタをして3〜4分蒸し焼きにして中まで火を通し、皿などに取り出す
5.フライパンに照り焼きタレの材料を入れて火をかけ1分ほど煮詰め、4のつくねを戻してタレを絡める

天ぷら

天ぷら

谷中ショウガの香りと風味を生かした上品な天ぷら。季節野菜の天ぷらに1本プラスしても存在感が光ります。

材料(2人分)
・谷中ショウガ       6本
・天ぷら粉         1/2カップ(約50g)
・水            75ml(天ぷら粉の表示に準ずる)
・揚げ油          適量
・塩            適量

作り方
1.谷中ショウガは下処理する
2.天ぷら粉と水を混ぜ、衣を作る(混ぜすぎない)
3.油を中火(170~180℃)に熱し、谷中ショウガの根の部分を2にくぐらせ、1分~1分半ほど衣がきつね色になるまで揚げ、油をよく切って器に盛り、塩でいただく 

食卓を粋に彩る、葉付きショウガの代名詞

谷中ショウガは、江戸時代から谷中本村で栽培されてきた上質な葉ショウガのこと。江戸っ子に親しまれた「谷中ショウガ」の名は、今や葉ショウガ全般の代名詞として広く知られています。

現在では千葉県や静岡県などが主な産地となっていますが、その伝統と呼び名は引き継がれ、江戸東京野菜にも認定されています。谷中ショウガは家庭菜園やプランターでも栽培しやすく、早い時期に収穫できるので、ショウガに慣れていない人にもおすすめです。鮮度が命の谷中ショウガを、採れたての状態で味わえるのも魅力。

爽やかな香りとやさしい辛みは、みそをつけて丸かじりしたり、甘酢漬けにしたりと、素材を生かしたシンプルな食べ方はもちろん、葉茎を生かした串料理にもぴったり。食欲増進や身体を温める効果もあるので夏バテ対策にも重宝され、粋な江戸の食文化を今に伝える夏の風物詩です。

取材協力:日本伝統野菜推進協会

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