タマネギと特に相性の良い野菜・ハーブなど5選
タマネギは、特定の野菜やハーブと一緒に植えることで、害虫を防いだり、成長を促したりする効果が期待できます。
特に相性が良いのは、ニンジン・ホウレンソウ・レタス・カモミール・クリムゾンクローバーの5つ。それぞれ病害虫の予防や土壌改良、栽培環境の向上などに役立ちます。これらの植物が持つ具体的な効果や、タマネギと一緒に植える際のポイントを見ていきましょう。
ニンジン
ニンジンにはタマネギバエという害虫を遠ざける効果があるといわれています。そのため、タマネギと一緒に植えることで、害虫防除の役に立ちます。また、タマネギはニンジンの根を病気から守る効果があるともいわれており、お互いに良い効果が期待できます。
ニンジンもタマネギも柔らかい土を好む作物なので、事前に土をよく耕しておくことが大切です。また、ニンジンをうまく発芽させるには、土を乾かさないことが重要です。しかし、種が小さく雨風で流されやすいので、水やりの際は注意しましょう。
ホウレンソウ
ホウレンソウとタマネギにはお互いに付きやすい害虫や病気を抑える効果があります。一緒に植えることで、農薬の使用を抑えながら健康的に育てることができます。
また、タマネギとホウレンソウは必要な肥料分が異なるため、近くで育てても肥料の奪い合いが少なく、育てやすいというメリットも。
一緒に栽培する際は、成長したホウレンソウがタマネギと重なってしまわないように株間にゆとりを持って種まきするようにしてください。
レタス
レタスはタマネギと一緒に植えることで、土壌の乾燥を防いでくれます。また、タマネギにはレタスの成長を促進する効果があります。
レタスは高温に弱く、酸性土壌や水切れ・過湿を嫌います。栽培難易度がやや高い野菜なので、土壌作りや栽培管理などは怠らないよう心がけましょう。
カモミール
タマネギとカモミールは、コンパニオンプランツとして相性が良い組み合わせの一つです。カモミールには強い香りがあり、タマネギに付きやすい害虫を予防する効果が期待できます。
カモミールもニンジンと同じように種が非常に小さいため、発芽するまでの水やりは注意して行いましょう。
クリムゾンクローバー
タマネギに付きやすいアザミウマの対策として効果が期待できます。クリムゾンクローバーを周囲に植えることで、アザミウマを引き寄せ、タマネギへの被害を軽減する働きがあります。
マメ科のクリムゾンクローバーとネギの仲間であるタマネギは、お互いに良いところを打ち消し合ってしまうこともあるので、一緒に栽培する際は近付け過ぎないようにしましょう。
相性の良い組み合わせと効果を紹介
タマネギと相性の良いコンパニオンプランツは、これまでに紹介したニンジン、ホウレンソウ、レタス、カモミール、クリムゾンクローバーの他にもいくつか存在します。以下に、タマネギと特に相性の良い植物をまとめます。
野菜編
まずは野菜編です。
ウリ科作物のキュウリやスイカは、タマネギと混植することでツル割れ病の予防効果があるといわれています。
テンサイは互いの成長を促進する他、テンサイの葉が広がることで土壌の乾燥や雑草の発生を抑えてくれます。
セロリの強い香りはタマネギの害虫を遠ざける効果があります。
コンパニオンプランツ | 分類 | 成長の促進 | 病害虫の予防 | 株元の保湿 | オススメ度 |
---|---|---|---|---|---|
ニンジン | セリ科 | 〇 | ☆☆ | ||
ホウレンソウ | ヒユ科 | 〇 | 〇 | ☆☆☆ | |
レタス | キク科 | 〇 | 〇 | ☆☆ | |
ウリ科作物 | ウリ科 | 〇 | ☆ | ||
テンサイ | ヒユ科 | 〇 | 〇 | ☆☆☆ | |
セロリ | セリ科 | 〇 | 〇 | ☆☆ |
ハーブ・花編
次にハーブ・花を見ていきましょう。
マリーゴールドは土壌中のセンチュウを抑制する効果があり、害虫がマリーゴールドの香りを嫌って寄り付きにくくなるといわれています。
タイムとセージにはアオムシやハエなどを遠ざける効果があります。
ミントも強い香りで害虫を遠ざけてくれますが、繁殖力が強いため地植えにせず、鉢植えにするなどの工夫が必要です。
コンパニオンプランツ | 分類 | 病害虫の予防 | 株元の保湿 | オススメ度 |
---|---|---|---|---|
カモミール | キク科 | 〇 | 〇 | ☆☆☆ |
クリムゾンクローバー | マメ科 | 〇 | ☆☆ | |
マリーゴールド | キク科 | 〇 | 〇 | ☆☆☆ |
タイム | シソ科 | 〇 | ☆☆ | |
セージ | シソ科 | 〇 | ☆☆ | |
ミント | シソ科 | 〇 | 〇 | ☆☆☆ |
混植に適さない野菜を紹介
タマネギと相性の悪い野菜を一緒に植えると、生育が阻害されたり、病害虫のリスクが高まることがあります。以下に、特に注意すべき組み合わせとその理由をまとめます。
混植に適さない野菜 | 分類 | 理由 |
---|---|---|
インゲンマメ | マメ科 | タマネギの根に共生する微生物がマメ科植物の根粒菌を抑制し、マメ科植物の生育を阻害してしまう |
エンドウマメ | マメ科 | 同上 |
ソラマメ | マメ科 | 同上 |
キャベツ | アブラナ科 | アブラナ科の野菜がタマネギの成長を抑制してしまう |
ブロッコリー | アブラナ科 | 同上 |
カリフラワー | アブラナ科 | 同上 |
イチゴ | バラ科 | タマネギがイチゴの成長を抑制してしまう |
後作に適した野菜・後作に適さない野菜を紹介
タマネギの収穫後、同じ畑で次に何を栽培するかは、土壌の健康や作物の生育に大きく影響します。適切な後作を選ぶことで、連作障害を避け、効率的な畑作りが可能になります。一方、タマネギの後作として避けた方が良い野菜も存在します。それぞれ見ていきましょう。
後作に適した野菜
タマネギの後作に適した野菜は、サツマイモ・カボチャ・ナス・ピーマン・オクラとなります。もちろんここにピックアップした野菜以外も栽培可能です。次の章で解説しますが、マメ科・ネギ類の作物以外であれば、何でも大丈夫です。
後作に適した野菜 | 分類 | 理由 |
---|---|---|
サツマイモ | ヒルガオ科 | 連作障害が起きにくく、栽培期間もちょうど合う |
カボチャ | ウリ科 | 立枯病が発生しにくくなり、ツルボケしづらくなる |
ナス | ナス科 | 連作障害が起きにくく、輪作にちょうど良い |
ピーマン | ナス科 | 同上 |
オクラ | アオイ科 | 栽培期間がちょうど良く、害虫被害も少なく育てやすい |
後作に適さない野菜
タマネギの後作で避けたい野菜は、ネギ・ニラ・エンドウマメ・ソラマメなどです。
タマネギと同じ仲間であるヒガンバナ科ネギ属の野菜は、続けて育てると連作障害が起きてしまう可能性があるので避けましょう。
また、マメ科の根に共生している根粒菌とタマネギの根に共生している微生物は相性が悪いことで知られています。タマネギ収穫後であっても、土壌中には微生物が残っているので生育に悪い影響を与える可能性があるので、避けた方が無難でしょう。
後作に適さない野菜 | 分類 | 理由 |
---|---|---|
ネギ | ヒガンバナ科 | 連作障害発生のリスクが高まるため |
ニラ | ヒガンバナ科 | 同上 |
エンドウマメ | マメ科 | マメ科の根に共生する根粒菌とタマネギの根に共生している微生物の相性が悪いため |
ソラマメ | マメ科 | 同上 |
前作に適した野菜・前作に適さない野菜を紹介
タマネギと相性の良い野菜を前作にすることで、土壌の肥料バランス改善や、タマネギの生育促進に効果があります。連作障害のリスクを軽減し、収穫量アップにもつながりますよ。
前作に適した野菜
タマネギの前作に適した野菜は、次の3つです。
◯サツマイモ
サツマイモには土壌をふかふかにする効果があり、タマネギの根張りを良くするメリットがあります。また、連作障害に強いのも特徴です。
◯キュウリ
キュウリは、タマネギと同じ連作障害の影響を受けにくい作物のため、前作に適しています。また、ウリ科の植物は根が広がりやすく、土壌の団粒構造を改善するため、タマネギの根が張りやすい環境を作る助けになります。
◯オクラ
オクラの根は深く張るため、土をほぐす効果があります。これにより、後作のタマネギの根が伸びやすくなり、土壌の水はけや通気性が向上します。落ちたオクラの葉を土壌に混ぜ込むことで、微生物が豊富な土壌を作る助けにもなります。
前作に適さない野菜
タマネギの前作に適さない野菜は、ヒガンバナ科の作物です。タマネギも同じヒガンバナ科なので、ネギやニラなどを前作・後作にすると連作障害を起こす可能性があります。
筆者の体感的に、数回程度の連作であれば、しっかり堆肥や肥料を追加し、天地返しなどをしていれば問題は出づらいです。しかし、連作を繰り返すと成長が鈍ったり、病害虫が出やすくなることは間違いありません。なるべく避けるようにしましょう。
タマネギのコンパニオンプランツを選ぶポイント
タマネギのコンパニオンプランツを選ぶ際は、以下のポイントを意識すると効果的です。
1.害虫忌避効果を持つ植物を選ぶ
カモミールやクリムゾンクローバーなど、害虫を遠ざける効果がある植物を選ぶと、タマネギの病害虫対策に役立ちます。
2.肥料の奪い合いを避ける
ホウレンソウのように、タマネギと必要な養分が異なる作物を選ぶと、栄養の競合を防ぎ、育ちやすくなります。
3.土壌改良効果を活かす
クリムゾンクローバーやサツマイモは土を柔らかくし、タマネギの根張りを助けるので、土壌環境の改善に有効です。
これらのポイントを押さえて、タマネギと相性の良いコンパニオンプランツを選びましょう。
コンパニオンプランツを利用する際の注意点
コンパニオンプランツを取り入れることで、害虫の抑制や成長促進、土壌改良などさまざまなメリットが得られます。
しかし、適切に活用するためにはいくつかのポイントに注意する必要があります。ここでは、コンパニオンプランツを効果的に活用するために押さえておきたい3つの注意点について解説します。
注意点①農薬について
コンパニオンプランツを活用すると農薬の使用を減らせますが、完全に不要になるわけではありません。農薬を使う際は、以下の点に注意しましょう。
◯農薬の適用作物を確認する
片方の作物には適用があっても、もう一方には適用がない場合があるため、事前に確認が必要です。
◯農薬散布時の影響を考える
密植していると、意図しない作物にも農薬がかかる可能性があるので、使用回数や希釈倍率に注意しましょう。
注意点②コンパニオンプランツの植え方について
コンパニオンプランツの効果を最大限に生かすためには、植え方の工夫が重要です。適切な配置や間隔を考慮しないと、逆に作物の生育を妨げることもあります。
◯植える間隔と配置に注意する
コンパニオンプランツを密植しすぎると風通しが悪くなり、病害のリスクが高まります。適度な間隔を確保し、互いに成長を邪魔しないようにすることが大切です。
◯目的に応じた植え方をする
害虫忌避が目的なら、タマネギの周囲に植えましょう。
土壌改良や成長促進が目的なら、タマネギと混植しましょう。
注意点③コンパニオンプランツの効果について
コンパニオンプランツは栽培を助けるメリットがありますが、過信せず適切に活用することが大切です。
◯効果には個体差がある
環境や品種によって、期待した効果が十分に発揮されない場合もあります。
◯即効性はない
害虫忌避や土壌改良の効果は徐々に現れるため、長期的に観察することが重要です。
◯単独での効果には限界がある
肥料や水やり、防除などの基本的な管理と組み合わせることで、より効果的に活用できます。
まとめ
タマネギのコンパニオンプランツを活用することで、害虫忌避や成長促進、土壌改良などの効果が期待できます。相性の良い野菜やハーブを選び、適切な植え方をすることで、より健康的に育てることが可能です。
ただし、効果には個体差があり、即効性はないため、他の管理方法と組み合わせながら長期的に活用することが大切です。この記事を参考に、コンパニオンプランツを取り入れたタマネギ栽培を実践してみてください。