農業の人手不足は社会問題
農業の人手不足問題については、消費者の95%が「よく知っている」「詳しく知らないが聞いたことはある」と回答しました(図1)。この結果から、農業における労働力不足が広く社会的な問題として認知されていることが分かります。

(図1)
農業バイトに興味はあるが、経験がない理由
農業バイトに対し、77%の消費者が「興味がある」(「興味があり経験がある」+「興味はあるが経験がない」)と回答しました。一方で未経験の理由としては、「体力に自信がない(30%)」、「周りに農家がおらず、縁遠い印象がある(29%)」「農業経験がなく、仕事が務まるか自信がない(29%)」「どうやって仕事を探せばよいか分からない(23%)」などの意見が挙がりました(図2)。

(図2)
<消費者の声>
・普段あまり身体を動かさないので、1日農作業に耐えられるか自信がない(北海道・30代男性)
・知り合いの紹介で農業バイトをしているが、まったく知らない農家のもとにアルバイトに行くのはハードルが高い感じる。(広島県・20代男性)
農家の雇用実態
農家の半数がアルバイトを雇用。ボランティアを活用も
農家の57.7%が「アルバイト雇用をしている」と回答。14.7%が「援農ボランティア等、賃金が発生しない形で依頼している」を回答している点にも注目です。収穫体験や援農ボランティアは、農業を身近に感じられる機会として特に都市部を中心に認知が広がっています。食育や地域貢献にもつながり、収穫した農作物をお土産として持ち帰れるケースもあるため、アルバイトより気軽に参加できるのかもしれません。
<農家の声>
・援農ボランティアのサイトで募集すると、すぐに集まる。雇用には困っていない。(東京都・個人農家)
・子連れOKにしているので、レジャー感覚で来てもらっていると思う。(神奈川県・観光農園経営)
農家は経験よりも「意欲」「マナー」を重視
アルバイト採用時に農家が重視するポイントでは、「真面目で熱心に取り組んでくれそう(26.7%)」が最多でした。次いで「挨拶などの最低限のマナーがある(17.9%)」、「農作業の経験がある(14.1%)」という順となり、経験以上に人柄や姿勢を重視している傾向が見て取れました(図3)。

(図3)
農業バイトは5~6月がピーク、高額時給も
農家がアルバイトを募集する時期は、5月が12.2%、9月が11.3%、6月が11.2%でした。5~6月は田植えや野菜の種まきなど、どの農作物でも重要な作業が発生し、最も人手を要する時期といえます。アルバイトの仕事内容も多岐にわたる季節ではないでしょうか。収穫シーズンの9月も募集時期は多いです。7~8月は雑草がどんどん生える時期なので、除草作業のアルバイトが多いかもれません。
時給は、各地域の最低賃金に準じるケースが31.3%と最も多い一方で、1,300円以上が15.6%、1,500円以上の高時給で募集されることも3.5%ありました。地域や業務内容によっては、高時給で人材獲得をおこなっているケースもあることがわかりました(図4)。

(図4)
農業に関心を持つ人々とのマッチング機会を
今回の調査を通じて、消費者の多くが農業バイトに関心を持っている一方、未経験への不安や情報の少なさが参加の壁になっていることが明らかになりました。一方、農家は「意欲」や「マナー」など人柄を重視する傾向があり、必ずしも経験が必須ではないことも分かりました。
人手不足が深刻化する農業の現場において、アルバイトやボランティアといった柔軟な労働力の受け入れは、今後さらに重要性を増すと考えられます。農業に関心を持つ人々が一歩を踏み出せるよう、マッチングの仕組みや情報提供の充実が求められています。
調査期間:2025年3月1日(土)~3月31日(月)
調査対象:『マイナビ農業』を利用する農家・消費者
調査方法:マイナビ農業編集部が農業アルバイトに関する現状と意識について、農家と消費者それぞれに質問を設定。択一、複数選択で回答。
アンケート方法:WEBアンケート
有効回答数:農家:697名 消費者:1,936名