マイナビ農業TOP > セミナー > GFP「おいしい日本、届け隊」と考える農業の未来【イベントレポート】

GFP「おいしい日本、届け隊」と考える農業の未来【イベントレポート】

2025年3月7日、農林水産省GFP「おいしい日本、届け隊」官民共創プロジェクトによるオンライントークイベントが開催されました。ファッションデザイナーのコシノジュンコさんの応援ビデオメッセージも届き、“日本の食の海外展開”に多様なスキルで関わる、新たな参画のカタチを登壇者たちが語り合いました。ノウタス株式会社の村上信五(むらかみ・しんご)さんがモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、示唆に富むさまざまな発言が次々と飛び出しました。当日の様子をダイジェストでレポートします。

「あなたのスキルが日本の食の可能性を切り拓く!」

オンラインにより無料配信されたイベント「世界の“おいしい”を共に創ろう。 オンライントークLIVE~あなたのスキルが日本の食の可能性を切り拓く!~ 」。
イベントは農林水産省 輸出促進審議官 髙山成年(たかやま・なりとし)さんのあいさつからスタート。髙山さんは「さまざまなノウハウや知識をつなげて、日本の食を世界へ広げていくことが大切」と思いを語りました。
またオープニングでは、コシノジュンコさんからの応援ビデオメッセージも届きました。「美味しい」という字が示すように、見ることと味わうことは「2つで1つ」と語り、「日本のおいしいものを、みんなで世界へ届けましょう」と呼びかけていました。
更にキックオフトークとして「おいしい日本、届け隊 」官民共創プロジェクトについて、農林水産省の輸出国際局 輸出支援課 中岡菜々子(なかおか・ななこ)さんから紹介。「おいしい日本、届け隊」は、生産者と多様なスキルをもつ人材や事業者が交わることで、地域から世界への挑戦が加速し、持続的な価値創出を図る農林水産省のプロジェクトです。

イベントへの思いを話す農林水産省の髙山さん(写真左)と同省の中岡さん(写真右)

さまざまな分野で取り組む事例紹介

イベントでは、農林水産業や日本の食のグローバル展開について、ヒントとなる事例が多数紹介されました。農林水産省GFP「おいしい日本、届け隊」プロジェクトのマッチング事例として紹介されたのが、天皇杯の受賞実績を持つ株式会社宮崎茶房。お茶の国際展開にあたり、英語でのコミュニケーションに長けた人材を募集。地域活性化に取り組む方とのマッチングに成功しました。また、本プロジェクトの官民連携企画として、WOWOWプラスと連携し、「フラッグシップ輸出産地」の魅力を映像で伝えるクリエイター募集企画や、文化放送のラジオ番組『おとなりの農家さん』との連携企画など、多くのコラボレーション企画が紹介されました。
続いて、「おいしい日本、届け隊」事務局であるノウタスの佐々木陸衣(ささき・みちえ)さんと村上信五(むらかみ・しんご))さんからは、持続可能な生産方式によるオーガニック黒毛和牛のブランド確立や販路拡大を目指す若手ベンチャー江田畜産のプロジェクト、最先端の栽培技術で生産する有機いちごで世界の富裕層マーケットに挑む BUTTOBI BERRY ORGANIC のプロジェクト、京都の金平糖専門店、株式会社緑寿庵清水(りょくじゅあんしみず)とコラボレーションしてブドウ味の金平糖を海外に広める「ぶどうDAO」など募集中の魅力的なプロジェクトが紹介されました。


続いて登壇したのは、香川県小豆島で木桶仕込みのしょうゆを醸造するヤマロク醤油株式会社の代表取締役、山本康夫(やまもと・やすお)さん。伝統を未来につなぐ「木桶職人復活プロジェクト 」について紹介。SNSを活用した海外向けのブランディングも行っており、蔵の見学に来る外国人観光客は年間約1万人。更なる展開が語られました。
東日本旅客鉄道株式会社、本社マーケティング本部の長谷川都(はせがわ・みやこ)さんからは首都圏の駅での地産品の販売や情報発信など、鉄道ネットワークを生かしたプロジェクトを紹介。また、農村の人手不足解消や、自治体と連携した海外PRの取組も紹介されました。
最後は関連施策について、農林水産省 農村振興局 農村計画課の安居俊裕(やすい・としひろ)さんから紹介。農業従事者や人口減少が進む農村への施策として「『農山漁村』経済・生活環境創生プロジェクト 」や、関係人口を増やしていくことの重要性が伝えられました。

写真左から、安居さん、長谷川さん、山本さん

海外展開の可能性を考えるパネルディスカッション

後半のパネルディスカッションでは村上さんがMCを務め、日本食のグローバル展開や、地域社会の未来について、さまざまな視点から活発な意見交換が行われました 。
海外展開や地方創生の分野で活躍している4人が登壇。まずは「前半で紹介された事例を聞いて、グローバル展開に生かせそうなことは?」という問いかけからスタート。
鹿児島県でキャベツの生産、輸出を手がける株式会社大吉(だいきち)農園、代表取締役の大吉枝美(おおよし・えみ)さんは「現在キャベツ単品での輸出を行っていますが、 果物や、肉、野菜の生産者と協力をしてセット商品として輸出をしたら、新しい価値が生まれそう」と新たな展開に触れました。
岩手県でウニの輸出や海の環境保護に取り組む株式会社北三陸ファクトリー・CHROの菊野陽子(きくの・ようこ)さんは、ヤマロク醤油の「あえて小豆島から出ないことで価値が分かる人に商品を買ってもらえる」という話に学びがあったと語ります。
ここで村上さんが急遽、当初パネルディスカッションに登壇予定の無かったヤマロク醤油株式会山本さんを呼び込むという、ライブ感のある進行で場が盛り上がりました。

途中からヤマロク醤油の山本さんも参戦!

次のテーマは「農林水産業の懐の深さ」について。人材派遣を行う株式会社パソナ、グローバル事業本部、副本部長の堂前隆弘(どうまえ・たかひろ)さんは地方創生に取り組む大学生の事例を紹介。副業など、若者を巻き込む重要性や、地方での多様な参画を実感していると語りました。
また、西会津地域おこし協力隊の長橋幸宏様(ながはし・ゆきひろ)さんは福島県と新潟県の県境で取り組む「石高(こくだか)プロジェクト」を紹介。農村の暮らしを後世にどう伝えていくかがテーマだと語ります。「特別なスキルが無くてもまず来てみてほしい」と伝えました。
パネリストに共通したのは「まずは動いてみる」ことの大切さ。「興味を持つことが“日本の食”について考える最初の一歩になる」と村上さん。「この機会に、ぜひ小さな一歩でも良いから踏み出してみてください」と締めくくりました。

日本のこれからを考える

当日は、SNS連動企画として、「日本のおいしいものを世界に届けるためのコラボアイデア」をリアルタイムで募集。自由な発想による投稿が数多く寄せられ、さまざまな“掛け算”による無限大の可能性を見出した参加者も多かったことでしょう。
“農 ”と何を掛け合わせるかはその人次第。自身のスキルを生かして日本の食でグローバル経験を積みたい人や、輸出パートナーを探したい事業者などは「おいしい日本、届け隊」にメンバー登録することで、具体的なプロジェクトの案内や最新情報を受け取ることができます。あなたのスキルで日本の食の可能性を切り拓いていきませんか。今後の活動に期待が高まります。

おいしい日本、届け隊

編集協力:三坂輝プロダクション

シェアする

関連記事

あなたへのおすすめ

タイアップ企画