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ルバーブはどんな野菜? 味や栄養、育て方、食べ方、ジャム以外のレシピも紹介

sato tomoko

ライター:

ルバーブはどんな野菜? 味や栄養、育て方、食べ方、ジャム以外のレシピも紹介

初夏から夏にかけて出回るルバーブは、北欧やイギリスでは古くから親しまれてきた夏野菜。見た目はフキに似ていますが、特徴的な酸味とフルーティーで爽やかな風味を活かして、ジャムなどの保存食はもちろん、さまざまな料理に活用できます。一度植えれば毎年収穫できるため、庭やプランターで栽培しながら楽しむのもおすすめ。本記事では、ルバーブの育て方や食べ方、ジャム以外のアレンジレシピまで、暮らしに取り入れるためのヒントを紹介します。

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ルバーブとはどのような作物?

作物としてのルバーブ

ルバーブはタデ科カラダイオウ属の多年草で、シベリア南部を原産とします。フキに似た草姿で、葉柄(ようへい)を食用とします。ヨーロッパでは古くから栽培され、特に北欧やイギリスで夏の味覚として親しまれてきました。

明治初期に日本へ導入されましたが、普及せず一時姿を消しました。その後、昭和初期に在日外国人によって再導入され、長野県での栽培が始まりました。和名は「食用大黄(しょくようだいおう)」と呼ばれます。寒冷地に適した作物で、日本では長野県や北海道が主な産地です。収穫期は5月から7月上旬までが中心で、冷涼な地域では秋口(9月頃)に再び収穫されることもあります。

強い酸味が特徴

ルバーブの最大の特徴は強い酸味です。生でかじると、強い酸味と渋みを感じますが、アンズやベリーを思わせる甘酸っぱさと形容されることもあります。加熱すると酸味がまろやかになり、フルーティーな風味が引き立つため、ジャムやスイーツに加工するのが一般的です。

なかでもルバーブジャムは、リンゴやスモモのような香りとレモンのような爽やかな酸味が特徴。トーストやスコーンに添えたり、ヨーグルトやアイスクリームのトッピング、チーズや肉料理の付け合わせなどにもよく合います。

赤茎種と緑茎種がある

ルバーブには、茎の色によって赤茎種と緑茎種があります。赤茎種は鮮やかな赤色が特徴で、これはポリフェノールの一種であるアントシアニンに由来します。一方の緑茎種は明るい緑色をしており、見た目は異なるものの、ポリフェノールなどの栄養価は遜色ありません。

ルバーブの赤茎種と緑茎種

味に大きな違いはありませんが、一般的に緑茎種のほうが繊維が少ないため、比較的太く育ちやすく、やわらかい食感が楽しめると言われています。一方の赤茎種は見た目が鮮やかで、赤いルバーブとしてジャムや菓子用として人気があります。

また、赤茎と緑茎の特性を併せ持つハイブリッド型も存在し、赤と緑のストライプ模様や根元だけ赤色を帯びているなど、色合いはさまざまです。赤茎の鮮やかさと緑茎の育てやすさを兼ね備えており、家庭菜園にも適しています。

栽培と流通の傾向

栽培面では、緑茎種のほうが生長が早く収量も多いため、生産性に優れています。赤茎種は育成がやや難しく収量も少なめですが、その希少性から市場では高値で取引される傾向にあります。

ルバーブは、一般のスーパーではまだあまり見かけない珍しい野菜ですが、産地の直売所やマルシェ、スーパーで比較的手に入りやすくなっています。特に5月から初夏にかけての収穫期には、朝採りの新鮮なルバーブが並ぶこともあります。

都市部では、こだわり野菜を扱う青果店、自然食品店、百貨店の食品売り場などで販売されることがあります。また、近年はオンラインショップや産直通販サイトでも購入できるようになり、家庭でルバーブを楽しむ人が増えています。

葉は食べられない

ルバーブを食材として扱う際に最も重要な注意点は、葉を絶対に食べないことです。葉には人体に有害なシュウ酸が多量に含まれているからです。通常は葉を除いて販売されていますが、葉付きで手に入れた場合は、葉を根元から切り落として調理してください。

ルバーブに含まれている栄養と効能

カットしたルバーブ

漢方薬にも使われる大黄(ダイオウ)の近縁種であるルバーブには、食物繊維やポリフェノールなどの栄養素が含まれており、腸内環境を整えるほか、生活習慣病の予防にも役立つとされています。ここでは、ルバーブの主な栄養成分とその働きを紹介します。

食物繊維

ルバーブには食物繊維が豊富に含まれており、腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整える働きがあります。さらに、血糖値の急激な上昇を抑えたり、血中コレステロールを低下させる作用も期待されます。

カルシウム

野菜の中では比較的多くのカルシウムを含んでおり、骨や歯を丈夫にする働きのほか、筋肉の収縮や神経の伝達、血液のpHバランスを保つ役割もあります。

カリウム

カリウムも豊富に含まれており、体内の余分なナトリウムを排出して血圧を調整するほか、細胞の浸透圧を一定に保つ役割や、筋肉・神経の正常な働きをサポートする機能があります。

ポリフェノール

ルバーブの渋みのもとであるタンニンは、ポリフェノールの一種で、抗菌作用や抗炎症作用があるとされています。さらに、赤茎種に多く含まれるアントシアニンには強い抗酸化作用があり、目の健康や血管の保護に役立つと期待されています。

ルバーブの育て方

ルバーブの種

ルバーブは寒冷地に適し、丈夫で手間がかからず、家庭菜園でも育てやすい植物です。株が大きくなるため、プランター栽培の場合は深さのある大型容器を使用します。風通しと日当たりの良い場所を好みますが、真夏の直射日光や西日は避け、土壌の水はけがよく、涼しい環境で育てるようにしましょう。

育てる際のポイント

  • 地植えでは高畝にするのが理想
  • プランター栽培には深型・大型容器を使用
  • 風通しと日当たりを確保する
  • 乾燥気味に管理し、多湿を避ける
  • 茎が30cm以上になったら収穫の目安

土づくりから収穫までの流れ

春または秋に植え付けを行います。冬は地上部が枯れて休眠し、越冬させると翌春に新芽が出て初夏に収穫が可能になります。

土づくり

植え付けの2週間前までに畑に苦土石灰をまいてよく耕し、1週間前に堆肥と元肥を加えて土を整えます。プランターの場合は市販の野菜用培養土を使うと手軽です。

種まき

適期は4〜5月または9月。苗床に5cm間隔で2~3粒ずつ点まきし、ビニールで覆って温度を保ちます(発芽適温は約25℃)。発芽後は間引きしながらポットに鉢上げし、本葉が3〜5枚になった頃に株間50cm程度で定植します。

管理・水やり

根が張った後は、乾燥気味に育てるのが基本です。地植えではほぼ水やり不要ですが、プランターの場合は土の表面が乾いたら涼しい時間帯に水を与えます。蕾がついたら早めに摘み取って葉柄の成長を促します。春または夏に追肥をすると株が元気に育ちます。

収穫

収穫は越冬後の2年目から。春から夏にかけて葉柄が30cmほどに育ったら、ナイフやハサミで基部から刈り取ります。一度に取りすぎず、数本ずつ収穫することで株の勢いを保ちます。

株分け

数年育てると株が混み合い、葉柄が細くなってくるため、株分けが必要になります。休眠期に根株を掘り上げて、芽がついた部分を切り分け、再度定植することで株の更新と増殖が可能です。

ルバーブの選び方

みずみずしく全体的に張りがあり、葉が付いている場合は黄色く変色していないものが新鮮です。切り口が茶色いものや傷んでいるものは、収穫から時間が経っている可能性があります。葉柄の太さは2~3cmが料理などに使いやすいサイズです。赤いルバーブは色が鮮やかなものを選びましょう。

ルバーブの保存方法

長いまま新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で1週間ほど保存できます。
冷凍保存する場合は、洗ってから2cm程度の長さにカットして、冷凍用保存袋に入れます。使うときは凍ったまま加熱調理します。
ジャムなどの保存食に加工するのもルバーブの一般的な保存方法です。

基本のルバーブジャムの作り方

ルバーブは1~2cmの長さにカットし、グラニュー糖(ルバーブの60%の量が目安)を合わせて1時間ほど置き、水分が出たら鍋で煮詰めます。アクを取りながら弱火で15〜20分煮て、とろみが出たらレモン果汁を加えてさらにひと煮立ち。熱いうちに瓶に詰めれば、爽やかな酸味が広がるジャムの完成です。

ルバーブをおいしく食べるレシピ5選

ルバーブといえばジャムが定番ですが、実は前菜や肉料理、スイーツにも幅広く使える万能食材。甘酸っぱさと独特の香りを活かして、料理のアクセントにも主役にもなります。ここでは、ジャム以外にルバーブのおいしさを存分に楽しめる5つのレシピを紹介します。

ルバーブのコンポート

ルバーブのコンポート

ごろっと果肉感を残したルバーブのコンポートは、爽やかな酸味とやさしい甘さが魅力。ヨーグルトやパンケーキに添えるほか、ソーダで割ったり、クラッカーやチーズのお供にも使える常備デザートです。赤茎種を使用。

材料(2人分・作りやすい量)
・ルバーブ           200g
・グラニュー糖         60g
・水              50ml
・レモン果汁          小さじ1〜2
・バニラエッセンス(好みで)  少々

作り方
1.ルバーブは、3〜4cmの長さにぶつ切りする
2..鍋にルバーブ、水、砂糖を入れて中火にかけ、沸騰したらアクを取り、弱火にして5〜8分ほど煮る
3.ルバーブがやわらかくなり始めたらレモン果汁とバニラエッセンスを加え、さらに1〜2分煮て火を止める
3.荒熱をとって清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で冷やす

ルバーブの冷製スープ(ガスパチョ風)

ルバーブの冷製スープ

ルバーブの爽やかな酸味ときゅうり、ミントの清涼感が絶妙にマッチ。暑い日の前菜や軽食としておすすめです。緑茎種を使用。

材料(2人分)
・ルバーブ(3〜4cm幅)    100g
・きゅうり          1/2本(約50g)
・ミントの葉(生)      5〜6枚
・はちみつ          小さじ1
・レモン果汁         小さじ2
・オリーブオイル       小さじ1
・水             100ml
・塩             ひとつまみ
・こしょう          少々

作り方
1.ルバーブは鍋に入れて水50ml(分量外)とともに弱火で5〜6分、やわらかくなるまで煮て粗熱をとる
2.きゅうりは皮ごとざく切りにし、ルバーブ、ミント、はちみつ、レモン果汁、オリーブオイル、水と一緒にブレンダーにかける
3.滑らかになったら塩・こしょうで味を調え、冷蔵庫でよく冷やして器に注ぐ
※仕上げにオリーブオイルを少し(分量外)垂らすと風味がアップする

豚肉ローストのルバーブバルサミコソース

豚肉ローストのルバーブバルサミコソース

甘酸っぱいルバーブとバルサミコ酢で仕上げる、コク深いソースが主役の肉料理。香ばしく焼いた豚肉にさっとかけるだけで、華やかな一皿に。緑茎種を使用。

材料(2人分)
・豚肩ロース(とんかつ用など) 2枚(約200g)
・ルバーブ           80g
・タマネギ           1/4個
・にんにく           1/2片
・バルサミコ酢         大さじ1
・はちみつ           小さじ1〜2
・塩・こしょう         各少々
・オリーブオイル        大さじ1
・白ワイン(または酒)     大さじ1(好みで)

作り方
1.ルバーブは斜め薄切り、タマネギとニンニクはみじん切りにする
2.豚肉は塩こしょうをふり、フライパンにオリーブオイルを熱して両面をこんがりと焼き、中まで火を通し、焼けたら取り出して休ませておく
3.同じフライパンににんにく・タマネギを加えて炒め、香りが立ったらルバーブを加えてしんなりするまで炒める
4.バルサミコ酢・はちみつ・白ワインを加えて煮詰め、塩こしょうで味を調える。豚肉にソースをかけて盛り付ける
※付け合わせは茹でたジャガイモとサヤインゲン(分量外)

生ルバーブとオニオンのサーモンカルパッチョ風

生ルバーブとオニオンのサーモンカルパッチョ風

細切りのルバーブと玉ねぎを、スモークサーモンに添えたさっぱり前菜。レモンとオリーブオイルのドレッシングで、酸味と香りを引き立てます。

材料(2人分)
・ルバーブ           30g
・スモークサーモン       4〜5枚
・タマネギ           1/8個
・オリーブオイル        小さじ1
・レモン果汁          小さじ1〜2
・ディルまたはバジル      適量
・塩・黒こしょう        少々

作り方
1.ルバーブは3~4cm幅の細切りにして水にさらし、タマネギは薄切りにして水にさらしておく
2.スモークサーモンを皿に並べ、水気を切ったルバーブとタマネギをふんわりとのせる
3.オリーブオイルとレモン果汁を全体に回しかけ、塩・黒こしょうで味を調える。ディルまたはバジルを添える

ルバーブのクランブル

ルバーブのクランブル

クランブルとはイギリス発祥の家庭的な焼き菓子で、そぼろ状の生地(クランブル)を、フルーツの上にのせて焼き上げるデザート。サクサクのトッピングと甘酸っぱいルバーブのとろりとした果肉が絶妙にマッチします。焼き立てにバニラアイスクリーム(分量外)を添えるのが定番。

材料(2人分)
・ルバーブ             150g
・きび砂糖(またはグラニュー糖) 大さじ1
・薄力粉             30g
・バター(無塩・冷えたもの)   20g
・きび砂糖(クランブル用)    大さじ1
・シナモンパウダー(好みで)   少々

作り方
1.耐熱皿に1~2cm幅にカットしたルバーブと砂糖を入れて軽く混ぜておく
2.ボウルに薄力粉、バター、きび砂糖、好みでシナモンを入れ、手でそぼろ状にすり合わせてクランブルを作る
3.クランブルをルバーブの上にまんべんなくのせ、180℃のオーブンで25〜30分、表面がきつね色になるまで焼く

生ルバーブとオニオンのサーモンカルパッチョ風

薄切りのルバーブとタマネギを、スモークサーモンに添えたさっぱりとした前菜。レモンとオリーブオイルのドレッシングで、酸味と香りを引き立てます。

育てて・食べて・楽しめるユニーク野菜

強い酸味が特徴のルバーブは、寒冷地向きで育てやすく、家庭菜園にもおすすめの多年草。毎年収穫できるのが魅力です。鮮やかな赤茎や、比較的やわらかめの緑茎などの種類があり、用途や好みで選べます。株が大きく育つのでプランターの場合は深型大型、乾燥気味に育てるため畑では高畝にするといいでしょう。

ルバーブハイブリッド

強い酸味が特徴で、加熱するとまろやかな甘酸っぱさに変わるため、肉料理のソースや前菜、焼き菓子などに幅広く利用できます。食物繊維やポリフェノールなどの栄養も豊富で、保存方法も手軽で冷凍や加工で長く楽しめます。ただし葉は毒性があるので必ず取り除いて使うこと。

育てる楽しみと食べる喜びをあわせ持つルバーブを、家庭菜園と食卓に取り入れてみてはいかがでしょう。

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