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5月に急ピッチで畑を始めても夏野菜は育つのか?【開墾編】

伊藤七

ライター:

連載企画:ずぼら女子の半農半X

5月に急ピッチで畑を始めても夏野菜は育つのか?【開墾編】

半農半Xの暮らしに憧れながら、ずぼらな農ライフを楽しんでいるライターの伊藤七(いとう・なな)です。引っ越しに伴ない以前の畑を失ったので、山奥の土地を新たに開墾して畑にすることにしました。しかし、仕事や引っ越しで忙しく、夏野菜を植えるまでに時間の余裕がありません。しかも、使えるのは山の中にあるカチカチの土地のみ、というピンチな状態。
開墾は通常、冬ごろから取り掛かり、3~4月に土作りを行うイメージですが、私は5月の数日しか農作業の時間が取れないため、急ピッチでこれらの作業を進めることになりました。本記事では「5月に急ピッチで畑を開墾しても夏野菜は育つのだろうか?」をテーマにした実験の序章をお伝えしていきます。

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すぼら女子、引っ越しにより以前の畑を失う

数カ月前まで筆者は「数年前まで畑だった良い感じの土地」を借りていたので、気軽に家庭菜園ができていました。

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しかし、急な引っ越しにより「良い感じの土地」を失った今、私が使えるのは千葉の山奥にあるカチカチの土地のみです。

見るからにカチカチの土

土の質は、いわゆる「粘土質」です。
少なくとも10年以上は畑をしていない耕作放棄地で、日当たりも良いとは言えません。

素人でも分かるような粘土質

鍬で土を掘ってみると非常に硬く、場所によってはもはや石のようです。思わず「自然界では、土と石はグラデーションなんだなぁ」なんて関心してしまいました。

場所によっては土が石と化している

本来、こうした土地を畑にするには、さまざまな資材を混ぜながら、土壌改良をしなければいけません。「柔らかくする」「空気を入れる」「栄養を入れる」という作業を通して、畑らしくしていくはずです。

しかし、連載名にもある通り、私の性格はずぼらです。仕事の忙しさを言い訳に、冬の間にコツコツと畑の準備をすることができませんでした。おまけに変なこだわりもあるので「ホームセンターで化学肥料を買うとお金も掛かるし負けた気分になるなぁ」と、よく分からない意地を張ってしまいます。おまけに耕運機も持っていません。

レイズドベッド風にすれば野菜を育てられるかも

レイズドベッド風にした

カチカチすぎる土地をどうやって畑にするか考え、友人にも相談した結果、「レイズドベッド風にする」「裏山に溜まっている腐葉土をそのまま運んでくる」という方法にたどり着きました。

レイズドベッドとは、地面よりも一段高く土を盛って作られた栽培用の畑や花壇のことです。排水性の向上が期待できたり、そもそも土をよそから持ってくるので土壌を自由にコントロールできたりするので、カチカチの土地で野菜を栽培するには好ましい方法だと思います。

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スケジュールとしては「5月上旬にポットに種をまいてベランダで育苗しておく」「その間に急ピッチで鍬を使って開墾を進める」というプランニングで進めることにしました。
作業に当たって意識したことは、「1年目から上手に育てたい」と欲張らないようにしたこと。もし思い通りに育たなかったとしても、そのときは腐葉土を追加したり、もみ殻燻炭を追加したりしながら、実験だと思って畑に向き合おう。種から育てた苗が枯れてしまった場合、新たに苗を購入したらいい。

ずぼらなくせに「いい感じの結果」を求めてしまいがちですが、その考え方をやめました。上手くいかなかったら別の方法を試せば良いじゃないか。畑はあくまでも趣味でありライフワーク。頓挫したって誰にも迷惑をかけない。そうやって、言い訳のように自分に言い聞かせます。

0.16aの土地を5~6時間で開墾

実施したことは主に次の通りです。ちなみに畑の大きさは、4m×4m程度の小さいものです。

● 鍬を使って軽く耕す -2人で1時間
● レイズドベッド的にするために木の枠を用意する -2人で30分
● 土をなるべく平らにする -2人で1時間
● 裏山にある天然の腐葉土を運び、入れる -3人で2時間
● かき混ぜる -2人で30分

鍬を使って軽く耕す(2人で1時間)

畑にしたいエリアに目印を付ける

さすがに土が硬すぎるのは良くないのでは?腐葉土を運ぶのは大変だし、腐葉土と既存の土を混ぜた方が、柔らかい部分が多くなるのでは?と思い、軽く耕しました。

4m×4mほどの小さな土地とは言え、硬い土を掘り起こすにはなかなかパワーが必要です。耕運機を持っていないので、鍬を使いながら土を掘り起こします。鍬はホームセンターで1,000円ほどで購入可能です。軽くて耕しやすいので、三本鍬が良いかもしれません。

レイズドベッド的にするために木の枠を用意する(2人で30分)

自然の産物を活用

夫が山の手入れをする際に切り倒した木があったので、ありがたく使わせてもらいました。木材はホームセンターでも購入できます。

土をなるべく平らにする(2人で1時間)

斜面の中でも角度の緩い場所を探して畑を作る

やや斜めな土地だったので、水はけ具合にムラが出ないよう、できるだけ水平に均しました。これが重労働!大きなレイズドベッドを作るのではなく、小さいレイズドベッドを複数作った方が楽だった気がします。

裏山にある腐葉土を運び、畑に入れる(3人で2時間)

落ち葉の下の腐葉土を掘り起こす

友人が手伝いに来てくれたので、腐葉土を裏山から運び、畑までガサッとばらまきました。さすが農業経験者と林業経験者だけあって、作業スピードが速くて助かりました。

腐葉土を畑にばらまく

土と腐葉土をかき混ぜる(2人で30分)

赤丸の中にミミズを発見

三本鍬を使って腐葉土と既存の土をかき混ぜ、1週間後に畑を見に行きました。すると、たくさんのミミズを発見。移動させた腐葉土にくっ付いてきたミミズだと思いますが、これは良い兆候なのではないでしょうか。

分解されていない葉っぱも混ざっていますが、見た感じはだいぶ畑っぽい土になってきたような気がします。気のせいでしょうか。

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今後は柵の設置や苗の定植をする予定

畑は形になったので、このあとは野菜を栽培するために、よりバージョンアップさせていきます。

● 必要に応じて腐葉土やもみ殻燻炭を追加する
● 動物除けの柵(ワイヤーメッシュ)を設置する
● 夏野菜の苗を定植する

見た感じは畑らしくなりましたが、本当に野菜が育ってくれるのかは分かりません。もし定植した後に苗の元気が無くなったら、腐葉土やもみ殻燻炭を追加しながら畑の状態を改良したいです。

実験や失敗を繰り返すことも家庭菜園の醍醐味

ベランダで育苗中の野菜たち

以前使っていた土地とはレベルが違うほど硬くて粘土質の土地。本当に野菜が育つのか、芋や豆類なら育つのか、分かりません。

とはいえ、見た目としては「何とかなるのでは」という雰囲気を感じてきました。気のせいでしょうか。

「こんな土地で野菜を育てられるんだろうか?」と考え始めると、できないような、自信がないような、面倒くさいような気持ちすらわいてきます。でも趣味の家庭菜園なら、実験や失敗を繰り返すことこそ面白いような気もします。

次回以降の記事では、定植後の様子をお伝えする予定です。ミニトマトやキュウリ、ズッキーニ、ゴーヤ、サツマイモ、落花生、ハーブなどを植えようと思います。

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