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古米・古古米・ブレンド米 五つ星お米マイスター直伝・備蓄米のおいしい食べ方

sato tomoko

ライター:

古米・古古米・ブレンド米 五つ星お米マイスター直伝・備蓄米のおいしい食べ方

政府備蓄米の放出により、家庭でも古米や古古米を手に取る機会が増えてきました。新米と比べて食味が劣るという声もありますが、ほんの少しの工夫でぐっとおいしく炊き上がります。今回は、埼玉県狭山市の米穀専門店・古谷商店の4代目で五つ星お米マイスターの古谷祐一朗(ふるや・ゆういちろう)さんと、三つ星お米マイスターの由華さん監修のもと、古米・古古米をおいしく炊き上げるコツを徹底解説。備蓄米のイメージが変わるテクニックが詰まっています。

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古米・古古米・備蓄米とは

通常、店頭などで主に流通しているのは、収穫から1年以内の米です。収穫した年の12月31日までに精米された米は「新米」として扱われるのに対し、収穫から1年経ったものを「古米」、2年経ったものを「古古米」と呼びます。

精白米

一方、「備蓄米」は、自然災害や不作、価格の急騰といった非常時に備えて、政府が計画的に保有している米のことです。1993年の冷夏による大凶作、いわゆる「平成の米騒動」を契機に制度化され、現在では年間約100万トンを目安に、主に玄米の状態で低温・低湿の倉庫に保管されています。品種は、ひとめぼれ、はえぬき、コシヒカリなどの全国の主要銘柄米を始め、多岐にわたります。
備蓄米として保管されていた米は、放出後に古米や古古米として市場に出回ります。古くなった米でも、保存状態が良ければ食味は大きく劣らず、炊き方や調理法を工夫することで、十分においしく食べることができます。

古米・古古米のおいしい炊き方

古米や古古米は、水分が少なく、ぬか臭さが気になるという声もあります。しかし、基本の「おいしいごはんの炊き方」をベースに、いくつかのポイントを押さえるだけで、風味や食感をしっかり引き出すことができます。ここでは、炊き方の基本をおさらいしながら、お米マイスター直伝のテクニックで、古米・古古米を新米のようにおいしく炊き上げる方法をご紹介します。

①米を量る

米は炊飯器に付属の計量カップを使い、正確に量ります。計量のズレは炊き上がりに影響するため、まずは基本をしっかりと。

②ぬかを振るい落とす

古古米以前の長期備蓄米は、粗めのザルに入れ、縁を軽くトントンと叩いて表面のぬかをあらかじめ落としておきましょう。このひと手間が臭いの軽減につながります。

ざるに入れた米

③米を洗う(研ぐ)

米がぬかの臭いを吸わないように、最初の洗い水はすぐに捨てるのがポイント。米が浸る程度の水を注ぎ、米粒が割れないようにやさしく数回混ぜるように洗います。その後は水を2~3回替えて、軽く研ぎ洗いを行いましょう。

④水加減を調整する

炊飯器の目盛りに合わせて水を入れた上で、古米・古古米の場合は水の量を通常より1.1~1.2倍にするのがポイントです。米1合につき大さじ1.5~3杯弱ほどを目安にして追加してください。

水加減多めの炊飯釜

⑤酒または日本酒でぬか臭さを取る

米にぬか臭さを感じる場合は、日本酒かみりんを米1合(米180ml)あたり小さじ1~2杯加えると風味が良くなります。

炊飯前にみりん大さじ1

⑥しっかり吸水させる

通常より長めに、30分~1時間を目安に水に浸けます。米の中心まで水をしっかり吸わせることで、ふっくら炊き上がります。

⑦炊く

炊飯器のスイッチを入れて、通常どおり炊きます。

⑧蒸らす

炊き上がったら、蓋を閉めたまま10~15分ほど蒸らし、米粒の水分を均一にします。

⑨ほぐす

蒸らし終わったら、釜の底からごはんを持ち上げるように天地返しをし、ふんわりと混ぜましょう。余分な水分を飛ばすことで、さらにおいしく仕上がります。茶碗によそうときもふんわりと。

茶碗に白ご飯

古米・古古米の保存方法

古米や古古米は、空気や湿気による劣化を防ぐため、ペットボトル、冷蔵用保存袋、密閉容器に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめ。

密閉容器に入れた米

精米後は風味が落ちやすくなるため、1カ月(夏場は2~3週間)を目安に食べきるのが理想的です。

また、保温はせず、一度に食べきれる量だけ炊くのが理想です。保温状態が続くと水分が抜けて風味が落ち、黄ばみやすくなります。特に夏場はごはんの劣化が早くなるため、保存には注意しましょう。

古米・古古米に適した料理5選

水分が少なく、粘りも控えめな古米や古古米は、米の粒感を生かした料理と好相性。ぬか臭さも加熱調理によって気にならなくなり、チャーハンやリゾット、ちらし寿司など、和・洋・中さまざまな米料理においしく活用できます。ここでは、古米・古古米の特性を生かせるおすすめの調理例を5つご紹介します。

チャーハン

チャーハン
パラリと仕上げたいチャーハンには、粘りの少ない古米がぴったり。べたつかず、具材や調味料とのなじみもよく、炒めるほどに香ばしさが引き立ちます。炊きたてよりも、冷やごはんを使うのがおすすめです。

リゾット

リゾット
煮崩れしにくい古米は、リゾットにも適しています。だしやスープのうまみをしっかり吸いながらも、米粒の食感が残るので、満足感のある一皿に仕上がります。オリーブオイルやチーズとの相性も抜群です。

パエリア

パエリア
魚介や野菜のうまみをたっぷり吸わせながら炊き上げるパエリアは、粒立ちの良い古米にぴったり。やや乾いた古米の特性が、おこげの香ばしさとして生きてくる、相性抜群の一品です。

丼物

丼物(牛丼)
タレがしっかり染み込む古米は、親子丼や牛丼など、汁気の多い丼物にぴったり。米粒がべたつかないので、具材の味を引き立てながら、さっぱりとした後味で食が進みます。

ちらし寿司

ちらし寿司
寿司職人がシャリに古米を使うのは、適度に乾燥した米が酢になじみやすく、握りやすいため。適切に保管された古米は、酢飯との相性がよく、粒立ちが美しく仕上がります。家庭で取り入れるなら、ちらし寿司がおすすめ。ほどよく締まりのあるごはんが具材とのバランスを整え、華やかな見た目に加え、食感や口当たりを良くしてくれます。また、手巻き寿司にも古米はぴったり。べたつかず巻きやすいため、家族みんなで手軽に味わえます。

ブレンド米とは?

ブレンド米(複数原料米)とは、産地や品種、収穫年の異なる米を組み合わせたものです。品質の調整や価格の安定、在庫管理の効率化を目的として、流通の現場では広く活用されています。

日本では、食品表示法により「新潟県佐渡産コシヒカリ」のような単一原料米とは区別され、「複数原料米」として表示されます。

備蓄米のブレンド米

政府備蓄米が市場に放出された後、それを活用した家庭用のブレンド米が登場しています。こうしたブレンド米は品質のばらつきが少なく、家庭でも炊きやすいという特長があります。古米や古古米を含む場合でも、炊き方や調理法を工夫すれば、おいしく仕上げることができます。

専門店のブレンド米

米穀店などの専門店では、品質の安定や味を損なわずに価格を抑えるためだけでなく、調理用途に合わせた独自のブレンドも行っています。例えば、カレー用、寿司用、丼物用など、料理に応じた粒感や粘りの違いを生かしたブレンドが可能です。
さらに、専門店のブレンド米は、精米のタイミングや保管方法にも配慮されており、品質管理が行き届いているのも特長です。日常のごはんはもちろん、各種料理に最適なブレンドを提案してくれるため、飲食店だけでなく一般家庭にも根強い支持があります。業務用の飲食店が専門店から精米を仕入れるのも、こうした確かな技術と信頼があるためです。

米不足でもごはんを楽しむ工夫

白地に広げた白米
これまであまり注目されてこなかった備蓄米を試してみるよい機会かもしれません。炊き方の工夫や調理法の見直しによって、価格を抑えた古米や古古米、さらにそれらを含むブレンド米でも、十分においしく楽しむことができます。 他にも、こんな工夫でごはんを楽しんでみてはいかがでしょう。

銘柄米を少量ずつ食べ比べ

今回の記事を監修してくれた古谷商店によると、「普段はなかなか足を運ばない米専門店に来店し、価格が高騰する中でも比較的価格差の小さい銘柄米を少量ずつ購入して、食べ比べを楽しむ方が増えています」とのこと。好みの味やお気に入りの産地・銘柄に出会える良いきっかけにもなります。

雑穀や押し麦を混ぜて栄養プラス

白米に雑穀や押し麦を加えることで、かさ増しと同時に栄養価もアップ。食物繊維が増えて腹持ちがよく、よく噛むことで満足感も得られます。雑穀ごはんにチーズを具にしたおにぎりは、生みそを塗ったり、香ばしいしょうゆの焼きおにぎりにしたり、お茶漬けにアレンジしたりと楽しみ方もいろいろ。限られたお米でも、工夫次第で食の楽しみは広がります。

備蓄米をおいしく、楽しく

古米や古古米、ブレンド米も、ちょっとした工夫で驚くほどおいしく炊き上がります。さらに、保存方法や調理法を見直すことで、ごはんの可能性はぐっと広がります。価格高騰を逆手に取り、銘柄米の食べ比べや雑穀との組み合わせに挑戦してみると、日々の食卓に新たな発見が生まれるはず。米穀店に足を運べば、用途に合った米の選び方や調理のコツなど、暮らしに役立つ情報が得られることも。米不足の今だからこそ、「ごはんを味わう楽しみ」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

監修:おいしいお米の専門店 古谷商店

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