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剪定で1株から100個収穫!? 家庭菜園のナス栽培ガイド

剪定で1株から100個収穫!? 家庭菜園のナス栽培ガイド

今回は「1株から100個のナスを収穫する」という、まるでナスの木に魔法をかけるような栽培法をご紹介します。特別な魔法も、高価な肥料も、ましてや園芸の達人である必要もありません。もちろん、やり方次第では200個、300個も夢じゃありませんが、まずは現実的な100個を目指しましょう。100個収穫できれば、夏の間ずっとナス料理三昧です。麻婆茄子(マーボーナス)、焼きナス、ナスのみそ炒め、ラタトゥイユ……考えただけでヨダレが出てきますね。

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なぜ剪定(せんてい)が大切なの? ナスの気持ちになって考えてみよう

剪定をしないナスの木は、まるで髪を切らずに伸ばし続けた人のようなものです。最初は「自然のままがいい」と思っていても、やがて収拾がつかなくなります。葉っぱの根元から次々とわき芽が出て、そのわき芽からまたわき芽が生えてきて、まさにわき芽の無限ループに陥ってしまうのです。

最初はきれいなナスができていたのに、どんどん茂ってジャングルになっていき、ボケナスばかりに……。そんな人が多いのではないでしょうか。
ジャングルになったナスの木は、内側まで日光が届かなくなり、光合成効率が悪化します。風通しも悪くなって、病害虫の温床になりやすくなります。花が咲きにくくなり、咲いても落花しやすく、実がならないか、小さくて硬い実しかできません。収穫しようにも、ジャングルのような茂みに手が届かないという悲しい結末を迎えることになるのです。

基本の「き」:ナスの木の構造を理解しよう

ナスを植え付けて最初の花が咲いて実がなる場所、ここが重要なポイントです。この場所から、ナスの木は2つに分かれて生長していきます。まるで人生の分岐点のように、ここでの選択が後の収穫量を左右するのです。

ナスの主枝とわき芽

植え付けから最初の花が咲くまでの期間、株元から横に出てくるわき芽は全て取り除きます。これは「わき芽かき」と呼ばれ、主茎に栄養を集中させるための大切な作業です。手でポキッと折ってしまいましょう。

最初の花が咲いたら、この花の位置から自然に2本に分かれることが多く、この2本をメインの枝(主枝)として大切に育てていきます。仕立て方にはバリエーションがあり、2本仕立ては初心者向けで管理が簡単です。3本仕立ては2本の主枝に強いわき芽1本を追加する方法。4本仕立ては農家がよくやる方法で、収穫量が最大化しますが、当然主枝の本数が多いだけ混み合いやすくなります。6本仕立てくらいまでは可能ですが、相当なスペースと技術が必要になります。

上の画像は2本の主枝が見やすいようにかなりスッキリさせています。
欲張って本数を増やしすぎると、「二兎(と)を追う者は一兎をも得ず」ならぬ「六枝を追う者は一茄子をも得ず」になりかねません。まずは2本仕立てでしっかり基本をマスターすることが大切です。

まぁ、ここまではやっている人も多いですよね。主枝を仕立てる、ということはどこでも言われています。しかし、その後放任してしまうと、そもそも主枝を仕立てた意味がありません。この主枝を11月まで維持して、そこから側面に出てくる「わき芽」を管理することが大切なのです。

剪定の極意:「1わき芽1果実」の魔法の法則

ここで登場するのが「1わき芽1果実」の法則です。これこそが100個収穫の秘密なのです。
主枝に直接なる実は普通に収穫して問題ありません。ヘタの上1センチくらいでカットし、主枝はそのまま生長を続けさせます。(下の画像)

ナスの収穫

一方、わき芽になる実は特別な扱いが必要です。わき芽が伸びて、葉っぱが2〜3枚ついたら花が咲くので、その真上でバッサリ切ります。これを摘心と言います。(下の画像)
「花の上の葉っぱを1枚残して」切った方がより光合成できる(エネルギーを作れる)ので収量は増えますが、残さなくても十分育ちます。

ナスの摘心

そして、わき芽になる実が大きくなったら、ここでポイントです。わき芽の根元から枝ごと収穫するのです。
枝ごと収穫すると、切り口から5ミリ〜1センチくらい残り、同じ場所からまた新しいわき芽が生えてくるのです。1段上のわき芽を残して切り戻しても大丈夫ですし、残さなくても新たに発芽するので問題ありません。(下の画像)

ナスの収穫

「新しいわき芽が生長すると、また花が咲いて、実がなって、そしたらまた枝ごと収穫して」という魔法のサイクルが始まります。この繰り返しで、1カ所から何回も収穫が可能になるのです。
まるでナスの木と「切っても切れない関係」を築くようなものです。切れば切るほど、新しい実りが約束されるなんて、とてもロマンチックではありませんか。でも、これは植物学的にも理にかなった方法なのです。

魔法のサイクルを行う際は摘心も重要です。生長している先端のことを生長点と呼びますが、摘心をしないとこの生長点に養分が集中してしまうんです。摘心をすることで養分が果実に集中し、魔法のサイクルの回転速度も速くなります。
この性質を利用することで、常に若い枝で収穫できるため、株全体の新陳代謝が活発になり、病害虫の被害を受けた枝も自然に更新されます。そして秋まで疲れ知らずで収穫が続くのです。

高さ管理の重要性

7月中旬頃になると、ナスの主枝は調子に乗ってどんどん伸びていきます。まるで思春期の子供のように、気がつけば親の身長を超えてしまうこともあります。
あまり高くなると強風で倒れやすくなりますので、遠慮なく主枝の先端を切ります。これも「摘心」といいます。「もうこれ以上は伸びなくていいよ」と、優しく、でもしっかりと生長を止めてあげるのです。(下の画像)

ナスの高さ管理

私はだいたい150センチ伸びたくらいで摘心していますが、タイミングはあなたの身長に合わせて調整して構いません。あまり高くしても家庭菜園では管理しにくいので、腰よりも低い位置で止めてしまっても大丈夫です。主枝の生長点も止められると、あとは養分は全てわき芽に流れ込みますので、回転速度がグッと上がります。

実践編:実際の畑での様子

実際の畑では、理論通りにいかないこともありますが、基本を押さえれば大丈夫です。主枝が折れてしまったら、そこから出ているわき芽を主枝にして伸ばしていきましょう。わき芽を伸ばしすぎた場合は、気づいた時点で処理すれば問題ありません。
ただし、1枝に2果実ならせてしまうと、生長バランスが崩れ、総収穫量は落ちてしまうので注意しましょう。

この時期の作業は朝の涼しい時間に行うのがベスト。ナスも人も元気な時間帯だからです。切れ味の良いハサミを使うことも大切で、切り口がきれいだと回復が早くなります。生長が早い時期は、2〜3日に1回くらいは管理したいところですね。

収穫のコツ:タイミングと方法で差をつける

ナスの収穫適期は品種によって異なりますが、一般的には果皮にツヤがある間は大丈夫。切ってみて種が黒くなっていたらとり遅れのサインです。「朝どりナス」という言葉があるように、朝の収穫がベストです。水分をたっぷり含んでいて、みずみずしさが違います。果実のツヤがないのは水不足です!
わき芽の実を枝ごと収穫する際は、実だけでなく枝の状態も確認します。病害虫の被害がないかチェックし、切る位置はわき芽の付け根から5ミリ程度にします。オオタバコガやテントウムシダマシには要注意です。

トラブルシューティング:よくある失敗と対策

収穫の遅れもよくある失敗です。「大きくなるのを待っていたら、種だらけの巨大ナスになってしまった」という経験は誰にでもあるでしょう。ナスはとり頃を逃すより、少し早めに収穫するのが鉄則です。若どりの方が次の実付きも良くなります。

また、調子の悪いナスをいつまでもぶら下げておくと、全然次の果実が実りません。小さくても虫食いや奇形のナス、硬そうに見える果実はどんどん切り落としましょう。その1本を後生大事に残しておいたせいで、次に控えている5本の果実を収穫できないでいます。

小さいうちに虫に食われて奇形になっているナス。さっさと落として次のきれいな果実を膨らまそう

秋の更新剪定が不要になる理由

この方法の素晴らしいところは、常に更新しながら収穫し続けるため、従来必要とされていた「秋の更新剪定」が不要になることです。従来の方法では、真夏に株が疲れてきたら、思い切って全体を切り戻す「更新剪定」を行っていました。

でも、この方法なら常に新しい枝で収穫しているため、株が疲れる前に部分的に更新されています。真夏でも収穫が途切れることなく、10〜11月まで安定した収穫が続きます。まさに「収穫しながら剪定、剪定しながら収穫」という、同時更新栽培法なのです。
もし8月までにジャングルにしてしまった人は、調子の良い枝を2本選んで、それを主枝と決め、それ以外の枝を全部切り落としてしまいましょう。一挙更新で、秋ナスをまたわき芽から出てきた枝に着果させましょう。

まとめ:ナス100個への道は剪定にあり

長々と書いてきましたが、要は2本の主枝を決めて大切に育て、わき芽は1個実をつけたら切り戻すという「1わき芽1果実の法則」を守るということです。わき芽の実は枝ごと収穫して、同じ場所から何度も収穫を繰り返します。この方法を続けることで、100個収穫が現実のものとなるのです。
最初は「こんなに切っちゃっていいの?」と心配になるかもしれません。でも大丈夫、ナスは強い植物です。適切な剪定は、ナスにとってもストレスフリーな生長環境を作ることになります。

今年こそ「ナス100個マスター」の称号を手に入れて、近所の羨望(せんぼう)のまなざしを集めましょう。「どうやったらそんなにとれるの?」と聞かれたら、この剪定法を得意げに、でも優しく教えてあげてくださいね。
さあ、ハサミを手に、ナスの森へ飛び込みましょう。

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