モンステラってどんな植物?
モンステラの名前の由来
サトイモ科に属し、熱帯アメリカ原産で、観葉植物として人気があるモンステラですが、その由来はラテン語で「monstrum(怪物・異常)」。葉にある多数の穴や特徴的な切れ込みが特異な雰囲気を感じさせるため、この名前が付いたようです。19世紀にスコットランドの植物学者ウィリアム・バクスターによって命名されました。
モンステラの歴史
19世紀の初頭にヨーロッパの探検家や植物学者によって中南米から持ち込まれたモンステラは、19世紀後半に温室園芸が盛んになるとエキゾチックな観葉植物として貴族や富裕層の間で人気となりました。
20世紀に入ると世界中で人気の観葉植物になり、1950~70年代のミッドセンチュリーモダンなインテリアブームによってデザイナーやインテリア愛好家から注目を集めました。
「成長」や「繁栄」を象徴する植物として風水でも好まれ、日本には1970年代〜の観葉植物ブームとともにモンステラが普及し、家庭やオフィスで親しまれています。「嬉しい便り」や「壮大な計画」といった花言葉があるため、新築祝いや開業祝いなどのプレゼントにもおすすめです。
モンステラを栽培するポイント
実際にモンステラを栽培する際のポイントを解説します。鉢の置き場所や準備する道具、土と肥料の基本を知っておくことで、安心してお迎えできますね。
日当たりと置き場所のポイント
熱帯雨林の木陰に自生するモンステラは、直射日光よりも明るい間接光を好みます。15~30℃の環境でよく育ちます。湿度は50~70%が好ましく、日本の冬や乾燥する部屋では加湿器や霧吹きで葉水を行いましょう。
窓際のカーテン越しや部屋の明るい場所が理想的で、直射日光は葉焼けの原因になるので避けてください。
室内で育てる場合は、窓から1~2m以内で明るさを確保できる場所が最適。光量が足りない場合は植物用LEDライトで補うといいでしょう。
直射日光の当たる窓際は葉焼けのリスクがあるので要注意。また、エアコンの風が直接当たると乾燥やストレスで葉が傷むため、避けたほうが無難です。
準備する道具

植木鉢と観葉植物の培養土に加え、支柱があると葉やつるを誘導して美しく整えることができます。ココナッツファイバー製の「モスポール」や竹の支柱が便利です。
このほか、ジョウロや葉水のためのスプレーボトル、剪定バサミや手袋、スコップなどの基本的な道具が必要。モンステラは過湿に弱いため土の水分量を測る水分計も便利です。加湿器や植物用LEDライトも必要に応じて準備しましょう。
土と肥料の基本

熱帯雨林原産のモンステラは水はけが良く、通気性があり、適度な保水力のある土を好みます。
ホームセンターや園芸店で販売されている観葉植物用の土は、虫や匂いの発生が少なく最適です。過湿に弱いので、鉢底石や軽石を敷くといいでしょう。
用土に1~2割の割合でバークチップやココナッツファイバーを混ぜると根の成長を促せますが、カビや虫の発生原因にもなるため扱いには注意が必要です。
肥料はハイポネックスなどの液肥や緩効性の固形肥料がおすすめです。有機肥料は匂いや虫の原因となるので室内では避けた方が無難です。また、肥料が多すぎると葉焼けや根腐れの原因になるため薄めに与えます。
モンステラの剪定のコツ

光がある方向に向いて大きく伸びるモンステラは、放っておくと形が崩れてしまいます。適切な剪定を行うことで、コンパクトに美しく仕立てられます。剪定が必要な理由や適切なタイミング、道具や切り方のポイントを解説します。
剪定が必要な理由とそのタイミング
モンステラは丈夫な観葉植物ですが、剪定を行うことで「健康維持」「美観と形状の管理」「成長促進」「病害虫の予防」などの効果が期待できます。
枯れ葉や傷んだ葉の除去を行い、風通しを良くすることでモンステラの健康を保ち、根腐れを防止することにつながります。また、モンステラは根が広がる“つる性”の植物で、横に広がったり不規則に伸びる性質があるため、空間に合わせた剪定が必要となります。
古い葉や伸びすぎたつるを切ることで栄養が新しい芽や葉に集中し、成長の促進にもつながります。密集した葉や弱った部分は害虫や病気の温床になりやすいため、剪定によって被害を未然に防ぐことが重要です。
剪定の適期は4月〜6月ごろ。強い日光で葉にストレスがかかる真夏や、休眠期となる10月〜3月は剪定を避けた方がいいでしょう。枯れ葉や黄変は気づいたタイミングで除去するようにしましょう。
剪定のポイントと注意点
園芸用ハサミを使用する前に、アルコールで消毒します。モンステラの樹液が肌に刺激を与える場合があるので、必ず手袋を着用して剪定を行いましょう。
モンステラの茎には、葉や気根が出る節があります。節のすぐ上(1~2cm上)で斜めにカットすると、見た目が美しく、新芽も出やすくなります。挿し木をしたい場合には、節を含む10~15cmの茎をカットします。
斑入りのモンステラは光合成の力が弱く成長が遅いため、必要最低限の剪定に留めましょう。過度な剪定は株を弱らせる原因となります。
剪定後の切り口は自然乾燥させるか、癒合剤を塗って病気を予防します。切った茎は水挿しや土挿しで増やせるので、ぜひチャレンジしてみてください。
モンステラの植え替えの基本
同じ鉢で栽培を続けると、モンステラの根が詰まって生育が遅くなったり元気がなくなったりする原因となります。植え替えの適期や鉢と用土の選び方、植え替えの手順などを紹介します。
植え替えの適切な時期とは?
モンステラの植え替えは、1~2年に一度、または根詰まりした時に行います。
気温が15~25℃程度で安定する春~初夏(4月~6月)が適期です。この時期はモンステラの成長期であるため、植え替え後の根の回復や成長を促すことにつながります。
7月~8月は涼しい室内での管理なら植え替えが可能です。休眠期にあたる10月〜3月は根の回復が遅れ、株が弱るリスクが高まるのでおすすめしません。ただし、根腐れや害虫、鉢の破損など緊急の場合には植え替えを行いましょう。
鉢と用土の選び方
モンステラは根が広がる“つる性”の植物のため、鉢のサイズや排水性が重要です。横に広がる性質もあるため、幅広の鉢が適していますが、大きすぎると水が溜まって根腐れのリスクが高まるので注意が必要です。鉢底に穴の空いた通気性の高いものを選びましょう。
インテリアのアクセントによく使われる観葉植物なので、鉢のデザイン性にもこだわりたいですね。大型のモンステラを育てる場合は陶器の鉢にするとかなりの重量になるため、プラスチックの鉢のほうが扱いやすいです。
モンステラには熱帯雨林の環境に近い、軽くて栄養豊富な土が適しています。水はけが良くて通気性があり、適度な保水力のある土を好みます。匂いや害虫の発生を抑えたい場合は室内用の観葉植物専用土がおすすめです。

植え替えの手順
まずは根詰まりを起こしていないかチェックします。
鉢底から根が出ていたり、水やりの際に水が土に染み込みにくかったり、葉が黄色く変色するなどの症状が根詰まりのサインです。春〜夏の成長期に入っても株が成長しにくい時は根詰まりを起こしている可能性があります。
使ってきた鉢よりも1〜2サイズ大きいものと用土を準備して植え替えに取りかかります。
スコップと園芸シートがあるとスムーズに植え替えが行えます。園芸シートがない場合は新聞紙を敷いておくと後片付けが楽になります。
鉢を軽く傾け、モンステラをそっと引き抜きます。鉢底から根が出ている場合はハサミで切りながら取り出します。健康な根は白色か薄茶色で弾力があります。
黒く柔らかかったり、異臭がある場合は病気や害虫の可能性があります。そちらもしっかりチェックしましょう。黒い根や傷んだ根は消毒済みのハサミで健康な部分まで切り戻し、植え替え時に根が折れないよう注意しましょう。
植え替え後の水やりと管理方法

植え替え後は鉢底から水が出るまでたっぷりと水を与えます。バークチップやココナッツファイバーを配合した土は水をはじきやすいので、全体をしっかりと湿らせます。
受け皿に溜まった水はすぐに捨てて過湿を防ぎます。植え替え後は株が弱りやすいので直射日光を避け、間接光の当たる明るい場所で1~2週間ほど新しい環境に慣れさせます。
モンステラを長く楽しむための管理のコツ
モンステラは適切に管理すれば30年以上生きることもあるそうです。元気な状態で長く楽しむための日常管理のコツをご紹介していきます。
適切な水やりの頻度とタイミング
モンステラは根が太く乾燥に強い植物です。土の表面が乾いてから水をあげても枯れにくいですが、根腐れに弱いので水のやりすぎに注意してください。また、乾燥する季節は葉に霧吹きで水をかけてあげるといい状態を保てます。
成長期の春~夏は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。室内の温度や湿度、鉢の大きさによって変わりますが、1~2週間に1回程度が目安です。
休眠期となる秋~冬の水やりは控えめに。土が完全に乾いてから2~3日後に水を与える程度で十分です。2~3週間に1回程度を目安に、水やりするようにしましょう。
また、夜の水やりは根腐れのリスクを高める可能性があります。この時間帯の水やりは極力避けるようにし、朝に水を与えると良いでしょう。
肥料の選び方と与えるタイミング

モンステラは肥料が少なめでもしっかり育ちます。濃すぎる肥料は根を傷めるため、液体肥料は通常の半分程度に希釈して使うのが安全です。肥料のやりすぎは根腐れや葉焼けの原因にもなります。
おすすめはハイポネックスなどの液体肥料。月に2回程度与えます。ゆっくり効果が続く固形肥料を使う場合は2ヶ月に1回程度の施肥でかまいません。葉の成長を促したい場合は、窒素(N)が高めの肥料(例:15-10-10)を選ぶといいでしょう。
10月〜3月は休眠期のため、基本的に肥料は不要です。
液体肥料の場合は水やりのタイミングで肥料を与え、固形肥料はできるだけ株元から離して鉢の隅に置きます。
害虫や病気への対処

モンステラに発生しやすい害虫としては、ハダニやカイガラムシ、アブラムシなどが挙げられます。
葉裏に小さな赤や白の点が現れ、葉が黄ばんだり、細かいクモの巣のような糸が見られるのがハダニです。発生した場合は水で洗い流したり、殺虫剤で対処します。天然由来のニームオイルも有効です。
カイガラムシは、白や茶色の硬い塊が茎や葉裏に付着し、吸汁して葉を弱らせます。歯ブラシや綿棒で物理的に取り除いたり、アルコール(70%以下)を綿棒に含ませて拭きとるか、殺虫剤で駆除します。
アブラムシは小さな緑や黒の虫が新芽や茎に群がります。殺虫剤や薄めた中性洗剤をスプレーしましょう。
いずれも、早期発見を心がけるのが大切です。
このほか、モンステラは病気に強い植物ですが、過度な水やりによる根腐れやバクテリアやカビによる葉斑病が見られます。
葉に茶色や黒の斑点が広がっていく葉斑病は、見つけ次第感染した葉を切り取り、ダコニールなどの殺菌剤を散布しましょう。
剪定や植え替えをスムーズに行うための年間スケジュール
(◎=積極的に行う ◯=適宜行う ×=避ける)
10月〜3月:休眠期
剪定:×
植え替え:×
肥料:不要
水やり:2~3週間に1回程度
葉水:◎
4月〜:成長期
剪定:◯
植え替え:◯
肥料:◯
水やり:1~2週間に1回程度
葉水:◯
5月〜6月:剪定・植え替え適期
剪定:◎
植え替え:◎
肥料:◯
水やり:1~2週間に1回程度
葉水:◯
7月〜9月:成長期
剪定:◯
植え替え:◯
肥料:◯
水やり:1~2週間に1回程度
葉水:◯
モンステラのお手入れに関してよくある質問、お悩み
モンステラのお手入れでよくある質問とその回答をまとめました。
モンステラの葉が黄色くなりました
日焼けや日当たり不足、水やりの過不足、寒さ、根腐れ、肥料不足、環境の変化などによってモンステラの葉が黄色くなります。一度黄色くなった葉は基本的に元には戻らないため、清潔な剪定バサミなどで早めに切り取りましょう。
モンステラの樹液で肌が荒れました。
モンステラの樹液に含まれる「シュウ酸カルシウム」が、炎症やかぶれを引き起こす可能性があります。剪定時は必ず手袋をして樹液が肌に触れた場合は石鹸ですぐに洗いましょう。症状が改善しない場合は、皮膚科を受診してください。
大きくなりすぎたモンステラは小さくできますか?
剪定でコンパクトに整えるか、挿し木で新しい株の成長を促します。成長が盛んな5月〜6月ごろがおすすめです。
剪定はどのくらい切ってもいいのですか?
切りすぎるとモンステラにストレスがかかり、成長が遅れる可能性があります。バランスを見ながら少しずつ切りましょう。具体的には全体の1/3以下が目安です。
気根は切ってもいいですか?
気根は切ってもOKですが、できるだけ最低限にしてください。土に埋め込むよう誘導するのもおすすめです。無理に曲げると気根が折れるので注意してください。
剪定した茎や葉は増やせますか?
水挿しするだけで比較的簡単に発根して増やせます。ぜひチャレンジしてみてください。
植え替え時に根を切っても大丈夫?
健康な根は極力残し、腐った根や黒ずんだ根のみ清潔なハサミで切り落とします。根を切りすぎると回復が遅れるので注意が必要です。
植え替え時に株分けできますか?
根を傷つけないように分け、それぞれ新しい鉢に植えることで株分けが可能です。株分け後の10日ほどは水やりを控えめにして回復を促します。
南国風のおおらかな雰囲気と癒しをご家庭に
モンステラの魅力は、なんといってもその雰囲気と佇まい。ユニークな葉っぱと濃い緑色がお部屋にあるだけでなんだか元気が出てくるようです。ちなみに、モンステラはハワイで「希望の光を導く」植物とされ、アジア圏で盛んな風水の世界でも縁起のいい植物とされています。水やり回数も少なめでとても育てやすい観葉植物なので、あなたのお部屋にモンステラの癒しを取り入れてみませんか?






















