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トマト黄化葉巻病の症状や原因は? 予防方法や対策を農家が解説

鮫島 理央

ライター:

トマト黄化葉巻病の症状や原因は? 予防方法や対策を農家が解説

トマト栽培において深刻な被害をもたらすトマト黄化葉巻病(おうかはまきびょう)。葉が黄化して巻き上がる独特の症状によって、収量・品質ともに大きな影響を受ける病気で、近年では施設栽培・露地栽培のいずれでも発生が報告されています。本記事では、トマト黄化葉巻病の特徴的な症状や原因、感染のメカニズムから、農薬や防虫ネットを活用した具体的な防除方法まで詳しく解説します。トマトを健康に育てるための参考にしてください。

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トマト黄化葉巻病とは?

トマト黄化葉巻病(Tomato Yellow Leaf Curl Virus:TYLCV)は、トマト黄化葉巻ウイルスの感染によって引き起こされるウイルス病です。主にタバココナジラミという害虫が媒介し、感染した植物にウイルスを伝播します。

感染すると、トマトの若葉が黄色く変色し、葉が内側に巻き上がるように変形します。このため「黄化葉巻病」と呼ばれ、初期の段階では見落とされがちですが、徐々に生育が抑制され、果実の肥大や着果が不良となり、最終的に収量や品質の大幅な低下を招きます。
また、一度感染すると治療が困難であるため、予防と初期対応が重要になります。施設栽培・露地栽培のどちらでも発生し、近年ではタバココナジラミの分布拡大に伴い、被害地域が広がりつつあります。

主な症状

トマト黄化葉巻病に感染したトマトは、まず新芽付近の若葉が黄色く変色し始めます。やがて葉は厚く硬くなり、内側に巻き込むように湾曲(わんきょく)していくのが特徴です。特に葉の縁が波打つように縮れるケースが多く、全体として株がコンパクトにまとまってしまったように見えるのも典型的な症状です。

トマト黄化葉巻病を発症し、葉が黄色に変色

トマト黄化葉巻病を発症し、葉が黄色に変色

症状が進むと、葉が内側に湾曲する

症状が進むと、葉が内側に湾曲する

さらに、花の数が減少し、着果率が大幅に低下します。たとえ果実ができたとしても、形がいびつになったり十分な大きさに育たなかったりするため、出荷や収穫に大きな影響を及ぼします。重症の場合は株全体の生育が著しく悪化し、収穫不能に陥ることも少なくありません。

原因や発生しやすい条件

トマト黄化葉巻病の主な原因は、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)への感染です。このウイルス自体は自力で移動できませんが、タバココナジラミと呼ばれる小型の害虫がウイルスを媒介し、健康な株に広がっていきます。

タバココナジラミは温暖な環境を好むため、特にハウス栽培のような気温が高く保たれる環境で繁殖しやすくなります。また、風通しが悪く湿度が高い環境では、害虫の発生が増える傾向にあるため注意が必要です。

加えて、感染した苗を使用することで、定植直後からウイルスが広がるケースもあります。一度ウイルスが入り込むと、周囲の株へ急速に伝播するため、苗の段階でのチェックや購入元の信頼性が重要になります。野菜の連作によってタバココナジラミの生息環境が整ってしまう場合もあり、こうした条件が重なることで、発病のリスクがさらに高まります。

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トマト黄化葉巻病の予防方法と基本的な対策方法

トマト黄化葉巻病の予防においては、タバココナジラミの発生を防ぐことがもっとも重要です。以下のような基本的な管理対策を講じることで、発病リスクを大幅に抑えることが可能です。

防虫ネット・トンネルを設置する

ハウスの入り口・側面に目合いの細かい防虫ネットを張ることで、タバココナジラミの侵入を物理的に防ぎます。
また、露地栽培ではトンネル栽培をすることで同様の効果を得ることができます。もっとも、トマトは支柱を立てて大きく育てていきたい野菜のため、トンネル栽培ができるのは株が小さい頃限定になります。

トンネル栽培

黄色粘着トラップを設置する

コナジラミは黄色に誘引される性質があるため、粘着トラップを設置することで発生初期の確認と、ある程度の個体数の抑制が可能です。

農薬を使用する

タバココナジラミに対して有効な殺虫剤(浸透性のある系統や新しい作用機序を持つもの)を散布し、媒介虫の密度を抑えます。ただし、薬剤のローテーション使用や適正な濃度・時期を守ることが重要です。
なお、タバココナジラミはバイオタイプBとバイオタイプQという2系統があり、それぞれ効果のある薬剤が異なります。また、バイオタイプQは薬剤抵抗性が強く防除が困難なため、農薬選びには注意しましょう。

健全な苗を選ぶ

トマト黄化葉巻病を発症していない苗を選んで使用することで、初期感染を未然に防ぐことができます。苗を選ぶ際は、葉っぱが青々としたものを選びましょう。

周囲の雑草管理

コナジラミは雑草にも発生するため、周辺の除草をこまめに行い、害虫の発生源を減らすことが効果的です。

雑草管理

被害株の早期除去

トマト黄化葉巻病は現在の技術では治療が難しい病気です。感染が疑われる株は早めに抜き取り、他の株への感染拡大を防ぎましょう。また、抜き取った株は圃場(ほじょう)の外で処分するように心がけましょう。

トマト黄化葉巻病防除に使うことができる薬剤

トマト黄化葉巻病の防除には、病原であるウイルスを媒介するタバココナジラミの密度を抑えることが基本となります。現在、ウイルスそのものに効果のある薬剤は存在しないため、防除は媒介害虫の管理に重点を置く必要があります。

ディアナSC

トマト・ミニトマトのコナジラミ類防除に使うことができます。トマト以外にもさまざまな野菜の害虫防除に使用できるので、便利な薬剤です。

ベストガード水溶剤

トマト・ミニトマトのコナジラミ類防除に使うことができます。持続性と浸透移行性に優れており、収穫前日まで散布できるのが特長です。

粘着くん液剤

有効成分に食品由来のデンプンが使われており、安全性が高い薬剤です。化学成分ではなく物理的に害虫を殺すため、抵抗性害虫発生の恐れもありません。

まとめ

トマト黄化葉巻病は、タバココナジラミによって広がるウイルス病であり、一度感染すると治療が難しい厄介な病気です。特有の黄化や葉の巻き込み症状が現れることで、収量や品質に大きな打撃を与えることになります。
予防対策としては、防虫ネットや粘着トラップによる物理的防除、農薬を活用した媒介害虫の管理、そして健全な苗の導入と雑草管理の徹底が重要です。加えて、早期の発見と被害株の除去で、被害拡大を抑えることができます。
ぜひ本記事を参考にしてトマト黄化葉巻病の防除に取り組んでください!

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