野菜の葉裏に寄生する白い虫、コナジラミの特徴と対策【畑は小さな大自然vol.70】

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野菜の葉裏に寄生する白い虫、コナジラミの特徴と対策【畑は小さな大自然vol.70】

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野菜の葉裏に寄生する白い虫、コナジラミの特徴と対策【畑は小さな大自然vol.70】
最終更新日:2020年02月18日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。野菜を栽培するときに温室があると、冬場に栽培できる野菜の種類が増えたり、温度管理や水分管理などがしやすくなるので、とても便利ですよね。しかし、温室だからこそ課題になりやすい害虫もいます。それがコナジラミです。このコナジラミは温暖で乾燥した環境を好むため、温室内では特に数を増やしやすい虫です。雨の当たらないベランダなどでも要注意。今回はこのコナジラミについて生態などを見ていきますので、その対策や予防法を一緒に考えていきましょう!

コナジラミってどんな虫?

コナジラミはカメムシ目の昆虫で、成虫は白いセミのような姿をしています。名前にはシラミと付いていますが、動物に寄生して血液や体液を吸うシラミとは違って、植物にのみ寄生します。成虫が白いのはロウ成分に覆われているからで、英語ではホワイトフライと呼ばれています。

体長1~3ミリほどの小さい虫で、大量に発生すると、人が近づくことで紙吹雪のようにパアーッと舞い上がることがあるので、ちょっとびっくりします。
 
分類的にはカメムシの仲間ということで、葉をかじるのではなく、口針を刺して中の養分を吸い取るタイプになります。アブラムシやアザミウマなどもこのタイプですね。そのためコナジラミの被害にあった植物の葉は、穴があくとかかじられるとかではなく、所々色が抜けてかすれたような模様ができるのが特徴です。このような模様があった場合はコナジラミのようなカメムシタイプの仕業を疑うとよいと思います。

成長阻害だけでないコナジラミの被害

トマトの黄化葉巻病

コナジラミは主に野菜の葉裏について養分を吸い取り、養分を吸い取られすぎた植物は成長が止まってしまいます。特にコナジラミの被害に遭いやすい野菜としてはトマト、ナス、ピーマンなどのナス科やキュウリ、スイカなどのウリ科、インゲン、エダマメなどのマメ科、カリフラワー、キャベツなどのアブラナ科などがあります。
 
コナジラミの被害は野菜の成長を邪魔するだけに及ばず、さらに間接的な被害が出ることがあります。まずはすす病といって、コナジラミが発生した葉が、すすが付いたように黒くなることがあります。これはコナジラミがアブラムシのように甘露と呼ばれる糖分の多い液体を排泄するため、これにカビが繁殖して起こる病気です。また葉の色が白く変色したり、トマトやピーマンの果実に着色異常を起こしたりすることもありますし、トマト黄化葉巻病などの病原体を運んでくることもあります。特に温室などの温暖で雨の当たらない場所では、コナジラミが繁殖しやすく、被害も大きくなることが多い傾向にあり、さらに最近では殺虫剤耐性を持った種類も出てきており、施設園芸を行う農家にとってはとても厄介な害虫として知られています。

コナジラミが発生する時期はいつ?

コナジラミは温暖で乾燥した環境を好み、基本的には春から秋にかけて活動・繁殖します。卵から幼虫、サナギを経て成虫になるまで約1カ月弱で育ちます。コナジラミ類のうち農業害虫としては主にタバココナジラミとオンシツコナジラミという2種類がいるのですが、それぞれ得意な温度帯が少しずつ異なります。タバココナジラミは25〜30度あたりを好む一方、オンシツコナジラミは20〜28度の比較的低温を好みます。そのため露地栽培では8〜10月にタバココナジラミの発生が多く、6〜7月、9〜10月にオンシツコナジラミが多くなります。

タバココナジラミの方は暑さに強い一方で寒さには弱いため、野外では基本的に越冬できないようです。ただしオンシツコナジラミの方は比較的寒さに強いため、関東以西では野外でも越冬すると言われています。温室などの冬場も気温が高いところでは、両種とも越冬して繁殖し続けます。
ちなみにタバココナジラミとオンシツコナジラミの違いは、タバココナジラミは羽と羽の間に隙間(すきま)があり、体の黄色みが濃く、オンシツコナジラミの方は羽と羽の隙間がなくて、薄いクリーム色の体をしているようです。ただしとても小さいのでルーペなどで拡大して見ないと、肉眼ではなかなか見分けはつきません。

タバココナジラミ。その周りにある楕円形のものはタバココナジラミのサナギ

オンシツコナジラミ。より色味が薄くて羽の間に隙間がない

コナジラミの天敵は?

畑によくいるようなカマキリやクモ、カエルなどはコナジラミのような小さい昆虫を食べてくれます。またコナジラミの幼虫に寄生する蜂もいるようです。天敵を利用したコナジラミの防除方法として、雑食性のカメムシであるクロヒョウタンカスミカメムシやタバコカスミカメムシなどを利用する研究が行われているようです。

害虫が発生する根本的な原因を見直そう

コナジラミが発生した時の対処方法をご紹介する前に、まずは以下のチェックポイントを確かめてみてください。害虫が大量発生する際には根本的な原因が必ずあります。ここが解決されないまま対処だけしていても、いつまでも害虫は発生し続け、イタチごっこになってしまいます。コナジラミがいなくなったとしてもまた別の害虫が発生する確率が高くなります。以下の条件を全て満たせないとしても、それを知っている上で後ほどご紹介する対策方法を合わせて行っていくことがとても重要になってきます。チェックポイントは次の3つです。

① 栄養素のバランスは大丈夫?
② 土質や気候に合っていない野菜を植えてない?
③ 天敵が住みやすい畑になっている?

それぞれ詳しく説明していきます。

チェックポイント①栄養素のバランスは大丈夫?

虫は自然界において栄養素バランスの調整役にもなっています。例えば窒素肥料を入れすぎると、野菜の初期生育も良くなる一方で、害虫も大量に食べに来ることがよくあります。これは多くの窒素を吸収した野菜の中で、虫の好きなアミノ酸が余計に多く作られるため、それを虫が食べに来るのではないかと考えています。しかし、それだけではなくより大きな視点で捉えると、畑全体の栄養素バランスを考えた時に、野菜だけに窒素が集中し過ぎている状態はとてもアンバランスで不自然な状態です。そのバランスを調整するために、偏った窒素を虫が野菜から取り除き、それをフンや自らの死骸として、畑全体に再配分することで、土地全体の栄養素バランスを整えようとしてくれているという見方もできます。逆にいうとその土地全体の栄養素バランスが整っていることが、害虫の大量発生を防ぐ根本的な予防方法にもなっているということです。できれば土壌分析などで数値的に栄養素のバランスを把握するのが一番良いですが、できない場合は、栽培していく中で野菜の生育を見ながら、その土地にあった肥料の種類や量を確かめてみてください。

チェックポイント②土質や気候に合っていない野菜を植えてない?

いくら栄養素バランスなどが整っていても、そこの環境が野菜に適した環境でなければ、野菜は健康的に育つことができず、虫に対しても弱くなってしまいます。風通し、日当たり、水はけ、pH、土質、気温などの環境条件が植える野菜に適したものになっているかをチェックします。例えば風通しや水はけの良い環境を好むトマトやピーマンのような野菜を、風通しや水はけの悪い環境で育てていたら、健康的に育つことはできません。また、肥えた土を好むナスやキャベツなどを土づくりがまだできていない痩せた土地に植えていては、虫の被害にも遭いやすくなります。またベランダなども野菜にとっては風通しや日当たりがあまり良くないところが多いですので、本当にそこの環境に合っているのか今一度検討してみてください。環境に合っていなければ、環境を改善するか、そこの環境に合った野菜を選んで植えてください。

チェックポイント③天敵が住みやすい畑になっている?

畑の害虫と呼ばれるもののほとんどには、それを食べたり寄生したりする天敵が存在します。自然界では元から特定の虫だけが増え過ぎないような仕組みになっています。しかし、畑の中では基本的に天敵の住みやすい場所になっていないため、天敵が発生しにくい場所になっています。畑に天敵を増やしたいところですが、実際には虫の関係性は複雑すぎて特定の天敵だけを狙って増やすことはかなり難しいので、多様な虫が生きやすい環境を作り、虫の生態系を複雑にしていくことで、特定の害虫だけが増え過ぎないような環境を整えることが、根本的な害虫対策として大切になります。さまざまな虫が住みやすい畑にするためには、殺虫剤などに頼り過ぎないことと、畑の中の植物の多様性を増やすことが大切になります。雑草を適度に残したり、多くの種類の野菜を植えて、畑の中の植物多様性を増やすことで、さまざまな虫が生きやすい場所になっていきます。ただし実際には温室やベランダなどの制限された環境では、狙ってこれを行うことは難しい場合もあります。その場合は天敵の自然発生による害虫抑制はあまり期待できないので、それ以外の方法で対策を検討してください。

コナジラミにはどう対策する?

コナジラミは繁殖力の高い昆虫ですので、一度大量発生してしまうとなかなかすぐには解決しません。先ほどの3つのチェックポイントへの対策をした上で、以下の4つの方法を状況に応じて組み合わせながら、早め早めの対策を行いましょう。

① 温室内に持ち込む苗をチェック
② 防虫ネットを利用
③ 黄色い粘着テープを利用
④ 薬剤での防除

① 温室内に持ち込む苗をチェック

温室に苗を持ち込む際に、葉裏にコナジラミの卵などが付着していると、温室内でふ化して一気に増えていきます。苗を温室内に持ち込む際は葉裏に卵がないかどうかをチェックしましょう。

② 防虫ネットを利用

防虫ネットを使って、物理的にコナジラミの侵入を防ぎます。コナジラミの侵入を防ぐネットの目合いの大きさとしては、0.4ミリ未満が適していると言われています。野菜自体を防虫ネットで囲ったり、温室の周りを防虫ネットで囲ったりして、侵入を防ぎましょう。

③ 黄色い粘着テープを利用

コナジラミが黄色いものに誘引される性質を利用した対策方法です。コナジラミの成虫が来やすい野菜の新芽の高さに黄色い粘着テープなどをつるしておくとよいでしょう。

④ 薬剤での防除

コナジラミに効き目があるとされている農薬もありますが、種類によっては効き目がない場合もあります。また、効き目があっても同じものを使っていると、効き目が薄くなることがあるため、実際の利用にはちゃんとした農薬への知識が必要になりますので注意しましょう。家庭菜園などでは粘性のある液体を散布して、コナジラミを窒息させる方法がオススメです。でんぷんなどを原料とした、そのための薬剤が売っているので、それを利用するとよいでしょう。また家庭で用意しやすいものとしては、コーンスターチや片栗粉、牛乳などで代用する人もいるようですので、そちらを試してみてもよいと思います。いずれも散布した後、コナジラミが窒息したのを確認したら、きちんと水で洗い流しましょう。

コナジラミは大量発生する前の予防が大切

コナジラミはとても繁殖力が高く、農薬への抵抗性も獲得しやすい虫です。一度大量発生してしまえば、それをすぐに改善する方法はなかなかありません。温室などの囲われた環境では、まずは侵入させないことを第一とし、野外ではできるだけ天敵が発生しやすい環境を整えるなどして、まずは予防を徹底していきましょう。またコナジラミが発生しやすい根本的な原因がないか、先に紹介した3つのチェックポイントも見直してみてください。

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