2つの転機が灯した、継承から挑戦へのスイッチ
家業に入った当初、秋田さんの胸中は決して華々しいものではありませんでした。農学部4回生のときに親元就農を選び、最初の8年ほどは言われた通りにねぎを作る日々。しかし、流れを変えた出来事が2つあります。1つは、京都府の支援で参加した東京の若手農業者勉強会。全国の仲間と議論し、京都の立地や販路の強みを再認識し、「この地なら本気で勝てる」と手応えをつかんだこと。もう1つは、中学の同級生が安定した会社員生活を離れ、秋田農園に入社したことでした。「自分の経営で仲間の人生を背負う」覚悟が芽生え、経営者としての視点が一段と研ぎ澄まされていきます。
「きれいなねぎ」を小売で届ける、30年の矜持

京都には名だたる九条ねぎの産地が数多くありますが、秋田農園は創業時から一貫して小売用の青ねぎ(FGパッケージ)に特化。選別・調整・包装までの緻密な仕事を重ね、店頭で手に取られる“美しさ”までを品質に含めています。「九条ネギですか?それとも山城のねぎですか?」いつかそう問われる日を目指して。秋田農園は“山城のねぎ”という名で自社の青ねぎを世に出し、九条に比肩する新しい京都の顔を育てようとしています。
もちろん、作物のみならず、現場の働きやすい環境も日々整えています。現場には、出退勤や作業記録をスマホで一元管理できるアプリを導入。圃場ごとの状態や作業進捗が見える化され、17名のチームが同じ基準で動ける体制を整えました。1枚の農地をより大きく、強くするための効率と再現性を、日々チームで経験を積み上げています。最終的にその取り組みが山城のねぎの品質向上にもつながっているのです。
ねぎの可能性を広げる、6次産業のアイデア
ねぎを“食材”から“体験”へ。六次産業部では、ねぎコロッケやメンチボール、ピザ、ベーゼ、ジャム、味噌まで、驚きとおいしさを両立する商品を開発。

露店営業での販売も好評で、地域の催事やイベントで山城のねぎの存在感を広げています。新メニューの開発や収益性の向上にも磨きをかけ、ねぎの魅力を多様なかたちで提案しています。
山城町は、秋田農園が守る。地域へのコミットメント
秋田農園の畑は、地域の資源とつながっています。産業廃棄物として廃棄される茶葉を引き取り、休耕地に還元して堆肥化。そこで育ったねぎは、地域内循環の象徴です。出荷にはオリジナルの通い箱を採用してダンボール廃棄を削減。加工品には規格外のねぎを活用し、食品ロスの低減にも寄与。環境配慮を一過性の取り組みではなく、日々の運用として根づかせています。

耕作放棄地の増加が進む木津川市山城町。秋田農園は「山城町から外に出ない」と胸に決め、地域の農地と暮らしを守る存在であり続けようとしています。4代にわたる信頼と技術、ノウハウを基盤に次の世代に渡せる産地モデルへ。視線の先には、地域の子どもたちが誇れる“山城のねぎ”の風景があります。
目指す姿。山城のねぎが京都を代表するもう一つの答えになる

生産技術の進化、圃場の集約・拡大、露店営業の高収益化、新商品の開発。すべては「京都のねぎといえば?」の問いに、もう一つの確かな選択肢を示すために。秋田農園は、伝統を継ぎつつ新しいことにも挑戦し、地域とともに歩む“新しい農業のかたち”を更新し続けます。
ねぎに恋するという言葉に、嘘はありません。山城の土と人の技が育てる一本のねぎから、京都の新しい物語が始まっています。公式サイトでは、取り組みや最新情報を随時発信中。秋田農園の挑戦を、ぜひのぞいてみてください。
農園データ
企業名:株式会社秋田農園(ねぎに恋する農家 京都秋田農園)
所在地:京都府木津川市山城町上狛乾町33
主な生産品目:青ねぎ、新玉ねぎ、キャベツ
従業員数:17人

















