フィカス・ウンベラータとは?

まずは、フィカスウンベラータ(以下、ウンベラータ)の基本情報や人気の理由、知っておきたいウンベラータの花言葉や風水効果などを紹介していきます。
ウンベラータの特徴や名前の由来
フィカス・ウンベラータは熱帯アフリカ原産の常緑高木で、原産地では10m以上に成長します。観葉植物の中でも成長速度が速いのが特徴で、1年で30cm以上伸びることも珍しくありません。
生命力が強く耐陰性もあるため、初心者でも管理しやすく、手間もかからないことから、家庭のインテリアグリーンはもちろん、カフェやオフィスでも人気です。
「umbellata」はラテン語の「umbella(日傘)」に由来します。大きなハート型の葉は薄く柔らかく、シワのある質感を持った鮮やかな黄緑色をしています。
ウンベラータが人気の理由
人気がある一番の理由は、美しい外観でしょう。大きなハート型の葉と鮮やかな緑色がインテリアに映え、枝が柔らかくS字や螺旋状に仕立てられるので、個性的なシルエットを生み出すことが可能です。
適切な水やりと光で元気に成長し、病害虫に強いのも人気の秘密。剪定枝を水に挿しておくだけで簡単に発根するなど、生命力が強い観葉植物です。生命力が強いということは、それだけ管理がラクということです。
ウンベラータの風水効果

ウンベラータの特徴的なハート型の葉は「愛」や「調和」の象徴です。恋愛運や夫婦愛、家族の絆を高めるとされます。大きな緑の葉がポジティブな気を循環させ、心を落ち着かせてストレスを軽減します。
南東の方角に置くと恋愛運や人間関係の運気がアップし、西は金運や繁栄の運気を引き寄せるとされています。
知っておきたいウンベラータの花言葉
ウンベラータの花言葉は「すこやか」「永久の幸せ」「夫婦愛」。ハート型の葉と強い生命力に由来し、結婚祝いや出産祝いなどのギフトに人気です。プレゼントする時にはこれらの花言葉を意識すると特別な意味を添えられますね。
ウンベラータの種類
ウンベラータには一般的な品種と斑入りの品種があります。斑入りのウンベラータは「バリエガータ」とも呼ばれます。
幹の柔軟性を生かして「S字仕立て」「螺旋仕立て」「枝垂れ仕立て」など、さまざまな樹形に仕立てられます。サイズや樹形など、特定の仕立て方や特徴を強調し、オリジナル品種のような名前で販売されることもあります。
フィカス・ウンベラータの育て方
栽培カレンダー


ウンベラータに適した置き場所、日当たり
耐陰性が高く、室内での栽培に適しているウンベラータ。風通しがよく明るい場所に置くのがおすすめです。直射日光が当たる窓際は葉焼けの原因になるので避けましょう。
風水を考慮する場合は、南東が恋愛運や人間関係の運気アップに最適で、金運アップのためには西に置くのがポイントです。
水やりと湿度管理のポイント
過湿に弱いため、水のやりすぎには注意が必要です。
成長期の4月〜9月は週に1回程度。表面の土が乾いたらたっぷり与え、根腐れ防止のため、受け皿に溜まった水は必ず捨てます。
休眠期となる10月〜3月は10〜14日に一度、土の表面が乾いてから数日待って水を与えます。
ウンベラータは熱帯原産のため、50~60%以上の適度な湿度を好みます。冬場は空気が乾燥しやすいので暖房機器の近くは避け、霧吹きで葉の表裏に水をかけましょう。葉水はハダニ予防にも効果があります。
適切な肥料と栄養の与え方
常緑のウンベラータは適切な肥料管理によって鮮やかな緑の葉を保つことができます。成長期の4月〜10月は積極的に施肥し、休眠期となる11月〜3月は肥料を控えます。葉が小さくなったり色が薄くなったら肥料が足りていないサインです。
肥料は遅効性の固形肥料がおすすめです。1~2か月に1回のペースで、株元からできるだけ離れた鉢の際に施肥しましょう。
真夏などで元気がない時は吸収しやすい液体肥料がおすすめ。薄めに調整して水やりのタイミングで与えるようにしましょう。
季節ごとの注意点
気温が上がり、葉や茎が活発に伸び始める4月~5月は積極的な施肥が有効です。夏は成長が最も活発になりますが、直射日光は葉焼けの原因となるので要注意。ハダニやカイガラムシなどの害虫が発生しやすいため、葉の裏を定期的にチェックして葉水で予防します。
10月以降は肥料をストップし、冬場は乾燥に注意しましょう。また、最低温度が10℃を下回らないよう、暖かい室内で育てることを心がけましょう。
ウンベラータの植え替え方法
ウンベラータの植え替えに適した時期とタイミング、必要な道具と材料、具体的な手順と植え替え後の管理方法を紹介します。
植え替えに適した時期とタイミング
ウンベラータは成長が早いので2年に1回くらいのペースで植え替えが必要です。成長期が始まる3月~6月が植え替え適期。根が新しい土に適応しやすく、植え替え後の回復が早いのがこの時期です。
その他の時期はできるだけ植え替えを避けましょう。特に冬場は根が弱るリスクが高いため、根詰まりや土の劣化がひどいなどの緊急時を除いて植え替えはしないほうが無難です。
鉢底の穴から根がはみ出るなど、根詰まりのサインが出た時に植え替えを行います。
植え替えに必要な道具と材料
ウンベラータの植え替えに当たって、手袋は必須。ウンベラータの樹液は皮膚に刺激があるためです。
植え替え用の鉢と用土、スコップ、清潔な剪定バサミも用意します。新聞紙や園芸シートもあると汚れを気にせず作業が行えます。
水はけが悪い土は根腐れの原因になるため避け、観葉植物の用土を使います。ウンベラータは室内で育てることが多いため、室内用の観葉植物専用土がおすすめです。匂いや虫の発生リスクが少なく、用土のかわき具合もわかりやすいので水やりのタイミングがつかめます。
初心者向け!簡単植え替え手順
(1)作業環境に新聞紙を敷いたり園芸シートを広げます。
(2)古い鉢からウンベラータをやさしく取り出します。ある程度土を落とし、傷んだ根があったら清潔な剪定バサミで取り除きます。
(3)新しい鉢に3分の1程度の土を入れてからウンベラータを中心に置き、スコップを使って隙間に土を入れていきます。あまり深植えせず、土は以前と同じくらいの高さに調整します。
植え替え後の注意点とケア
植え替えが終わったらジョウロで水をたっぷりあげて根の隙間をうめてあげます。皿水は根腐れの原因になるので必ず捨てましょう。
植え替え直後は、ウンベラータが新しい土や鉢に適応するまでストレスを受けやすいです。直射日光や強い風、急激な温度変化は避け、植え替え前の置き場所と似た環境で休ませます。根が安定するまでは水やりの頻度も控えめに。新しい用土に栄養分があるので肥料もすぐに与えなくて大丈夫です。
ウンベラータの剪定とお手入れ

好みの樹形デザインや健康な成長を促すため、剪定はとても重要です。適切なタイミングと頻度で剪定することで美しいハート型の葉とバランスの良いシルエットを維持できます。
剪定のタイミングと頻度
剪定に適したタイミングは3月〜6月ごろ。成長期のため剪定からの回復が早く、ストレスを最小限に抑えられます。1~3年目の若い株は成長が速いため、春と初夏の年に2回の剪定がおすすめ。
こまめな剪定で樹形を整えやすくなります。樹形がある程度整った4年目以降は年に1度の剪定で十分です。大きな鉢植えで育てるとウンベラータも大きくなるため、スペースに合わせて3年に1度は強めの剪定を行います。
基本的な剪定のやり方
ウンベラータを剪定すると、白い樹液がポタポタと落ちてきます。肌に刺激を与えるため、必ず手袋をして作業しましょう。剪定バサミもアルコールや熱で消毒してから使います。不潔なハサミを使うと、そこからウイルスなどに感染することがあります。
まず枯れた枝や葉を取り除き、次に混み合った枝を剪定して風通しと日当たりをよくします。鉢植えの向きによって伸び方が異なるので、伸びすぎた枝をカットして樹形を整えます。また、内側に生えた枝は成長の妨げになるので枝の根元からカットします。
剪定後の成長を促すコツ
剪定を行うと樹にストレスがかかります。ストレスからの回復を優先するため肥料や水は控えめに、直射日光を避けて明るい日陰で養生します。
太い枝を剪定する場合は傷口から出る樹液をやさしく拭き取ってから癒合剤で傷口を保護すると回復が早まります。
葉を美しく保つ日常ケア
適切な日当たりと水やり、湿度管理が重要です。また、葉の表面にホコリがたまりやすいので濡れたふきんでやさしく拭き取るか、定期的に葉水をしてあげると元気を保てます。観葉植物の葉の表面に付着した埃や汚れを落とし、自然な光沢をもたらす「リーフクリーナー」も販売されています。
ウンベラータの増やし方
ウンベラータは水挿しや取り木で簡単に増やせます。水差ししたままでも長生きしてくれるので、剪定枝は捨てずに増やしましょう。
水挿しの手順

剪定した枝の先端を、アルコールや熱で消毒したカッターで斜めにカットします。たれてきた樹液を拭き取るか洗い流して水挿しします。3週間ほどで発根しますので、そのまま水耕栽培を続けるか、鉢に植え替えます。鉢に植え替えたほうがその後の成長が早いです。
水挿しのポイント
枝に葉をたくさん付けたままだと過度に水分蒸散してしまうので、2〜3枚残してあとは取り除きます。ウイルス感染を防ぐために必ず清潔な刃物で先端をカットし、水はできるだけ毎日替えてあげましょう。とても生命力が強い植物なので、成長期であればほとんど失敗することなく発根してくれます。
取り木の手順
ゴム手袋、カッター、水苔もしくはピートモス、ラップ、紐やテープを準備します。直径1〜2cm程度の枝の樹皮を幅3cmほどの環状に剥ぎ取ります。樹液は拭き取るか洗い流します。水で湿らせた水苔を剥いだ部分に厚く巻き付け、ラップで巻き付けます。紐やテープで固定し、水苔が乾かないよう定期的に水を与えます。
数週間〜2ヶ月ほど管理して根が十分に出てきたら、剪定バサミを使って取り木を親株から切り離します。切り離した枝を鉢に植え、明るい日陰で管理します。
取り木のポイント
切り口がウイルスなどに汚染されないよう、清潔な道具を使いましょう。十分に根が付くまでは水苔が常に湿っている状態になるよう注意します。
ウンベラータに起こりがちなトラブルと対処法
葉が落ちる原因は?
ウンベラータは管理がうまくいっていないと葉の色が薄くなってポロリと落ちてしまいます。主な原因は冬の寒さや乾燥ですが、過剰な水やりによる根腐れ
や水不足、急激な環境変化、病害虫などが原因で落ちる場合もあります。よく観察して原因を突き止めましょう。
根腐れを防ぐためのポイント
ウンベラータは多湿の環境を好みますが、水をやりすぎたり皿水をそのままにしておくと根腐れする可能性があります。根腐れすると、葉が黄色くなって落ちたり、根から異臭が漂ったり、根の色が濁ったり溶けたりします。放っておくと根元がグラグラになってしまいます。
根が詰まって排水性が悪くなることで根腐れすることもあるので、適切な水やりと水はけのいい環境を保持することが大切です。
病気を早期発見するコツ
お手入れをする中でウンベラータの変化に敏感になることが重要です。
土の表面、鉢底の様子、茎の状態を観察し、葉の健康にも注目します。何か不調が出ると、最初に葉に元気がなくなります。しおれたり、黄色くなったり、虫が付いていないかチェックしましょう。
ウンベラータでよく見られる病害虫
ウンベラータでよく見られる病害虫と、その対策方法を紹介します。かかりやすい病気や害虫をあらかじめ知っておくことで、焦らず落ち着いて対応が行えます。
カビやウイルス性の病気
ウンベラータの葉は薄く、カビやウイルス性の病気に注意が必要です。葉に茶色や黒の斑点が現れる炭疽病や葉の表面に白い粉状のカビが付着するうどんこ病などの症状が見られたら罹患した葉をすぐに取り除き、殺菌剤を使用したあとは風通しをよくして再発を防ぎます。
ハダニ
ウンベラータの葉にクモの巣のような糸を見つけたらハダニが付いている可能性があります。ハダニがつくと株全体の元気が失われるので、見つけ次第濡れふきんなどで拭き取り、症状が重い場合は殺虫剤を使用します。ハダニは水分を嫌うので、定期的に葉水を行うと予防になります。
カイガラムシ
葉や茎に白や茶色の硬い殻やワックス状の付着物がつき、葉がベタついて成長が阻害されます。見つけたら歯ブラシや綿棒で擦り落とし、殺虫剤を使って駆除します。風通しを良くすると再発防止につながります。
コバエ(キノコバエ)
ウンベラータの用土からコバエが大量発生することがあります。土の中に卵や幼虫がいるため、成虫を駆除しても次から次に生まれてきます。土中の卵や幼虫まで徹底的に駆除する必要があるため、ダントツやオルトランなどの殺虫剤を溶かしたバケツに鉢ごと一晩つけておきます。室内用の観葉植物専用土を使うと害虫の発生リスクも抑えられます。
ウンベラータを長く楽しむために
観葉植物としてのウンベラータの寿命は、平均10年ほどといわれています。生育環境が良好で管理が行き届いていれば、さらに長く楽しめます。インテリアの主役にも脇役にもなれる素敵な観葉植物です。
インテリアとして映える飾り方

ウンベラータは空間の主役になれる、華のある観葉植物です。大きく広がる葉を活かすために壁や家具から少し離して配置するのが映えのコツ。部屋の中央やコーナーに置くと存在感が増します。
ウンベラータの葉にスポットライトや間接照明を当て、影を壁に映してドラマチックな雰囲気にするのもおすすめ。
剪定枝で増やしたウンベラータをデスクまわりや窓際に飾るのもおすすめです。縦長のコップに水挿ししておくだけで絵になります。
初心者でも育てやすく、元気な気持ちにしてくれる観葉植物
ハート型の大きな葉と優雅な樹形が魅力のウンベラータ。管理がラクで華があるのが、カフェやサロンなどで好まれる理由だと思います。
成長が早くて初心者でも育てやすく、鮮やかな黄緑色が元気な気持ちにしてくれます。ぜひあなたのインテリアに取り入れてみてください。



















