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林業とは 仕事内容や収入、必要な資格などを徹底解説

林業とは 仕事内容や収入、必要な資格などを徹底解説

森林を育てて管理し、木材などを生産する林業(りんぎょう)。近年は社会的な意義も評価されるなど、農業との共通点も多い産業です。国土の67%が森林である日本において、林業は木材などの生産以外にも山林の環境保全や水源の涵養、土砂災害の防止、森に生きる生物の多様性の維持など、社会にとって欠かせない役割を数多く担っています。
この記事では、林業への就職や転職を考えている人や関連する産業に携わる人へ、林業の仕事内容や働き方、雇用形態や収入、必要な資格などについて解説しています。

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林業とは、未来の森を育てる仕事

杉林
日本の森林面積は2500万haを超えており、国土の67%に及びます。その大半が、人の手によって植林、播種された人工林です。
林業は木を伐採するだけでなく、苗木を植え、育て、適切に管理して次の世代の森を育てる仕事です。森林には国土の保全や水資源の涵養、野生動物の住処を確保する機能などがあり、林業は社会的に重要な産業といえます。

林業は農林水産省の外局である林野庁の管轄であり、地域ごとに国有林を管理する森林管理局が置かれています。また、都道府県や市町村でも、管内にある公有林の管理を行っています。そのほかに国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所があり、100年以上にわたって森林や林業に関わる研究開発が行われています。

林業の主な仕事

重機と木材
林業では樹木や森の成長に合わせて多くの作業工程があり、さまざまな仕事があります。時には数十年スパンになる作業もあります。

主採

主採(しゅさい)とは、成熟した木を木材として利用する目的で伐採する作業で、林業において収益の核となる部分です。主伐(しゅばつ)とも呼ばれています。伐採した後は、新たに苗木を植えるなどして森林の更新を行います。

皆伐とは

皆伐(かいばつ)は主伐の一種で、一定の範囲内にある樹木の全部または大半を伐採する方法です。

地ごしらえ

地(じ)ごしらえとは、伐採した跡地に残った枝や葉などを取り除き、次の植栽(植え付け作業)をしやすくする作業です。

植栽

林業における植栽(しょくさい)とは、地ごしらえを行った後に苗木を植える作業です。

下刈り

下刈り(したがり)とは苗木の生育を妨げる雑草などを刈り払うことです。一般的に植栽から数年間、春から夏の間にかけて行われる作業です。

除採

除採(じょさい)あるいは除伐(じょばつ)とは、育てようとする樹木の生育を妨げる他の樹木を刈り払う作業です。下刈りの必要がなくなってから3~5年後に行われます。

枝打ち

枝打ち(えだうち)とは、節のない木を育てるために枝を切り落とすことです。節のない良質な木材を生産する目的のほか、森林の通風や採光を良くする効果もあります。

間伐

間伐(かんばつ)とは、樹木どうしの競争を軽減するため、混み具合に応じて一部の樹木を伐採することです。主伐までの期間に適宜行われます。

間伐をしないとどうなる?

間伐を行わない場合、木が密集しすぎて日光が届きにくくなり、成長が妨げられます。太く良質な木材が育たなくなるだけでなく、下草が生えなくなるため土砂災害の防止や水源の涵養といった機能が弱まり、住む場所や餌場を失ったイノシシやクマなどの野生動物が人里へ出没する原因にもなります。森を適切に維持するために、間伐は欠かせない作業です。

林業の歴史と日本の森林の現状

木材
森林の多い日本では、古くから日用品の材料や建築資材、燃料として木材が活用されてきました。江戸時代には森林資源の枯渇や災害の発生が問題視され、幕府や各藩による造林や、伐採を禁止する留山(とめやま)を設定するなどの規制が始まります。

近代化により木材の需要が増加した明治時代には森林伐採が盛んに行われ、山林が荒廃したため1897(明治30)年に森林法が制定されました。

終戦後は復興のために木材の需要が高まり、森林の荒廃が再び大きな問題となりました。1951(昭和26)年には「森林法」が改正され、伐採の規制が強化されます。国策として全国で植林が行われ、昭和20年代後半から40年代にかけて集中的にスギなどの人工林が造成されました。これが現在の林業につながっています。

近年は安価な輸入木材との競合や高齢化による労働力不足などの影響で、国産材の供給は低迷しており、2023年の国内自給率は43%程度にとどまっています。国土の67%が森林という資源に恵まれた環境でありながら国内の林業は低迷していることから、健全な森を守り、持続可能な林業を行う次世代の担い手が求められています。

林業が果たす役割

林業は木材を生産するだけでなく、山林の維持管理や植林によって森林の持つ多面的機能を支えています。まとまった森林は、二酸化炭素を吸収する、水源を涵養する、土砂災害を防ぐ、野生動物の生態系を守るなど多くの役割を果たします。また、中山間地域での雇用創出や産業振興の側面も重要です。

林業を仕事にする魅力

チェーンソー
林業への就職・転職を考える人にとって、林業の仕事にはさまざまな魅力があります。

自然と共に、柔軟に働ける環境

山林や森の中での作業が多いため、自然の豊かな環境で働けます。都市部のデスクワーカーとは異なる働き方、ライフスタイルが実現できます。地域にもよりますが繁忙期と閑散期があり、閑散期にはまとまった休暇が取りやすいメリットもあります。

機械化による働きやすさ

以前は手作業に頼ることが多かった林業も、機械の導入により危険な作業や重労働が減ってきています。フェラーバンチャやハーベスタ、フォワーダなどの高性能林業機械を活用することで、従来のチェーンソーや刈払機などの機械に比べ効率的で身体的な負担も軽くなるなど、働きやすくなってきたと言えます。

異業種からの挑戦に、手厚いサポート

異業種から林業への就職、転職を目指す人に対し、さまざまなサポート制度があります。林野庁は「緑の雇用事業」として、新規就業者を対象とした研修等の支援を行っています。

また「緑の青年就業準備給付金事業」では、林業大学校等で林業への就業に必要な知識・技術を習得する若者への支援として最大150万円/年(最大2年間)の給付を行っています。
そのほかに自治体によっては移住支援制度があり、住まいの確保などに役立てられます。

解決すべき課題は安全面・経済性

魅力の多い林業ですが、解決すべき課題もあります。仕事場は山林の中であり、高所や足場の悪い場所での作業も多いため常に事故やケガのリスクがあり、安全性の確保が求められています。
輸入材との競合による国産木材の価格低迷も大きな課題です。機械化やコスト削減による生産性の向上とともに、未利用の間伐材の活用など新たな収益源の確保が望まれます。

林業の現場を知る。働き方と日常

作業員
林業に携わる人の働き方や日々のルーティン作業は多岐にわたります。

林業での働き方

過去にマイナビ農業が取材した若手林業者3人の事例を紹介します。
自伐型林業を営む株式会社皐月(さつき)屋の正社員として働く加藤さん、白川町地域おこし協力隊の林業技術者として働く三宅さん、とある森林組合の職員として働く石田さんと、働き方も所属する組織もさまざまです。

1日のスケジュール例と雨の日の作業

屋外作業が大半のため、朝早くに作業を開始し、日没までに退勤となっています。

時間帯 主な作業内容(例)
6:30〜8:00 起床、現場事務所や集合場所へ移動
8:00〜12:00 現場作業(間伐、作業道の開設など)、途中休憩
12:00〜13:00 昼休み(山の中で弁当を食べる楽しみも)
13:00〜17:00 現場作業、途中休憩。道具や機械の手入れ、事務所へ移動
17:00〜 片付け、退勤。資格取得の勉強や副業などを行う人も。

また、現場作業ができない雨の日は、事務所内でのさまざまな事務仕事を行うほか、資格取得のための勉強にあてる場合もあります。

年間スケジュール例

林業では間伐作業や作業道の開設、森林調査など通年で必要に応じて行う業務と、季節ごとに行う業務があります。また積雪や梅雨の有無など、地域の気候特性によっても内容が異なります。

時期 主な作業内容(例)
1~3月 主伐、地ごしらえ、間伐
4・5月 植え付け、間伐
6~8月 下刈り、間伐
9・10月 除伐、枝打ち、間伐(地域により植え付け)
11・12月 間伐

林業分野での働き口や年収は

前項で紹介した事例でも3者3様であったように、林業における就職先は多岐にわたります。

主な就職先・勤務先

林業に関わる主な就職先としては、森林組合、民間の林業会社、自治体、森林管理局や林野庁、NPO法人などが挙げられます。また自治体の支援制度を利用するなどして、自伐型林業を個人で始める人もいます。

収入はどれくらい?

就職先や働き方によって、林業の収入はさまざまです。林野庁によれば、2023年時点の林業従事者における月給制の割合はおよそ3割(約7割は日給制や出来高制)で、社会保険等の加入割合は約8割、平均年収360万円となっています。年間210⽇以上の就業割合は約7割と、フルタイム労働でない人も母数に含まれています。

林業で活躍するために必要なスキル

林業従事者になるために必須の資格は特にありません。チェーンソーや重機の操作が必要なスキルの代表的なものです。機械の操作は収入やキャリアアップのカギになると言え、ドローン操作などのICTスキルによる差別化も今後さらに注目されそうです。

山林の中で自然を相手にする仕事のため、基本的な体力と判断力が必要であり、複数人で作業を行うことが多いためチームワークも重要です。また、森や山、自然を愛する心を持っていることも重要な適正のひとつです。

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林業での新たな取り組みと将来の展望

間伐後の山林
伝統的な産業である林業も、技術革新と社会の要請によって進化しています。

著しいICTや機械化

近年はICT(情報通信技術)やAI、高性能林業機械の活用により、林業のスマート化が進んでいます。ドローンやレーザー機器による森林の調査、高精度の地図データによる作業計画の作成が行われているほか、伐採・搬出作業の自動化や機械の遠隔操作も研究されています。

都市と林業をつなぐ試み

山間部と都市部をつなぎ、森林資源の価値を伝える試みもなされています。地域おこし協力隊による観光と林業を融合したツアープログラムの実施、林業になじみのない子どもたちへの木育(もくいく)などを通じ、森林資源を守る意識の醸成や国産木材の評価、利用促進が期待されています。

若者や女性の参入促進による多様化

新規就業者への支援策や機械化により、未経験者の若者や女性が林業に参入しやすくなってきています。そのため柔軟な働き方や産休・育休を取りやすい環境整備なども進み始めています。

加速するカーボンニュートラルの取り組み

2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向けた動きの中で、森林がCO2を吸収・固定する機能が注目されており、林業の役割はますます重要になっています。J-クレジット制度の活用などで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。

林業は未来の森を育てる仕事

集積場
林業は単に木材を生産するのではなく、木を植え、育て、森を守り、そして次の世代へ引き継ぐ重要な仕事です。地球規模の課題解決に貢献できる産業として、大きな期待が寄せられています。
また現在の林業は、高性能機械の導入や、AI・ICTの活用、国による手厚い支援策によって、未経験者でも挑戦しやすい環境が整いつつあります。

林業への就職・転職に興味のある人は、全国森林組合連合会による「森林の仕事オンラインガイダンス」など、オンラインで気軽に参加できる相談会なども活用して、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。

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