チコリとは?

チコリ(チコリー)は、ヨーロッパ原産のキク科の多年草で、和名を「キクニガナ(菊苦菜)」といいます。冬から春にかけて旬を迎える葉野菜で、白く重なる葉の美しさとほろ苦さが特徴です。生ではシャキッとした食感、加熱するとやわらかくなり、甘みが引き立ちます。 フランスやベルギーでは「アンディーブ」と呼ばれ、サラダやグラタンなどの定番食材です。
日本では1970年代に導入され、岐阜、埼玉、長野、北海道などで栽培されています。輸入品は主にオランダ・ベルギーを中心とするヨーロッパ各国およびニュージーランドから通年流通しています。
チコリの特徴
チコリは、白く先のとがった舟形の葉が幾重にも重なった姿が特徴で、見た目は小さな白菜のようです。手のひらサイズで、直径15〜20cmほどとコンパクトです。日光を遮る「軟白栽培」で育てられた若芽を食用とするため、葉はやわらかく、ほろ苦さの中にほんのり甘みがあります。
花・葉・根のすべてが食用となる万能野菜で、花はサラダや飾りとなるエディブルフラワー、根は代用コーヒーなどに活用されています。また、一般的な白いチコリのほか、鮮やかな赤紫色の「赤チコリ」もあり、料理の彩りとして人気です。
チコリとトレビス、エンダイブとの違い
チコリ、トレビス、エンダイブはいずれもキク科キクニガナ属の葉野菜で、見た目や名前が似ているため混同されがちです。
「トレビス(ラディッキオ)」はキャベツのように結球し、紫がかった赤い葉と白い葉脈が特徴。やや強い苦みがあり、生サラダの彩りやリゾット、グリル料理などに多く利用されます。
「エンダイブ」はチコリのフランス語「アンディーブ」の英語読みですが、実は別の野菜を指します。緑色でフリル状の葉が特徴で、ほろ苦くシャキッとした食感。サラダのほか、スープや肉料理の付け合わせにも重宝されます。
いずれも姿かたちは異なりますが、共通して大人の苦みと香りを楽しむ西洋野菜として人気です。
チコリの花は初夏から秋にかけて咲く

食材として知られるチコリですが、可憐な花を咲かせる多年草でもあります。草丈は60cm〜1.5mほどで、初夏から秋にかけて淡い青紫色の花を咲かせます。その姿はまるで小さなキクのよう。晴れた日の午前中にだけ開き、午後には閉じるという特徴があります。
ヨーロッパでは野に咲くハーブとして親しまれ、観賞用としてガーデニングに取り入れられることも。花言葉は「待ちぼうけ」「節約」。小さくも凛とした花の姿に、どこか健気さを感じさせます。
チコリの根はコーヒーになる

チコリは根まで活用できる植物です。太く育った根を乾燥させて焙煎し、粉末状にしたものが「チコリコーヒー」と呼ばれる代用コーヒー。カフェインを含まないため、ヨーロッパでは古くから妊娠中でも楽しめる飲み物として親しまれてきました。
味わいは深いコクと香ばしさがあり、コーヒーよりまろやかでやさしい後味が特徴です。整腸作用のあるイヌリンを多く含むことから、健康志向の高まりとともに注目されています。近年はコーヒーにブレンドして苦みを加えたり、ミルクで割った「チコリラテ」としても人気です。
チコリに含まれる栄養と効能

チコリは100gあたり約20kcalと低カロリーで、健康や美容を意識する人にうれしい食材です。ほろ苦い味わいの中には、ポリフェノールの一種であるチコリ酸や水溶性食物繊維のイヌリンなど、体を内側から整える成分が豊富。腸内環境の改善やデトックス効果、血糖値の上昇を抑える働きが期待されています。さらに、むくみを防ぐカリウムも含まれ、まさに食べて整う西洋野菜です。
チコリ酸
チコリ特有の苦み成分であるチコリ酸は、ポリフェノールの一種です。強い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去して細胞の老化を防ぐ働きがあるといわれています。また、肝機能をサポートし、疲労回復や代謝の促進にも役立つとされています。チコリのほろ苦い風味は、このチコリ酸によるものです。
イヌリン
チコリの根や葉に多く含まれるイヌリンは、水溶性食物繊維の一種で、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。糖の吸収をゆるやかにして血糖値の上昇を抑えるほか、便通を促し、デトックスやダイエットにも効果的。整腸・美容・健康をサポートするチコリの代表的な成分です。
カリウム
チコリには、ミネラルの一種であるカリウムが豊富に含まれています。体内の余分なナトリウムを排出し、むくみや高血圧の予防に役立ちます。カリウムなどのミネラル成分は、加熱しても失われにくいため、生食でも加熱調理でも効率よく摂取できます。
チコリの栽培方法

チコリは、軟白栽培した若芽のほか、葉や茎、花、根まで収穫できる多用途な作物です。春や秋に種をまき、3月〜5月に葉や茎、5月〜9月に花、冬には軟白栽培の若芽を収穫します。2年目以降の冬には、太く育った根も収穫可能です。病害虫の被害が少なく、家庭菜園でも育てやすいのが特徴。深型のプランターでも栽培できるため、ベランダガーデニングにも向いています。
種まき・植え付け
植え付けの約2週間前までに畑へ元肥を施し、深く耕しておきます。種は直まきも可能ですが、小さいためポットでの育苗がおすすめです。1ポットに2〜3粒ずつまいて覆土し、たっぷり水を与えます。本葉が2〜3枚になったら1本に間引きし、本葉4〜5枚で株間20cm程度にして植え付けます。
軟白栽培
軟白栽培を行う場合は、肥料を与える必要はありません。9月頃に根株を掘り上げ、根元から3cmほどの位置で葉と茎を切り落とします。新しい鉢やプランターに植え替え、もみがらや軽い土で15〜20cmの厚さに覆土します。日光を避けることがポイントで、暗い場所で管理するか、寒冷紗などで覆って遮光します。およそ1カ月で白くやわらかな芽が伸びてきます。
管理・水やり
チコリは高温多湿を嫌うため風通しの良い環境で育てましょう。水の与えすぎは根腐れの原因になります。鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水を与え、地植えなら自然の降雨で十分です。植え付け後は月1~2回を目安に追肥をすると生育が安定します。
収穫
軟白栽培した若芽は、移植から約1カ月後、芽が伸びて結球したタイミングで収穫します。通常の露地栽培では、種まきからおよそ100〜120日が収穫期の目安です。
葉は3〜5月に若葉が生えたら随時収穫でき、花は5〜9月にかけて長く楽しめます。根は2年目以降の12月〜翌年1月にかけて掘り上げ、チコリコーヒーなどに利用できます。
チコリの食べ方

チコリは、生でも加熱してもおいしく食べられる万能野菜です。独特のほろ苦さを生かすには、シンプルな味付けがポイント。根はコーヒー、花はエディブルフラワー、若葉は炒め物などで幅広く利用されています。
生で食べる
チコリのシャキッとした歯ざわりとほろ苦さは、サラダや前菜に最適です。葉を1枚ずつはがして舟形の器にし、具材をのせてカナッペ風に。または一口大にちぎってサラダに加えます。チーズや卵、マヨネーズなどと合わせると苦みとのバランスが良く仕上がります。
加熱調理して食べる
加熱すると苦みがやわらぎ、甘みが引き出されます。ソテーや炒め物では焦げ目をつけることで香ばしさが加わります。ヨーロッパでは、蒸してオリーブオイルと塩で仕上げるなど素材の持ち味を生かす調理法が好まれています。
スープやグラタンにして食べる
煮込みやグラタンにも使いやすく、冬の温かい料理にぴったりです。ベーコンやコンソメと一緒に煮込むと、ほろ苦さと旨みが溶け合って深い味わいに。ホワイトソースとチーズで焼くグラタンは、ベルギーの家庭料理として定番です。加熱しても葉が崩れにくいので、見た目もきれいに仕上がります。
コーヒーとして味わう
チコリの太い根は、カフェインを含まない代用コーヒーとして知られています。根を洗って皮ごと刻み、フライパンで炒った(ローストした)ものを、コーヒー豆と同様に使用します。ミルで挽いてドリップするか、お茶のようにポットで抽出して飲用できます。ミルクを加えた「チコリラテ」にするとまろやかな口当たりが楽しめます。
エディブルフラワーとして活用
チコリの淡い青紫色の花はエディブルフラワーとして人気があります。サラダやカルパッチョ、冷製パスタなどに添えると彩りがぐっと華やかに。ほのかな苦みと爽やかな香りがアクセントになり、料理全体の印象を引き締めます。 ヨーロッパでは、食卓やデザートの飾りに用いられるほか、ハーブティーやシロップに浮かべて楽しまれています。
チコリをおいしく食べるおすすめレシピ5選
冬に旬を迎えるチコリは、ほろ苦さと淡い甘みが魅力。生では爽やかな苦みと歯ざわりが楽しめ、火を入れるとやわらかく甘みが引き立ちます。サラダでさっぱり、天ぷらで香ばしく、グラタンやソテーであたたかく。寒い季節の食卓に、手軽に作れて素材の味をいかすレシピをご紹介します。
卵ポテトサラダのチコリボート

チコリを舟形に見立てて具材をのせた料理。ポテトサラダをのせた華やかな前菜は、チコリほろ苦さとポテサラのやさしい甘みが絶妙で、パーティーのフィンガーフードにもおすすめです。
材料(作りやすい分量)
- チコリ 1株
- じゃがいも 1個(約200g)
- ゆで卵 1個
- ハム(細切り) 2枚
- マヨネーズ 大さじ2
- 塩・こしょう 各少々
作り方
- じゃがいもは皮をむき、一口大に切ってゆで、熱いうちに軽くつぶす
- ゆで卵を粗みじん切りにし、ハムとともにボウルに入れる
- マヨネーズ・塩・こしょうを加えて全体を和える
- チコリの葉を1枚ずつ外し、舟形にして③を適量のせる。好みで黒こしょう(分量外)をふる
チコリとチーズのトスサラダ

トスサラダとはあらかじめ野菜などの具材にドレッシングを混ぜ込んだサラダ。ブルーチーズのコクとチコリのほろ苦さが絶妙にマッチする大人の味わいは、ワインにもよく合います。
材料(2人分)
- チコリ 2株
- ブルーチーズ(またはカマンベール) 40g
- くるみ(ロースト) 大さじ1
- オリーブオイル 大さじ1
- レモン汁 小さじ1
- 塩・こしょう 各少々
- はちみつ 小さじ1(好みで)
作り方
- チコリは根元を切り落とし、葉を一口大にちぎる
- ボウルにオリーブオイル、レモン汁、塩・こしょうを入れて混ぜ、ドレッシングを作る
- チコリ、砕いたくるみ、ちぎったチーズを加え、全体を軽く和える
- 器に盛り、仕上げにはちみつをかける
チコリの天ぷら

衣のサクッとした食感と、チコリのほんのり甘い苦味が楽しめる和風アレンジ。抹茶塩やレモン塩でいただくと上品な味わいです。
材料(2人分)
- チコリ 2株
- 天ぷら粉 1/2カップ
- 冷水 1/2カップ
- 揚げ油 適量
- 抹茶塩(またはレモン塩) 適量
作り方
- チコリは縦半分に切り、水気をしっかり拭き取る
- ボウルに天ぷら粉と冷水を入れて軽く混ぜ、衣を作る
- チコリに衣をくぐらせ、170℃の油で約1分半〜2分揚げる
- 油を切り、抹茶塩を添えて熱いうちにいただく
チコリの米粉ホワイトソースグラタン

米粉で作るグルテンフリーのホワイトソースが、チコリのほろ苦さを包み込みます。やさしい口当たりで冬においしいグラタンです。
材料(2人分)
- チコリ 2株
- バター 15g
- 米粉 大さじ1と1/2
- 牛乳 200ml
- 塩・こしょう 各少々
- ピザ用チーズ 適量
- 黒こしょう(仕上げ用) 少々
作り方
- チコリは縦半分に切り、塩を少々入れた湯で軽く下茹でする(約1分)
- フライパンにバターを溶かし、米粉を加えて弱火でよく混ぜる
- 牛乳を少しずつ加えてのばし、とろみがついたら塩・こしょうで味を調える
- 耐熱皿にチコリを並べ、③のソースをかけ、チーズをのせる
- オーブントースター(200℃)で約10分焼き、黒こしょうをふる
バルサミコ香るチコリのソテー

チコリの甘みとほろ苦さをシンプルに引き出す一皿。 仕上げにバルサミコ酢をひとまわしすれば、香ばしい香りと酸味がアクセントになります。
材料(2人分)
- チコリ 2株
- オリーブオイル 大さじ1
- にんにく(薄切り) 1片
- バルサミコ酢 小さじ2
- 塩・こしょう 各少々
- バター(仕上げ用) 5g
- パルメザンチーズ(好みで)少々
作り方
- チコリは縦半分に切り、水気をしっかり拭く
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火で香りを出す
- チコリを切り口を下にして並べ、中火で3〜4分、こんがり焼き色をつける
- 裏返してさらに2〜3分焼き、塩・こしょうをふる
- バルサミコ酢を回しかけ、軽く煮詰めながら全体に絡める
- 火を止めてバターを加え、余熱で溶かす。器に盛り、お好みでパルメザンチーズをふる
栽培も料理も楽しめるチコリの魅力

チコリは、白菜を小さくしたような見た目の野菜ですが、これは日光を遮って育てる「軟白栽培」により、苦みをやわらげて食べやすくしたものです。生で食べるとシャキッとした食感、加熱すると甘みが引き立つコクのある味わいが楽しめます。
日本の家庭ではまだなじみの薄い野菜のひとつですが、国産チコリの旬は冬(12月〜3月頃)で、人が集まる季節のオードブルや熱々のグラタンにもぴったりです。
可憐な花を咲かせるハーブとしてガーデニングでも人気があり、栽培しやすい多年草。家庭菜園では、より苦みのある若葉や花、根の収穫を楽しみ、若芽の軟白栽培にも挑戦できます。眺めても、育てても、味わっても楽しいチコリを、季節を通じて取り入れてみませんか。


















