ハクサイダニとは
ハクサイやキャベツなど、アブラナ科の葉物野菜を中心に被害をもたらすハクサイダニ。体が非常に小さく肉眼では見えにくいため、気づいたときには葉が白くかすれ、株全体が弱っていることも少なくありません。寒冷な時期に増殖するこのダニは、露地栽培でもハウス栽培でも問題となる害虫です。
ハクサイダニの特徴

ハクサイダニ ※引用:香川県ホームページ
ハクサイダニは、ダニの仲間で、体長は1ミリ前後。黒っぽい胴体に赤みを帯びた脚をしており、成虫・幼虫ともに葉の裏側に寄生して植物の汁を吸います。加害によって葉に白い斑点やかすれが現れ、進行すると葉全体が黄化、縮れ、萎縮することもあります。特にハクサイやカブ、コマツナなどの葉菜類の被害が顕著です。
生態と発生サイクル
ハクサイダニは冬の寒く乾燥した環境を好み、11~4月に活発に活動し、1月頃に多発します。気温が高くなる夏季は土中に潜り休眠し、涼しくなると再び活動を始めます。卵から成虫になるまでも世代交代が早く、条件がそろうと短期間で数が急増します。葉裏や葉の重なり部分に卵を産みつけ、幼虫・若虫・成虫の順に発育します。乾燥した環境では発育が進みやすく、また、密植や風通しの悪い場所では被害が拡大しやすくなります。特にビニールハウスでは冬でも活動が続くため、定期的な葉裏の確認が重要です。
発生しやすい時期と環境
ハクサイダニは、冬から春にかけての寒い時期に活動が活発になる珍しいタイプのハダニです。一般的なハダニが夏の高温期に増えるのに対し、ハクサイダニは低温期を好むため、秋冬の葉物野菜を栽培しているときに被害が出やすくなります。特に乾燥した環境や、葉が重なり合って風通しが悪くなる状況では、繁殖が一気に進むため注意が必要です。
発生時期
主な発生時期は11月から翌年4月頃までです。春先の気温上昇とともに個体数が減少し、初夏にはほとんど見られなくなります。夏場は土に潜って過ごし、秋の気温低下とともに再び活動を再開します。
そのため、秋にハクサイやキャベツなどを植える家庭菜園では、定植直後の葉裏確認が重要です。初期段階での発見と防除が、越冬世代の増加を抑えるポイントになります。
発生しやすい環境
ハクサイダニは乾燥した低温環境で発育が早くなる傾向があります。特に風通しが悪く、葉が密に重なった場所では繁殖が進みやすく、被害が局所的に拡大します。
露地栽培では、北風の当たらない畝や防寒資材の内側など、湿度が下がりにくい場所に潜みやすいとされています。ビニールハウスでは暖房や換気の影響で湿度が低下しやすく、乾燥気味の状態が続くと発生が増加します。
被害の特徴と見分け方
ハクサイダニの被害は、初めはわずかな葉色の変化から始まります。虫そのものが非常に小さく、見落とされやすいため、気づいたときにはすでに株全体の生育が止まっていることも少なくありません。特に冬場に育てるハクサイやキャベツ、コマツナなどでは、低温期に活動するこのダニが大きな被害をもたらします。
葉への被害

ハクサイダニによるレタスへの被害 ※引用:香川県ホームページ
ハクサイダニは主に葉裏に寄生し、植物の汁を吸って被害を与えます。吸汁された部分の細胞が壊されることで、葉の表面に白いかすれ状の斑点や粉を吹いたような跡が現れます。葉の質感はざらつき、光沢が失われ、触るとやや硬くなります。
被害が進むと、葉の表面にもダニが移動して加害するため、裏表の両方に銀白色の変色が見られるようになります。さらに症状が拡大すると、葉全体が灰色〜黄白色に変わり、しだいに巻き葉やちぢれが目立ち始めます。重度の場合は、葉先から枯れ込み、株の芯の成長が止まる「芯止まり」を引き起こすことがあります。
初期被害と進行度合いによる違い
初期段階では、葉の一部がわずかに白っぽく光る程度で、病気や日焼けと区別しづらいことがあります。虫そのものは0.7〜1ミリ程度と小さいものの、注意深く見ると黒っぽい体に赤みのある脚をもつ成虫がゆっくり動いているのが確認できます。特に葉裏の中心部や、葉脈の分かれ目付近を観察すると見つかりやすいです。
被害が進行すると、葉の変色が株全体に広がり、表面が銀灰色〜褐色に変わります。葉が硬化し、縮れたような外観になり、やがて枯死や萎縮へとつながります。乾燥した環境では症状の進み方が早く、数日のうちに急速に広がる場合もあります。
肉眼で見えるほどの数が付着している場合、すでに被害は深刻化していることが多いため、初期の色変化を見逃さずに対処することが重要です。
防除方法
ハクサイダニは低温期に発生し、肉眼では見つけにくいため、被害が広がってから気づくケースが多い害虫です。早期発見と的確な対策が、被害拡大を防ぐカギとなります。ここでは、発生初期の観察ポイントから防除薬剤、被害後の対応までを順に解説します。
発生初期の対策

葉の裏や成長点付近を定期的にチェックしよう
ハクサイダニは秋から春にかけて活動が盛んになるため、この時期はこまめな観察が重要です。特に冬場の晴天が続いた後は、葉の裏や成長点付近を週に一度程度確認しましょう。
被害の初期段階で白いかすれが見られた場合は、被害葉を早めに摘み取り、圃場外で処分します。葉の裏に残った卵から再発することが多いため、畑の中に放置しないことが大切です。
また、過繁茂や密植を避け、風通しをよくすることで繁殖を抑えられます。乾燥を防ぐために軽いかん水を行うのは有効ですが、ハクサイダニの活動は「高温・乾燥期」ではなく「低温期」に活発になるため、かん水は湿度保持の補助的な管理と考えましょう。
防除に使える農薬
発生初期に被害が拡大し始めたら、登録のある薬剤を早めに使用します。ハクサイダニに有効とされる主な薬剤には次のようなものがあります。
アディオン乳剤:速効性があり、成虫の動きを素早く止める効果があります。初期発生の防除に最適で、他剤とのローテーションにも向きます。
サンクリスタル乳剤:ハクサイダニの防除ではシュンギクのみに使えます。残効性があり、散布後もしばらく効果が持続します。
粘着くん液剤:化学農薬を避けたい場合におすすめの物理的防除剤。ハクサイダニも属するハダニ類全般の防除に使えます。植物由来の成分でダニを包み込み、呼吸を妨げて駆除します。低リスクで繰り返し使えるのが特徴です。
被害が出た後の対策
被害が広がった株は、見た目以上に内部の葉にもダニが潜んでいることがあります。被害葉を除去したうえで、株元や畝間の雑草も徹底的に取り除くことが重要です。雑草の葉裏や茎にも卵が付着し、次作の発生源になるため、雑草管理は防除の基本といえます。
収穫後は、残った株や葉を圃場に放置せず、圃場外で焼却または堆肥化するなど、ダニが生き残らない方法で処分します。連作を避け、アブラナ科野菜を同じ畑で続けて栽培しないことも予防策になります。
予防と栽培管理のポイント
ハクサイダニは一度発生すると防除が難しいため、予防と環境づくりが何より大切です。発生を未然に防ぐためには、次のような管理を心がけましょう。
ダニが発生しにくい環境をつくる
ハクサイダニは葉が密に重なり、風通しが悪い環境で増えやすくなります。
株間を広めにとり、風通しと日当たりを確保しましょう。
また、雑草の葉裏にもダニが潜むことがあるため、こまめな除草も有効です。冬期の栽培では、トンネルや防寒資材の中が乾燥しすぎないよう、時折換気すると発生を抑えられます。
肥料とかん水のバランス
肥料の与えすぎ、特に窒素過多になると、葉が柔らかくなりダニが寄りつきやすくなります。元肥・追肥は適量を守り、株を丈夫に育てることが最大の予防策です。
また、極端な乾燥は避けつつ、過湿にも注意。適度なかん水と通気性の維持がポイントです。
まとめ
ハクサイダニは、冬から春にかけての低温期に発生する厄介な害虫です。肉眼では見つけにくいものの、葉のかすれや黄白化など、初期のサインを見逃さないことが早期防除の第一歩になります。ぜひ本記事を参考にしてハクサイダニの防除に取り組んでみてください!

















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