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シャインマスカットの育て方 皮ごと食べられる高級ブドウを家庭で!

シャインマスカットの育て方 皮ごと食べられる高級ブドウを家庭で!

皮ごと食べられて、種もなくて、スーパーでもひときわお高いシャインマスカット。「一度でいいからお腹いっぱい食べてみたい!」と思ったことはありませんか? じつはシャインマスカットは、コツさえ押さえれば家庭菜園でも十分に育てることのできる品種です。ただし、ただ植えて放置しておけば勝手に高級ブドウになる……わけではありません。本記事では、家庭果樹向けに、シャインマスカットの植え付けから収穫までを丁寧に解説します。「ブドウなんて初めて」という人にもわかりやすく、“家庭ならではのゆるい裏ワザ”も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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シャインマスカットはどんなブドウ?

シャインマスカットは、ヨーロッパ系とアメリカ系の血をひく、比較的新しいブドウ品種です。暑さにも寒さにもある程度強く、日本全国ほとんどの地域で栽培できますが、「高温多湿+長雨」はあまり得意ではありません。
そのため、家庭で栽培する場合は、

  • 日当たりがよく
  • 風通しがあり
  • できれば梅雨〜収穫期は雨よけができる

場所を選ぶと、病気を減らして甘さも乗せやすくなります。
栽培期間は長く、晩秋〜冬の休眠期も含めて1年がかりで育てるイメージです。一度植えてしまえば毎年収穫できる“庭のパートナー”になるので、他の野菜との場所取りや棚の位置をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
ブドウは本来乾燥に強い性質を持っており、放っておくと多雨な環境では強く伸びていきます。シャインマスカットも例外ではなく、枝はとても強く伸びるので、家庭菜園では「枝をどこまで許すか」=剪定(せんてい)と誘引が楽しむポイントになります。

植え付け時期は11〜3月の落葉期

シャインマスカットの植え付け適期は、木が休眠している落葉期です。具体的には、

  • 寒冷地:11月上旬〜11月下旬、もしくは3月
  • 温暖地〜暖地:11〜2月頃

が目安になります。
葉が落ちている時期に植え付けることで、根づきがよくなり、春の芽吹きもそろいやすくなります。逆に、真夏の植え付けは苗が弱りやすくおすすめできません。
園芸店やホームセンターでは、冬から春にかけて鉢入り苗や根巻き苗が販売されます。初めての人は、1年生の接ぎ木苗で、太くがっしりとしたものを選ぶと、後々の木づくりがラクになります。
大切なのは、植え付けてすぐに、バッサリと切ってしまうこと。

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もったいない!と思うかもしれませんが、思いきって地上20~30センチ、もし根っこがほとんどついてないハズレ苗だった場合(家庭園芸用苗木ではよくあります)、接ぎ木部から10センチ上くらいまで切り詰めてください。いずれも絶対に接ぎ木部分より上で切ること。
強く切り詰めることによって強い枝がギュン!と伸びます。2年目以降、枝を出しすぎて弱々しい木をすでに持っている人も、弱いからこそ思いきり切り詰めてください。
シャインマスカットは本来強い植物です。大きく切られると、取り返そうとして強く生長するでしょう。

収穫時期は8〜9月頃

シャインマスカットの収穫期は、地域にもよりますが8〜9月頃が中心です。
5〜6月の開花から40〜50日ほどで粒が大きくなり、8月頃になると一気に色づきと甘みが増してきます。粒が緑から少し黄みを帯び、房全体がふっくらとしてきたら収穫のサイン。
家庭では難しい糖度計を使わなくても、

  1. 房の中から2〜3粒味見
  2. 「うわ、甘っ」と素で言ってしまったら収穫OK

くらいのノリで大丈夫です。
ブドウはあとから一気に甘くなるというより、「房全体がじわじわ仕上がっていく」イメージ。早すぎると酸っぱく、遅すぎると粒の表面がかすれたり割れたりしてしまうので、数日に分けて少しずつ味見しながらベストタイミングを探してみましょう。

シャインマスカット栽培を始める前に知っておきたいポイント5つ

ここからは、シャインマスカットを栽培するうえで、必ず押さえておきたいポイントを紹介します。それぞれ詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
①苗選びと棚(支柱)づくりが超重要
②鉢植えでも育てられるが、房数は控えめに
③剪定と「1枝1房」が甘さのカギ
④水やりは「春〜初夏にしっかり、収穫前は控えめ」に
⑤袋掛けと雨よけで病気と裂果を防ぐ

以上5つのポイントについて解説していきます。

①苗選びと棚(支柱)づくりが超重要

シャインマスカットは多年生のつる性果樹です。一度植えれば10年以上つきあう可能性があるので、「どんな苗をどこに植えるか」で、その後の難易度がかなり変わります。

  • 太さができるだけ太いもの
  • 根元がぐらつかないもの(根が張っている)

を選びましょう。
また、ブドウは必ず何かに登りたがる植物です。地植えの場合は、

  • 果樹棚
  • 庭のパーゴラやフェンス
  • 家の壁に沿わせたワイヤー

など、事前に「枝のゴール」を決めておくと、その後の剪定がとても楽になります。

②鉢植えでも育てられるが、房数は控えめに

「庭はないけれど、ベランダでどうしてもシャインマスカットを育てたい!」という人もいるでしょう。
そんな場合は、

  • 深さ30センチ以上、容量40リットルクラスの大鉢や大型プランター
  • フェンス代わりのラティスやベランダの手すり

を組み合わせれば、2〜5房くらいなら十分に収穫可能です。
ただし、鉢植えはどうしても根が制限されるため、

  • 水切れが早い
  • 寒さや暑さの影響を受けやすい
  • 房をつけすぎると木がすぐにバテる

といった弱点があります。
はじめのうちは「1鉢につき1〜2房」を目安に、欲を出しすぎないようにしましょう。シャインマスカットは1房でも満足度が高いので、まずは確実においしい房を作ることを目標に。

③剪定と「1枝1房」が甘さのカギ

ブドウ栽培で一番つまずきやすいのが剪定です。毎年どこを切ればいいのかわからず、気づけば枝だらけのカオスに……というのは家庭ブドウあるある。
シャインマスカットの場合、家庭では

  • 主枝(太い枝)を2本、横方向に伸ばしたいだけ伸ばす
  • 主枝から出る枝に実をならせ、その枝を毎年更新
  • 新梢(今年伸びた枝)1本につき、基本1房まで

というルールさえ守れば、細かい理論を覚えなくてもそれなりに形になります。

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「この枝に房をつけたら、この枝は1房でお腹いっぱい」というイメージで、枝と房のペアを作る感覚で管理するとわかりやすいでしょう。枝1本につき1〜2芽だけ残して冬に全部切ったら、同じところからまた枝(新梢)が出てくるので、毎年同じことの繰り返し。

④水やりは「春〜初夏にしっかり、収穫前は控えめ」に

水やりの基本は、

  • 地植え:植え付け直後と春〜初夏の乾燥期にしっかり、それ以外は基本雨まかせ
  • 鉢植え:春〜初夏は土の表面が乾いたらたっぷり、真夏と収穫前はやや控えめ

です。
特に、開花〜粒が太る時期に極端な水切れをさせると、粒が小さくなったり、生理落果したりしてしまいます。一方で、収穫直前に水をやりすぎると、甘みが薄くなったり、裂果(粒の割れ)の原因にもなります。
「春〜初夏はよく飲ませ、夏の後半はのどを乾かしすぎない程度に絞る」くらいのイメージで、季節によってメリハリをつけた水やりを心がけましょう。

⑤袋掛けと雨よけで病気と裂果を防ぐ

シャインマスカットは皮ごと食べるブドウです。見た目も食味も大事にしたいので、

  • 梅雨入り前後に薬剤散布+袋掛け
  • 可能であれば簡易的な雨よけ(ビニール屋根など)

をしておくと、病気や裂果のリスクをぐっと減らせます。
雨にあたる場合は、農薬の使用が可能な場所で育てるのがよいでしょう。

特にシャインマスカットで多い、黒とう病やべと病は、発生してから対処するより、発生させない工夫の方が大切です。袋掛けは少し手間ですが、家庭では房数も多くないので、1房ずつ「ラッピングしてあげる」感覚で楽しんでやってみてください。

シャインマスカットの栽培方法を地植え・鉢植えごとに紹介

ここからは、シャインマスカットの栽培方法について、地植えで育てる場合と鉢植えで育てる場合の両方を解説していきます。大まかな流れはどちらも同じですが、細かいところが違ってきますので、これから解説する方法をよく読んで挑戦してみてください。

シャインマスカットの土づくり

◯地植え栽培の土づくり

植え付けの2〜3週間前までに、1平方メートルあたり完熟堆肥(たいひ)10キロ、有機配合肥料(8-8-8や5-5-5)100グラム程度をよく混和しておきます。
耕す深さは30センチ程度を目安とし、できればスコップでしっかり土を起こしておくと、根が伸びやすくなります。ブドウは比較的酸性土壌にも耐えますが、苦土石灰も少量(1平方メートルあたり100グラム程度)施して調整しておきましょう。
長期間同じ場所で栽培することになるため、植え付け位置には直径40〜50センチ、深さ40センチほどの穴に“ごちそうゾーン”をつくるようなイメージで、有機物と元肥をしっかりすき込んでおきます。

◯鉢植え栽培の土づくり

鉢やプランターは、深さ30センチ以上の大型のものを選びます。培養土は市販の「果樹用」「野菜・花用」など、元肥入りの培養土で構いません。
自分でブレンドする場合は、赤玉土(中粒)6:腐葉土3:堆肥1に、化成肥料(10-10-10)を土1リットルあたり3〜5グラムほど混ぜると、初心者でも扱いやすい土になります。
鉢底には必ず鉢底ネットと鉢底石を敷き、排水性を確保しておきましょう。ブドウは「根が水につかりっぱなしの状態」が大の苦手です。

シャインマスカットの苗木の植え付け

苗木は、

  • ポットを外して根鉢を軽くほぐす
  • 傷んだ根があれば切り落とす
  • 接ぎ木部分が土に埋まらない深さで植える

ように注意しましょう。
植え付け後は、たっぷりと水を与え、支柱に軽く固定しておきます。このタイミングで、あとから棚やワイヤーにつなげやすい位置に主幹(将来の幹)を誘導しておくと、翌年以降の管理がスムーズになります。
最初に伝えた、バッサリ剪定を忘れずに!

◯鉢植え栽培の植え付け

鉢植えの場合も基本は同じですが、

  • 根鉢のまわりの古い土を1〜2センチほど落とす
  • 根を少し広げてから植える

と、鉢の中で根がまわりやすくなります。
接ぎ木部分が鉢土の表面よりやや上に出るように植え付け、割りばしサイズの支柱に仮固定しておきます。のちに、ベランダの手すりやラティスに主枝を誘引する予定の方向を意識して、苗木の向きを決めておくとよいでしょう。

剪定と新梢管理の基本

シャインマスカットの剪定は難しそうに見えますが、家庭向けに超ざっくり言うと、

  1. 冬(落葉期):太い枝(主枝)を2本だけ残し、その主枝から出る枝を20〜30センチおきに“実をならせる枝”とし、付け根から1〜2芽残して切る
  2. 春〜初夏:切った部分から伸びた新梢を棚に沿って誘引し、“1枝1房”で房をつける
  3. 適宜:伸びすぎた先端を摘心し、葉の枚数をコントロール(房のある位置から6枚くらい葉があれば十分)

という流れになります。
「難しいことはわからなくても、実をならせる枝は1~2芽残してカット」を意識しておくだけで、かなり失敗は減らせます。
枝がもったいなくて切れない……という人は多いのですが、シャインマスカットは放っておいてもガンガン伸びる“元気系ブドウ”です。思いきって切った方が、むしろ木も房も元気に育つと覚えておきましょう。

摘房・摘粒・袋掛け

シャインマスカットの房づくりは、プロの世界だとかなり高度な“職人芸”ですが、家庭では簡易版で十分です。以下の5つを押さえましょう。
・1本の新梢に花房が2つ以上ついた場合は、形の良い方を1つ残して他は早めに取り除く(摘房)

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  • 花が咲いてしまう前に、先端の5センチだけ残してあとは全部実を外す(実が見え始めたらあっという間に咲き、放っておくと1房に1000粒ほどの実をつけるので急いで! もったいないと思うでしょう。でもまだ100粒くらい残ってます)
  • (プラスαとして)種なしにしたい場合、ジベレリン液に房を浸す「ジベレリン処理」を行う(ホームセンターに売っています)。1回目は満開期、2回目は粒がエンドウ豆サイズになった頃が目安
  • 粒が増えすぎてギュウギュウになりそうな場合は、明らかに小さい粒や変形粒を中心に、1房あたり40粒程度になるよう間引く(摘粒)
  • 梅雨入り前後〜粒が大きくなった頃に果実袋をかける

とはいえ、「完璧な房」を目指すと途端に難易度が上がるので、家庭では、見た目はどうあれとりあえず食べられる房ができれば大勝利、くらいのゆるい目標で十分です。開花前に1000粒→100粒に減らすのが一番大事です。

追肥と水やり

肥料は、地植えの成木で年1回を基本に、冬に落葉したら有機配合肥料を1キロほど施用します。
若木の頃は木づくり優先でやや多め、成木になって房数が増えてきたら、樹勢を見ながら増減させます。鉢植えの場合は、春と秋に緩効性肥料を株元に置き肥し、収穫時期は追肥を控えめにすると果実の糖度が上がります。
水やりは前述の通り、

  • 春〜初夏:水切れさせない
  • 収穫期:乾き気味を意識

がポイントです。収穫前は肥料も水もちょっと少なく厳しい状況の方がおいしくなります。

収穫と保存

房全体がふっくらとし、粒が黄緑〜やや黄みがかる頃が収穫の目安です。
お店で売られているシャインマスカットの色よりも、もっと黄色くなるまで待ちましょう。棚持ちが悪いので流通はしませんが、完熟シャインマスカットは黄色です。緑色なのは流通のために早くとってるんですね。黄色い完熟シャインマスカットは信じられないくらい甘いです。押さえておきたいのは以下の3つ。

  • 朝の涼しい時間帯に、房の付け根からハサミで切り取る
  • 収穫後は直射日光を避けて涼しい場所で保管する
  • 冷蔵庫に入れる場合は、乾燥しすぎないよう袋に入れる

シャインマスカットは日持ちのよいブドウですが、完熟の場合、「すぐ食べる」のが一番のぜいたくです。

シャインマスカットが甘くならない! 失敗例や病害虫について

比較的育てやすいシャインマスカットですが、栽培環境によっては「甘くならない」「粒が割れる」「病気が出る」といったトラブルも。ここでは、よくある2つのトラブルを紹介します。

房をならせすぎて甘くならない・粒が小さい

「せっかく花がたくさん咲いたから」と全部残してしまうと、木が疲れてしまい、「粒が小さい」「糖度が上がらない」「翌年の芽が弱る」といった状態になりがちです。
とくに鉢植えでは、木のサイズに対して房数を欲張りすぎると一気にバテてしまいます。
“この木に、この年で、この房数は重いかも”と感じたら、勇気を出して間引くことが、結果的においしいブドウへの近道です。

それから、まだ木が小さいのに無理やり実をならせると、全然甘くない粒が混入しがちです。ジベレリン処理のタイミングを間違えるとこういう苦い粒ができます。何度か食べると、摘粒の時に、「あ、あの苦い粒だ」とわかるようになるので、外してしまいましょう。

シャインマスカットの病気

シャインマスカットは比較的病気に強い品種ですが、「雨が続く」「風通しが悪い」「枝や葉が混み合っている」といった条件が重なると、黒とう病やべと病が発生しやすくなります。

予防としては、

  • 冬の剪定で枝を混ませない
  • 梅雨入り前に殺菌剤を散布しておく
  • 袋掛けと雨よけで濡れっぱなしの状態を減らす

ことが有効です。
家庭菜園では、農林水産省に登録されている家庭園芸用殺菌剤をラベルどおりに使用し、「おかしいな?」と思ったら早めに対処するよう心がけましょう。特に4月と6月だけでも薬剤を散布すると病原菌に効果的です。

シャインマスカット栽培は「枝と房のコントロール」がいちばん大切

シャインマスカットは、育てていてとても楽しい果樹です。春の芽吹き、初夏の新緑、夏の房の生長、冬の骨格づくり──季節ごとに「やること」があり、庭やベランダを見るのが楽しみになります。
その一方で、栽培期間が長く、剪定・誘引・房づくり・防除など、どれも“ちょっとずつ”手をかける必要がある作物でもあります。とくに大事なのは、

  • 冬の剪定で枝を整理すること
  • 春〜初夏に「1枝1房」を守ること

の2つです。
ここさえ外さなければ、多少カタチがいびつでも、家庭ならではの「味の濃いシャインマスカット」を楽しむことができます。
少し手間はかかりますが、個人的には家庭果樹の中でもトップクラスにおすすめの品目です。ぜひこの記事を参考に、あなたの庭やベランダにも“マスカットの夏”を迎えてみてください。

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