ブドウの品種
ブドウにもさまざまな品種がありますが、主要なものについて紹介します。ブドウに授粉樹は必要ありませんので、一株だけでも実をつけます。
巨峰
言わずと知れたキングオブブドウ。最近は皮も食べられる品種にとって代わられようとする傾向もあるが、いろいろ食べた揚げ句、やっぱり巨峰が一番おいしい、と筆者は密かに思っている。
デラウエア
早生(わせ)の小粒品種。巨峰がシェアを奪うまでは日本でもトップシェアを持っていた。筆者は小粒故に摘粒が面倒なので比較的苦手。とれる時期がずば抜けて早く、子供には根強い人気なので需要がなくなることはない。
ピオーネ
巨峰を親に持ち、マスカットと掛け合わせた大粒品種。高糖度の実現も可能で、真っ黒な着色まで上手にできると迫力のある美しい房ができる。
シャインマスカット
近年一気に勢力を拡大しだした優良品種。皮も食べられ、高糖度。高級品種として名も知れ渡ってきており、さぞ難しいのだろうと思われているが、実は栽培自体は他のブドウと比べ同程度、もしくはちょっと簡単なくらい(小声)。
それでは栽培方法を見ていきましょう。ここでは冬期の管理についてお話しします。
ブドウ栽培はやることはたくさんあるように見えますが、やり方とタイミングさえ守れば必ずできます。
ブドウの植え付け
50センチ四方の穴を掘り、掘り上げた土と堆肥20キロ、石灰1キロ、有機肥料1キロ(窒素-リン酸-カリが8-8-8の場合)を混ぜ、埋め戻します。苗を浅めに、根を広げながら植えつけて、支柱に固定します。
最後に、もったいないようですが、接ぎ木部分から5芽ほど残してばっさりと切り落としてからたっぷりと水やりをしましょう。
鉢植えの場合は、花木用の培養土に鹿沼土を3割ほど混ぜて植えつけます。
ブドウの剪定(せんてい)
ブドウの剪定は、他果樹に比べて簡易なものです。難しくしようと思えばいくらでもできるのですが、最も簡易な方法と、鉢植えの場合の仕立て方を紹介します。
棚が用意できるのであれば、このように一文字に真っすぐ伸ばすのが最も効率的です。
フェンスなどにはわせるのであれば低い位置に設置します。真っすぐ仕立てることが肝心です。
この真っすぐの枝は骨格となり、めったに切ることはありません。幼木期は毎年勢いの良いところまで切り詰めておくことが重要です。
そして毎年、下図のように実をならせる枝をはわせます。
毎年この実をならせる枝を更新して同じ場所に結実させるのがブドウ剪定の狙いになります。
ブドウはなかなか新しい場所から芽が出てきません。スペースを埋める芽がなくなっている場合は、近くの枝から引っ張ってきてスペースを埋めてあげましょう。
実が全然つかない! ついてもバラ房(※)にしかならない! 対処法
とにかくブドウは勢いが強く、家庭果樹のような小さなスペースで地植えすると、なかなか樹勢が落ち着きません。剪定の際にできることは、“返し枝”という、骨格の枝から出ている枝を引き返させて勢いを落とす仕立て方です。おすすめです。
※ ブドウの粒どうしが密着せず、バラけている房のこと
鉢植えでのブドウの仕立て方
庭に仕立てるのであれば、水やりさえしっかりすれば鉢植えの方が良い果実が収穫できることも多いです。普通の棚栽培でもよいですが、さらに省スペースで行灯(あんどん)仕立てというものも普及しています。
主枝をぐるりと一周させて骨格形成します。かなりお手軽なので一つの手段として提案します。
ブドウの肥料
ブドウの施肥時期は、11月中旬の元肥、6月上旬、9月下旬の追肥に分けられます。
有機配合肥料を元肥で1キロ(8-8-8の場合)、6月・9月の追肥は速効性の化成肥料で200グラムほど散布しましょう。
ただし、6月・9月の追肥は、勢いが強すぎる場合は諸刃の剣です。タイミングが良ければ果実の肥大を助けたり、翌年の生育を助けたりしてくれるのですが、ズレてしまうとたちまちバラ房になったり着色しなくなったり不具合が出てきます。
鉢植えの場合は必ず施用すべきですが、地植えの場合は元肥だけで様子を見た方が成功する人が多い印象です。
鉢植えの場合は鉢の大きさに応じて量を加減してください。
ブドウの病害虫防除
ブドウは高糖度の果実ですが、皆さんが思っているほど病害虫の心配はありません。
無農薬でやってしまおうと思うと大変ですが、袋かけと農薬利用をすることで完璧に防ぐことができます。冬場にしておく防除で最も効果的な石灰硫黄合剤を紹介します。
減農薬で栽培するためにも、石灰硫黄合剤は効果的です。落葉期の1~2月に散布することで、多くの越冬する病害菌を防除することができます。
以上がブドウの冬場の管理作業になります。夏の結実管理については後編で!
あなたでも巨峰やシャインマスカットは作れます! 頑張りましょう。