マイナビ農業TOP > 狩猟 > 【完全ガイド】わな猟免許の取得方法から、有害鳥獣駆除ができるようになるまでのロードマップ!

【完全ガイド】わな猟免許の取得方法から、有害鳥獣駆除ができるようになるまでのロードマップ!

【完全ガイド】わな猟免許の取得方法から、有害鳥獣駆除ができるようになるまでのロードマップ!

「獣害対策として狩猟を始めたいけど、銃を用いるのはハードルが高い…」。そんな人におすすめなのがわな猟です。狩猟免許の中でも手間・費用・時間がかからず、猟具の取り扱いも簡単とあって、近年は免許試験受験者が急増しています。
とはいえ、「どうやって取得したらいいの?」「どうやって勉強するの?」「費用は?」「免許を取ったら有害駆除ってすぐできるの?」などの疑問だらけで、なかなか一歩踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、このほどわな猟免許の試験を終えた筆者が、実体験を踏まえてその疑問を徹底解説。わな猟免許取得から有害鳥獣捕獲従事者になるまでを、ロードマップ形式でわかりやすく解説します。

twitter twitter twitter twitter
URLをコピー

わな猟免許とは? まずは基本をチェック

くくりわな

狩猟免許の一種である「わな猟免許」は、その名の通り「わなを使った狩猟」を許可する免許のこと。「はこわな」や「くくりわな」といった猟具を使用して、イタチやアライグマなどの小型の動物から、シカ、イノシシなどの大型獣まで捕らえることができます。

後述する銃猟免許が20歳以上から受験できるのに対して、わな猟免許は18歳以上からOK。比較的若いうちから狩猟に参加できるのも魅力です。

他の狩猟免許との違い

わな猟免許以外の狩猟免許には、第一種銃猟免許(ライフルや散弾銃といった装薬銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、網猟免許があります。

このうち、第一種・第二種銃猟免許に関しては狩猟免許のほかに「鉄砲所持許可」が必要とあって、わなや網に比べてハードルが高くなっています。

関連記事
猟銃で狩猟をするには?免許・猟銃の種類・相場など銃砲店で聞いてきた!
猟銃で狩猟をするには?免許・猟銃の種類・相場など銃砲店で聞いてきた!
銃を使って狩猟をするには、狩猟免許のうち「第一種銃猟免許」または「第二種銃猟免許」を取得します。さらに銃を持つために警察で「銃砲所持許可」を受けなければなりません。ここでは、第一種と第二種の違いや銃の種類、所持許可の試…

狩猟免許ごとの違いとしては、使用する猟具が違うほか、獲れる鳥獣も異なります。例えば、わな猟では鳥類やクマは獲れません(※)。網猟では主に鳥類とウサギが対象となります。

※有害駆除によるクマは別

わな猟で使用する罠の種類

箱わな

山間の畑に設置されたはこわな。イノシシが好きな米ぬかが撒かれている

わな猟に使用する法定猟具(法律で許可された猟具)は4種類。ここでは、それぞれの猟具の特徴を解説するとともに、猟友会の先輩方の意見を総合したメリット・デメリットを紹介します。

くくりわな

ひきずり型、はねあげ型、鳥居型、ピラミッド型、筒式イタチ捕獲器、バネ式くくりわなと、いろいろな種類があります。
この中で、特によく使われているのがバネ式くくりわな。獣が踏み板を踏むとバネの力でワイヤーが締まり、足をくくって捕らえます。

はこわな

箱の中に置いたエサを獣が咥えて引いたり、踏み板を踏んだりすることで出入口が締まり、獣を閉じ込めます。

囲いわな

鉄格子や網、杭などで囲んだエリアに獣が入り、エサを咥えて引くなどすると出入口が締まって獣を閉じ込めます。仕組みははこわなと似ていますが、天井がない、もしくは半分以上が解放されている点が特徴です。

はこおとし

箱の中に獲物が入り込むと、重石を載せた天井などが落下して入り口を塞ぐ、もしくは獣を圧迫して捕獲します。天井が落ちたときに途中で止まって獣を圧殺しないための「さん」が付いていることが法定猟具としては必須です。

メリット デメリット
くくりわな コンパクトに持ち運べるので、獣が通る道や被害のある畑の近くなどに設置ができる。自作が可能で、費用が抑えられる シカやイノシシなどの大物がかかった場合、銃がないと止め刺しが難しい。獣が暴れてワイヤー、もしくは獣の足などが切れ、襲われることも
はこわな 箱の中に獣を閉じ込められるので、捕獲したあとのリスクが少なく止め刺しも比較的容易。折りたたみできるタイプもあり、囲いわなより持ち運びしやすい 獣が学習しやすく、かかりにくくなることが多い。また、イノシシなどの大型獣を捕らえるはこわなは大きさや重たさの面から、一度設置すると移動が困難
囲いわな 範囲を広くすることで、シカやイノシシなどの大型獣でも一気に複数頭捕らえることが可能 大きな範囲を囲うものは設置が大変。また、一度設置すると移動が困難
はこおとし イタチやタイワンリスといった、はこわなや囲いわなでは捕らえられない小さな動物を捕獲することができる マイナーだからか、既製品はおそらくないため、自作する必要がある

わな猟免許を取得するまでの流れ

わな猟免許取得のロードマップ

それでは、わな猟免許取得から狩猟開始までの流れを見ていきましょう。都道府県や自治体により異なるため、ここでは千葉県君津市の例を挙げて、筆者の実体験を基に紹介します。

STEP1.事前申し込み

まず、「自分の住んでいる県+狩猟免許」で検索し、狩猟免許について案内しているページを確認しましょう。狩猟免許試験の情報が出てくるはずです。

2025年現在、千葉県では狩猟免許の試験が年に10回ありますが、これらを受験するには前期分と後期分の年2回しかない「事前申し込み」を行う必要があります。個人的にはこの「事前申し込み」が最大の難関でした。なぜなら、事前申し込みは電子受付、郵送受付ともに先着順であり、定員に達すると受付できない場合があるためです。

かくいう筆者は、なんと2回も事前申し込みで失敗しており、そのうち1回は、事前申し込み当日にあっという間に定員に達していました。事前申し込み当日は、受付開始より少し早い時間からパソコンやスマホを用意しておき、開始と同時に申し込めるよう準備しておくことをおすすめします。

また、もし先着順に漏れてもキャンセル待ちフォームがあるので、諦めずにキャンセル待ちを申請しておきましょう。ちなみに筆者は、第一種銃猟免許もわな猟免許も繰り上げ当選です。

STEP2.本申請

事前申し込みが無事にできたら、今度は指定の期間内に以下の書類を用意して県の指定する窓口か郵送で本申請をします。

1.狩猟免許申請書(県のホームページでダウンロードが可能)
2.写真1枚(申請日から6カ月以内に撮影されたもの)
3.医師の診断書(申請日から一年以内に診断されたもの。すでにほかの狩猟免許を持っている場合は不要)
4.110円切手
5.狩猟免許試験手数料5200円(すでに他の狩猟免許を持っている場合は3900円)

申請書の受付期間があるので、窓口にしても郵送にしてもその期間内に届くことが必須です。

STEP3.狩猟免許試験事前講習会

猟友会が開催する狩猟免許試験のための講習会に参加。詳しくは後述しますが、任意参加とはいえ、合格のためには必須の内容になっています。

STEP4.狩猟免許試験

試験は知識試験、適性試験、技能試験の3つから構成されています。先に知識試験と適正試験が行われ、ここで不合格だと技能試験へ進めません。合格者は技能試験を受け、終わった人から帰宅が可能です。

ちなみに、知識試験は7割以上の正解、技能試験は減点方式で、30点以内の減点なら合格となります。

STEP5.合格発表

試験終了後、約3週間で合格発表!見事合格していれば、狩猟免状が送られてきます。千葉県では県のホームページでも発表されるので、いち早く結果を見ることが可能です。

わな猟免許の試験対策と合格への最短ルート

狩猟読本と例題集
狩猟免許試験は、受験申請から試験本番まで約一カ月と、実はあまり日にちがありません。そもそも、どんな試験なのか、どんな勉強をしたらいいのかも、ただ受験を申し込んだだけではわかりません。ここでは、限られた日数で確実に試験を突破するために覚えておくべきポイントをお伝えしていきます。

「狩猟免許試験事前講習会」で8割受かる!

合否を左右すると言っても過言ではないのが、猟友会が開催する狩猟免許試験事前講習会への参加です。試験に出るポイント、実際の試験に使われる猟具を使った判別のポイント、罠の架設の実施まで、いわば「実践型模擬試験」を体験できます。

狩猟免許の合格率は約80%と言われていますが、この講習会があってこその高い合格率なのは疑う余地がありません。

参加費こそ10,000円(お弁当・テキスト込み。金額は地域により異なる)と少しお高いのですが、テキストも実際の試験にリンクしている問題や図が多いので、ぜひ手に入れるべきです。ちなみにテキストは各都道府県の猟友会でも購入可能です。

なお、試験日ごとに開催日と申込期間が決まっているので、早めに県の猟友会に日程を確認しておきましょう。

知識試験で失敗しないためのポイント

知識試験は、事前講習会で大事な部分を教えてくれるので、そこを中心に講習会でもらうテキストを読み、同じく講習会でもらう例題集を2~3周こなせば、まず大丈夫です。

時間がない場合、後回しにするなら「鳥獣の保護及び管理に関する知識」を。出題数が少なく、仮に落としても他がしっかり回答できていれば不合格にはならないはずです。

技能試験で失敗しないためのポイント

技能試験は、いかに「狩猟鳥獣の判別」と「罠の使用可否の判別」で点を稼ぐかが大事です。この2つはできれば満点に近い状態でクリアして、「罠の架設」に臨みたいところ。

狩猟鳥獣の判別は、「わな猟では鳥とクマは捕獲できない」となり、クマ以外の獣だけを覚えればOK。罠の使用可否の判別も講習会に出ていればまず間違えないはずです。

そして、最大難関ともいえる「罠の架設」では、不完全でもいいのでとにかく完成させること!架設ができないと、その前の2つが満点でも不合格になってしまいます。これも講習会で実際に体験できるので、スムーズにできるようになるまで練習しましょう。

いよいよわな猟の実践へ

わな猟免許取得から実猟までのロードマップ

わな猟免許を手に入れたら即実践! …と言いたいところですが、手続きや気を付けるべきことがいくつかあります。実践までの道のりを一つずつ確認していきましょう。

STEP1.狩猟者登録

狩猟を行うには、免状に加えて「狩猟者登録」が必須です。必要な書類や金額は以下の通り。保険加入などがやや煩雑ですが、猟友会に加入したり、銃砲店にお願いするなどして手続きを代行してもらうことも可能です。

1.狩猟者登録申請書(県のホームページでダウンロード可能)
2.手数料1800円(収入証紙で申請書に貼り付け)
3.狩猟免状
4.損害賠償能力が3,000万円以上あることの証明書(ハンター保険への加入でOK)
5.証明写真(6カ月以内に撮影したもの)2枚

STEP2.狩猟税の納付

狩猟者登録が通ったら、狩猟税を納付します。わな猟の場合は8,200円。この他、狩猟者登録証や狩猟紀章送付のための送料600円を一緒に振り込みます。
もし猟友会や銃砲店にお願いする場合、狩猟者登録の際に一緒に狩猟税を預けて手続きをしてもらうことが一般的です。

STEP3.狩猟者登録証や狩猟者紀章などを受け取る

狩猟者登録をすると、狩猟者登録証や狩猟者紀章、ハンターマップなどがもらえます。狩猟者登録証と狩猟者紀章は、猟に出掛ける際は必ず携帯を。
ハンターマップは鳥獣保護区や特定猟具使用禁止区域など、狩猟してはいけない場所が色分けされています。事前に地図をよく確認し、できるだけ現地もしっかり下見して、罠を掛ける場所を吟味しておきましょう。

STEP4.わな猟開始

猟期になれば、ついに念願のわな猟がスタートです。特に以下のことに注意して安全に猟を楽しみましょう!

猟場でもNGな場所に注意

狩猟マップでは可能なエリアでも、民家の近くや公道、公園など、人の往来がある場所では狩猟ができません。また、寺社境内やお墓といった、静穏を保つべきとされる場所も禁止されています。

1 日1 回以上見回りをする

非狩猟鳥獣(※)がかかってしまったり、かかった獲物が暴れて近くを通った人にけがをさせてしまったりといった事故防止のために、見回りはこまめに。仕事をしている猟友会の先輩たちは、罠をかけた近くに住んでいる農家の人などに見回りをお願いするなどの連携を取っているそう。
※鳥獣保護管理法で定められた狩猟鳥獣以外の野生動物など。例としてニホンザルやメスのイタチ、サギ類などが挙げられる(2025年現在)

止め刺しまで考えた罠の設置を

わな免許を取る時に多くの人が悩むのが、「で、掛かってたらどうしたらいいの?」という問題です。はこわなの場合は電気槍や槍を使って止め刺しができますが、危ないのはくくりわな。

獲物が死に物狂いで向かってくるため、イノシシやシカだけではなく、タヌキやアライグマにも大ケガを負わされることがあります。手に負えないときに銃を持っている人にお願いできるかなども考えて、わなの種類や大きさ、場所を検討しましょう。

STEP5.猟期が終わったら速やかに撤去!

猟ができるのは猟期の間だけ。地域によって違いますが、千葉県の場合は11月15日から翌年の2月15日までです。最終日には、仕掛けた罠をすべて撤去、もしくは使えない状態にしましょう。狩猟登録者証も、3月17日までに返却が必要です。

有害鳥獣駆除をするには?

くくり罠に掛かったキョン

房総半島で大量発生中の「キョン」。非狩猟鳥獣だが、千葉県では有害鳥獣捕獲従事者なら狩猟が可能

近年、ニュースでもよく取り上げられている野生動物による農作物や一般家庭への被害。狩猟免許があれば、有害鳥獣を駆除できるの?と思われがちですが、有害鳥獣の捕獲ができる「有害鳥獣捕獲従事者」は、狩猟登録をして狩猟を行うハンターとは別物です。

このため、わなや猟銃の免許は必須ですが、有害鳥獣捕獲従事者になるには狩猟登録は必要ありません。ただし、狩猟する対象鳥獣や狩猟可能な範囲、期間なども変わるので、登録自治体ごとにしっかり確認が必要です。

ちなみに、有害鳥獣捕獲従事者は狩猟税が半額になるのだとか。さらに、報奨金ももらえるため、わな猟免許を取得したら登録を検討すると良いでしょう。

以下に、一般的な狩猟と有害鳥獣捕獲の違いをわかりやすくまとめてみました。

  一般的な狩猟登録 有害鳥獣捕獲許可
登録 県に対して狩猟登録。個人での登録が可能。狩猟税がかかる 市や自治体へ申請。猟友会などの団体に加入しないといけない場合もある。狩猟登録・狩猟税は不要
期間 猟期のみ 許可された範囲で猟期以外も可能
捕獲範囲 登録した県内の狩猟可能エリア 登録した自治体の中の、必要かつ適正な範囲
報奨金 なし あり(対象鳥獣のみ)
対象鳥獣 狩猟鳥獣46種類(※) 指定された種のみとなり、地域により異なる。狩猟鳥獣と異なることもある

※県によって異なる

わな猟に関するよくある疑問

くくり罠の自作セット

くくりわなの自作に使うパーツ。こちらは猟友会の先輩がオークションサイトで大量購入したもの

最後に、わな猟に関するよくある疑問をまとめてみました。筆者自身、自分が狩猟の世界に足を踏み入れるまではよくわからなかったことについて、詳しく解説します!

Q.狩猟期間以外にわな猟を行ってもよい?

A.ダメです。狩猟登録による狩猟は、猟期のみ可能。猟期の翌日まで罠が仕掛けられたままになっていると違法です。ただし、有害鳥獣捕獲の場合は期間が別に定められており、猟期以外も可能となることがあります。

Q.罠はどこで買えるの?

A.オンラインで買ったり、自作したりが基本です。特にくくり罠はそれぞれに工夫して自作している人が多いですよ。オークションサイトなどでくくり罠キットがまとめて販売されていることもあるので、興味がある人は調べてみましょう。
また、自治体によってはわな購入のための補助金が出るところもあるため、事前に要件を調べてから購入するのをおすすめします!

Q.罠は何個でも掛けていいの?

A.種類を問わず、合計で30個までとなります。あまりに多かったり、範囲が広かったりすると見回りが大変なので、自分の目が届く範囲や個数で掛けるようにしましょう。

Q.罠を掛けるときに気を付けるべきことは?

A.基本的にはハンターマップの狩猟可能エリアで法令を遵守すればいいのですが、ほかの人が罠を掛けている場合は可能なら一声掛けるか、掛けていいかを確認するとトラブルになりません。
特に、有害鳥獣の捕獲の場合は報奨金が出ることもあり、あまりに近くに掛けると嫌な気持ちになる人もいるかもしれません。

Q.罠の取り扱いや保管方法で注意すべきことは?

A.銃とは違って、罠は保管場所も決められていませんし、取り扱いがさほど危なかったり厳しかったりすることもありません。ただし、金属製のものは錆びやすいですし、くくりわなのバネは使っているうちに伸びてきます。
事故を防ぐためにも、使用前には脆くなっている部分がないかのチェックを怠らないようにしましょう。

まとめ

今回は、わな猟免許について取得方法から実猟に出るまで、さらに有害鳥獣捕獲従事者についてを、順を追って解説しました。
狩猟というと特別なものに思いがちですが、こうして一つひとつを見てみると、「わな猟ならハードルが低そう…」と思えるのではないでしょうか。
免許は3年ごとに更新しないと失効してしまいますが、保有しておくことで有害鳥獣から畑を守る選択肢が生まれます。
農業や林業を営んでいる人はもちろん、地域貢献をしたい人、家庭菜園や庭を野生動物から守りたい人にもおすすめですよ。

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE
  • Hatena
  • URLをコピー

関連記事

新着記事

タイアップ企画