きっかけは、いちご狩り園で見た「忘れられない光景」

創業の原点は、知人のいちご狩り園を手伝ったときの出来事だった。
一年以上かけて苗を育て、ようやく実るいちご。その重みを知った上で、農園がいちご狩りとして畑を開放し、子どもたちがシャツを真っ赤にしてはしゃぎ回る。大人もそれを見て、つられるように笑顔になる—。巽さんはその光景に、「最高のエンターテインメント」を見たといいます。
そしてもう一つ、強く胸に残った感覚がある。“人生をかけた作品”が、誰かの人生の思い出の時間になっていくという喜びです。
フラウラファームは、その原体験を出発点に、いちごからお客様へ/お客様からスタッフへ/スタッフから農園へと、わくわくが循環し、少しずつ大きくなっていく農園を目指しています。
そんな農園名の「フラウラ(Fraula)」は、巽さんが“ギリシャ語で、いちごの女神に愛される農園”という意味を込めて名付けたもの(※由来表現は本人談)。
単なる語感の良さではなく、そこには「いちごを中心に、人が集まり、心が動く場所をつくりたい」という意思があります。
“農産物をつくる場所”であると同時に、“体験が生まれる舞台”でもある。フラウラファームのブランディングは、このネーミングの時点からすでに始まっているのです。
おいしさの土台は、土づくり。高設・土耕を使い分け、減農薬で向き合う

フラウラファームでは、高設栽培と土耕栽培を採用。いちごづくりの根っこにあるのは、徹底した“土へのこだわり”です。
- 有機原料をふんだんに使用した、こだわりの土
- 減農薬栽培で、小さな子どもにも安心・安全を意識
- シーズンにより内容は変わるが、複数品種の食べ比べも楽しめる設計
いちごは、味が出やすい反面、ごまかしが利きにくい作物でもあります。環境づくり、管理の積み重ね、そして「お客様に口にしてもらう」ことまで見据えた品質設計。“体験型農園”を掲げるからこそ、食べた瞬間の納得感には、特に神経を使います。
だからこそ、土からこだわり、食べてくれる”人”のための努力は欠かせません。
奈良・天理というフィールドで、「農園が地域のハブ」になる
フラウラファームが大切にしているのは、農園の中だけで完結しないことです。
地域とつながり、次の世代に農業のリアリティを手渡す取り組みにも力を入れています。
具体的には小学校の校外学習の受け入れ・出前授業・中学生の職場体験etc.
子どもたちにとって、農園は“食べ物が生まれる場所”を実感できる学びの現場になるための取り組みを行っています。
それは農園側にとっても、地域の暮らしの中に自分たちの仕事が位置づく、貴重な接点でもあります。

巽さんは、将来的に「地域でなくてはならない、あてにされる存在」を目指しています。農業が抱える担い手不足や耕作放棄地といった課題に対して、農園が受け皿の一つになる——。その構想は、すでに“次の一手”へ進んでいます。
“非農家出身”だからこそ、柔軟に仲間と未来を描ける

フラウラファームの特徴を巽さんは「非農家出身で創業したからこそ、柔軟に働く仲間と未来を作っていけるところ」だと語ります。
家業として継ぐ農業ではなく、自分で選び取り、ゼロから形にしてきた農業。
だからこそ固定観念に縛られず、「お客様に喜んでもらうには?」「地域に必要とされるには?」という視点で、農園の形を更新し続けられる。
実際、いちごの栽培・観光農園に加え、イベント出店など“外へ出ていく農業”にも積極的です。農園の情報発信や接点づくりを重ねることで、「フラウラファームのいちご」に出会う入口を増やしています。
10年後の目標は「農地の管理も任せてもらえる存在」。“いちご”にとどまらない展望
フラウラファームは、農地の拡大を進めていく方針です。さらに視野に入れるのは、いわゆる6次産業化や通年化、そして地域課題の解決です。

手土産品などへの展開(6次化)
キッチンカーでイベント出店(地域の場へ出ていく)
耕作放棄地・耕作放棄ハウスの活用
いちご以外にも、唐辛子の生産・加工、さらにはキュウリ栽培への挑戦構想etc.
巽さんが目指す姿は、品種や作物の枠を超えた信頼。「当園で買えば安心安全」「一緒に働きたい」「家族が働いていて誇れる」——そんな評価が積み重なった先に、「農地の管理も任せたい」と言われる存在があると考えています。
最後に巽さんは「一緒に、わくわくの循環を大きくしていきたい」こうメッセージを残してくれました。
「まだまだ成長途中です。だからこそ、一緒に“わくわくストロベリーエンターテインメント”を目指していきましょう」
いちごは、甘くて、華やかで、誰かを笑顔にしやすい作物です。
しかしフラウラファームが育てているのは、いちごだけではない。
人の記憶に残る時間、地域の未来、そして“わくわくが循環する場所”そのものを、丁寧に耕しています。
農家情報
農園名:フラウラファーム(株式会社フラウラファーム)
公式サイト:https://fraoulafarm.jp/















