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奈良・平群の寒暖差が育てる“宝石のような苺”。三代目・辻本真史さんが「古都華」に懸ける思い

奈良・平群の寒暖差が育てる“宝石のような苺”。三代目・辻本真史さんが「古都華」に懸ける思い

奈良県北西部、信貴生駒山系のふもとに広がる平群町。竜田川が流れ、古代からの歴史を抱くこの町は、実はいちごの産地としても知られています。盆地特有の寒暖差と、丘陵の斜面に建つハウスが受け止めるたっぷりの陽光——。その条件が合わさることで、香り高く、味の輪郭がはっきりした苺が生まれます。この平群で、奈良のブランドいちご「古都華(ことか)」を中心に栽培しているのが、株式会社 辻本農園。祖父の代から受け継がれてきたバトンを手に、三代目・辻本真史(つじもと・しんじ)さんは「奈良の苺を全国へ」という思いを、いまの栽培と経営に落とし込んでいます。

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祖父から父へ、父から自分へ。背中で覚えた“農業の重み”

辻本さんは大学卒業後、大手コンビニエンスストアに就職し、一度は地元を離れました。けれど、実家へ戻り「農業をやる」と決めた背景には、家族の歴史があります。

幼い頃に祖父が亡くなり、会社員だった父が農業を引き継ぐことに。慣れない世界で苦労しながらも踏ん張る父の姿を見てきたことが、辻本さんの中に“農業を継ぐ”という選択肢を現実のものとして残していました。

転機となったのは、地元奈良で生まれた新品種「古都華」との出会い。味の濃さ、香り、甘みと酸味のバランス——その完成度に衝撃を受け、「この苺を、もっと多くの人に届けたい」という思いが強くなっていきます。二代目の父・忠雄さんから継承し、三代目として歩み始めたのが辻本農園の“次の世代”の物語です。

平群町という土地が、苺の“おいしさの骨格”をつくる

平群町は、奈良県内でも古都華の栽培が盛んな地域として知られます()。盆地で寒暖差が大きいことは、果実の味づくりにとって大きな要素です。
さらに、丘陵地の斜面に設けられたハウスは日当たりを確保しやすく、果実がじっくり成熟しやすい環境を整えます。こうした自然条件の積み重ねが、辻本農園が目指す「輝く苺」——見た目だけでなく、香りや余韻まで満たす苺を支えています。

主役は「古都華」。濃厚さを届けるために、手間を惜しまない

辻本農園の中心にあるのは、奈良県オリジナル品種の「古都華」。艶のある赤い果皮、糖度と酸味のバランス、そして“濃厚”と表現したくなる味わいが特長です。辻本さんが掲げるのは、奈良のブランド苺を全国に広めること、そして苺で笑顔をつくること。そのために、日々の管理や環境づくりに一つずつ理由を持たせています。

また、品種としては見た目も印象的な白〜淡いピンク色の「淡雪(あわゆき)」も栽培。香りの良さ、酸味が穏やかでやさしい甘みなど、古都華とは違う魅力で苺の世界を広げています。

高設栽培×天敵導入。衛生的で、苺に集中できる環境づくり

辻本農園では、すべてのハウスで高設栽培を導入しています。果実が地面に触れにくく衛生的で、収穫作業も効率的になりやすい方式です。結果として、栽培管理の精度を上げ、苺そのものの品質に力を注ぎやすくなります。

加えて、チリカブリダニやミヤコカブリダニなどの天敵資材を導入し、減農薬にも取り組んでいます。苺は繊細な作物だからこそ、「守り方」を工夫することが、そのまま品質づくりにつながります。

培土にもひと工夫。水はけを良くするためにヤシ殻(ココピート)をオリジナルでブレンドし、根が気持ちよく伸びられる環境を整備。こうした“見えにくい部分”への投資が、食べた瞬間の納得感を支えます。

さらに出荷作業場では自動ラップ機を導入し、パック詰め作業の省力化・スピードアップにも取り組んでいます。栽培だけでなく、届け方まで含めて品質を守る——その姿勢が、辻本農園の「ブランディングの芯」になっています。

「平群ブランド第1号」として。苺づくりの輪を、地域へ広げる

辻本農園の古都華は「平群ブランド第1号」とされ、新しく農業を始めたい人への指導も行っています。苺は地域の特産であると同時に、担い手がいてこそ未来へ続く産業です。

一軒の農園の取り組みが、平群という産地全体の力になる。そんな循環を描きながら、辻本さんは“奈良・平群から全国へ”という目標に、日々の管理を積み上げています。

企業情報

■企業名
株式会社辻本農園
■所在地
〒636-0936 奈良県生駒郡平群町福貴436

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