品目を増やして収益の柱を模索
近藤ファームは栽培面積が約4ヘクタール。2025年はコマツナとネギ、サツマイモ、キャベツ、カブの5品目を栽培した。販路は都内の小中学校の給食用やスーパーの地場産コーナー、直売所などだ。
じつは2023年は育てる野菜が10品目強あった。前年のほぼ2倍。新たに作り始めた品目はクウシンサイやミニトマト、落花生、ノウボウナなど。以前から栽培している品目の端境期に収穫する野菜を中心に選んだ。
品目を増やしたのはコマツナやサツマイモなどと並ぶ、新しい売り上げの柱を作るためだった。一度にたくさんの品目を試してみることで、収益化につながりそうな野菜を短期間で見つけようと考えた。
他の農家なら数年かけてじっくり技術を高め、利益を出そうと考えたかもしれない。だが近藤さんは違った。2024年にノラボウナ以外はあっさりと作るのをやめ、2025年にはノラボウナにも見切りをつけた。
2025年に栽培した5つの作物は以前から育てていた品目だ。種類を増やしてみた2年間は結果的に、既存の品目の収益性の高さを確かめる期間にもなった。近藤さんは「自分は決めるのが速い」と話す。

近藤ファームのコマツナ
利幅の薄さで栽培をストップ
なぜわずか2年で品目数を元に戻したのか。近藤さんはその点について「作業時間当たりの粗利をそれぞれ計算してみたら、著しく悪いことがわかった」と話す。これまで柱にしてきた品目と比べた結果だ。
課題はいくつも見つかった。例えば収穫や調整などの作業のスピードにスタッフの間で違いがあった。年間の作付け計画を立てたり、1日の作業内容を考えたりする難しさも、品目が倍になった分高まった。
繰り返しになるが、何年もかけて栽培に習熟する選択肢もあっただろう。もし営農が軌道に乗っていないようなら、そうする以外に手はない。
ただ近藤ファームの場合、コマツナとサツマイモ、ネギでしっかり売り上げを稼ぎ、安定して利益を確保することができている。そのことを考えると、新たな品目で利幅の薄い状態を続けるのは得策ではないと判断した。
しかも近藤さんがこの間にとったのは品目数の削減という「守り」の作戦だけではない。品目を絞ったにもかかわらず、2024年も25年も順調に売り上げを増やすことができた。なぜそれが可能になったのだろうか。

近藤剛さん
給食向けで値上げに成功
「学校給食向けの単価を上げることができたんです」。売り上げが増えた理由について近藤さんはそう話す。間に入っている卸会社に値上げの相談をしてみたところ、学校側の了承を得ることができたという。
近藤さんは「食材が全般に値上がりしているので、栄養士がこちらの要望を理解してくれたのではないか」と指摘する。価格競争の激しいスーパーとは対照的に、学校給食はすんなり値上げを受け入れてくれたという。
そんなにいいルートなら、たくさんの農家が学校向けに食材を売ろうと競い合っているのだろうか。そうたずねると「以前は5人で一緒にコマツナを売っていたが、残ったのは自分だけ」という答えが返ってきた。

















