バターナッツカボチャとは

バターナッツカボチャは、日本カボチャの一種で、ひょうたんのような形と淡いベージュ色の果皮が特徴です。原産は中南米とされ、英語では「バターナッツスクワッシュ(Butternut squash)」と呼ばれています。「バターのようになめらかな食感」と「ナッツを思わせるやさしい風味」を持つことが名前の由来で、英語の「squash(スクワッシュ)」はウリ科カボチャ属の食用果菜類を指す総称です。
日本では直売所や家庭菜園を中心に広がり、近年は加工用や飲食店向けの食材としても注目されています。形が特徴的で下処理がしやすく、料理の用途が広い点も評価されています。
味・食感の特徴
バターナッツカボチャの最大の特長は、繊維が少なく、舌触りがとてもなめらかなことです。果肉は水分を多く含み、包丁を入れると柔らかくスッと刃が入ります。加熱すると果肉がとろりと柔らかくなり、裏ごしをしなくても滑らかな仕上がりになります。
生の状態では、ほのかにメロンを思わせるフルーティーな香りを感じることがあり、一般的なカボチャとは異なる軽やかな印象を持つのも特徴です。甘みは日本カボチャの中でも比較的上品で、くどさがなく後味がすっきりしています。そのため、乳製品やだし、みそなどさまざまな調味料と相性がよく、ポタージュやグラタンといった洋風料理から、和風の煮物や和え物まで幅広く使えます。
見た目と構造の特徴
バターナッツカボチャは、上部が細く下部がふくらんだひょうたん型の形状が特徴です。長さは20~30cm程度、重さは800~900gぐらい。皮は淡いベージュ〜黄褐色で、一般的なカボチャに比べて薄く柔らかめです。果肉はオレンジ色を帯びており、熟すほど色味が深く濃くなる傾向があります。
種とワタは下部のふくらみ部分に集中しているため、首部分にはほとんど含まれません。そのため、可食部が多く、切り分けや下処理がしやすく、無駄が出にくいのも利点です。
旬の時期と産地
バターナッツカボチャの旬は、秋から冬にかけてです。一般的には8月下旬〜10月ごろに収穫され、収穫後に一定期間追熟させることで甘みと風味が増します。そのため、食べ頃のピークは10月〜12月ごろとされています。保存状態がよければ、冬の間も安定して流通します。
日本での主な産地は、北海道、長野県、群馬県、茨城県などで、大規模産地としての出荷よりも、直売所や契約栽培、小規模農家による生産が多いのが特徴です。バターナッツカボチャには複数の品種がありますが、最も普及しているとされるのは、アメリカで育成された「ウォルサム系」と呼ばれるタイプです。近年は家庭菜園でも栽培されるようになり、各地で個性のあるバターナッツカボチャが出回るようになり、直売所などで旬の味覚と出会えます。
バターナッツカボチャの栄養と効果

バターナッツカボチャは、日本食品標準成分表では個別に掲載されていませんが、日本カボチャの一種であることから、栄養の傾向は日本カボチャとほぼ共通すると考えられます。
日本カボチャは、βカロテンをはじめとする抗酸化成分や、体の調子を整えるミネラル類を含む緑黄色野菜です。バターナッツカボチャは水分を多く含み、なめらかな食感を持つため、重たくなりがちなカボチャ料理でも比較的軽い食べ心地になるのも特徴です。
ここでは、日本カボチャの成分をもとに、バターナッツカボチャで特に注目したい栄養素を紹介します。
βカロテン
日本カボチャに豊富に含まれるβカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持に役立つとされています。抗酸化作用もあり、体を健やかに保つ栄養素として知られています。油と一緒に調理することで吸収率が高まるため、ローストやグラタンなどの料理とも相性がよい栄養素です。
食物繊維
日本カボチャには、不溶性を中心とした食物繊維が含まれています。腸内環境を整える働きが期待され、日々の食生活に取り入れたい成分のひとつです。バターナッツカボチャは繊維質が少なく感じられる食感ですが、なめらかな果肉にも適度な食物繊維を含み、無理なく取り入れやすいのが特徴です。
カリウム
日本カボチャはカリウムを含む野菜で、体内の余分なナトリウムを排出する働きが期待されています。塩分を摂りすぎがちな食生活の中で、バランスを整える役割を担うミネラルです。
バターナッツカボチャの選び方

バターナッツカボチャは、皮の色や重み、ヘタの状態に注目すると、比較的選びやすい野菜です。
まず、皮の色が均一で、淡いベージュ〜クリーム色をしているものを選びましょう。色ムラが少なく、全体に落ち着いた色合いのものは、しっかり成熟している目安になります。表面に傷や黒ずみ、ぶよぶよした部分があるものは避けた方が安心です。
次に、持ったときにずっしりと重みを感じるものを選びます。バターナッツカボチャは水分が多く、重さがあるほど果肉が詰まっている傾向があります。首の部分が細すぎず、全体のバランスがよいものを選ぶと、可食部も多くなります。
また、ヘタの切り口が乾いていることもポイントです。ヘタがみずみずしいものは収穫から日が浅く、追熟が十分でない場合があります。
保存方法
バターナッツカボチャは、丸のままであれば比較的保存性の高い野菜です。風通しのよい冷暗所で1~2カ月程度の保存が可能です。直射日光を避け、新聞紙などで包んでおくと乾燥や傷みを防ぎやすくなります。
収穫後間もないものや購入してすぐのものは、2〜4週間ほど置いて追熟させることで、甘みとコクが増します。カボチャ類では、ヘタ(ツル)周りの傷や湿りがあるとそこから傷みやすくなるため、保存前にヘタを乾かしておくことが大切です。保存中は、ときどき状態を確認し、傷みが出ていないかチェックしましょう。
カットした場合は冷蔵保存が基本です。種とワタを取り除き、ラップで包むか保存容器に入れて、野菜室で保存します。使い切る目安は2〜3日以内です。
長期保存したい場合は、冷凍保存も可能です。皮をむいて一口大に切り、軽く下ゆでするか生のまま冷凍用保存袋に入れて冷凍します。冷凍したものは、ポタージュや煮込み料理など、加熱調理に向いています
バターナッツカボチャの食べ方とレシピ5選
繊維が少なく、水分を多く含むバターナッツカボチャは、加熱するととろりとなめらかな食感になり、ポタージュからグラタン、和風の煮物まで幅広い料理に向きます。皮が薄くクセが少ないため、調理法によっては皮ごと使えるのも魅力です。
ここでは、素材の持ち味を生かした定番から、皮ごと調理や和風アレンジまで、家庭で作りやすいレシピを5品紹介します。
バターナッツカボチャの下処理方法

バターナッツカボチャは、構造を理解すると下処理がスムーズに進みます。表面の汚れを洗い、ヘタを切り落としたら、用途に応じて切り分けます。
下処理の方法は主に2通りあります。首の部分(上部)と、種とワタが入った下部に分けて切る方法では、下部を縦に割って種とワタを取り除き、首の部分はそのまま輪切りや拍子木切りにできます。もうひとつは、ひょうたん形を生かして縦半分に切る方法で、グラタンなど器として使う料理に向いています。
皮をむく場合は、薄くて柔らかいためピーラーを使うと簡単です。えぐみが少ないので、ローストなどでは皮ごと調理もでき、料理に合わせて使い分けると扱いやすさが際立ちます。
バターナッツカボチャのなめらかポタージュ

繊維が少なく、加熱するととろりとなめらかになるバターナッツカボチャの特性を生かした定番レシピ。素材の甘みが引き立ち、シンプルな配合でもコクのある味わいに仕上がります。
材料(2人分)
- バターナッツカボチャ 300g(皮と種を除いた正味)
- タマネギ 1/4個
- バター 10g
- 水 200ml
- 牛乳 100ml
- 塩 少々
- こしょう 少々
- ナッツ(好みで、適宜刻む)少々
作り方
- バターナッツカボチャは皮をむき、2cm角に切る。タマネギは薄切りにする
- 鍋にバターを溶かし、タマネギを弱火で炒める
- タマネギが透き通ったらカボチャと水を加え、ふたをして弱めの中火で10分ほど煮る
- カボチャが柔らかくなったら火を止め、ミキサーまたはブレンダーでなめらかにする
- 再び火にかけて牛乳を加え、塩・こしょうで味をととのえる
- 器によそい、好みでナッツをトッピングする
皮ごとバターナッツカボチャのシンプルロースト

皮が薄くクセの少ないバターナッツカボチャは、皮ごとローストするのもおすすめ。しっとりとした焼き上がりで、オリーブオイルと塩だけで甘みと香ばしさが際立ちます。
材料(2人分)
- バターナッツカボチャ 300g
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩 小さじ1/3
- 黒こしょう 少々(好みで)
作り方
- バターナッツカボチャはよく洗い、皮ごと1cm幅の半月切りにする
- ボウルに入れてオリーブオイルと塩をまぶす
- 天板に並べ、200℃に予熱したオーブンで20〜25分焼く
- 焼き色がつき、竹串がすっと通ったら完成。好みで黒こしょうをふる
バターナッツカボチャとベーコンのクリーミーグラタン

縦半分に割ったバターナッツカボチャを器にした、食べ応えのあるグラタン。ベーコン塩みが加わることで、カボチャのやさしい甘みがより引き立つ一品に。果肉のなめらかさとホワイトソースが一体となり、スプーンですくって最後まで楽しめます。
材料(2人分)
- バターナッツカボチャ 1本(約500g)
- ベーコン 40g
- タマネギ 1/4個
- バター 15g
- 小麦粉 大さじ1
- 牛乳 200ml
- 塩 少々
- ピザ用チーズ 40g
- パセリ(みじん切り) 少々
作り方
- バターナッツカボチャは縦半分に切り、種とワタを取り除く
- 耐熱皿にのせ、ラップをして電子レンジ(600W)で8〜10分、果肉が柔らかくなるまで加熱する
- 果肉をスプーンでくり抜き、皮から1cmほど残して器状にする
- ベーコンは1cm幅に切り、タマネギはみじん切りにする
- フライパンでバターを溶かし、ベーコンとタマネギを炒める
- 小麦粉を加えてなじませ、牛乳を少しずつ加えて混ぜ、とろみをつける
- くり抜いたカボチャの果肉を加えて軽く潰しながら混ぜ、塩で味をととのえる
- カボチャの器にソースを詰め、チーズをのせてトースターで焼き色がつくまで焼く
- 仕上げにパセリを散らす
バターナッツカボチャとニンジンのラペ

蒸して甘みを引き出したバターナッツカボチャに、ニンジンのシャキッとした食感を合わせたラペ。酢のほどよい酸味が加わり、さっぱりとした後味で副菜や付け合わせにも向きます。
材料(2人分)
- バターナッツカボチャ 200g
- ニンジン 40g(細めのせん切り)
- レーズン 小さじ2
- 酢 大さじ1
- オリーブオイル 大さじ1
- はちみつ 小さじ1(または砂糖小さじ1/2)
- 塩 少々
- こしょう 少々
作り方
- バターナッツカボチャは皮をむき、細めの拍子木切りにする
- 蒸し器で5〜6分、歯ごたえが残る程度に蒸し、粗熱を取る
- ボウルにニンジン、レーズン、酢、オリーブオイル、はちみつ、塩、こしょうを入れて混ぜる
- 最後にバターナッツカボチャを加え、形を崩さないように和える
バターナッツカボチャのみそだし煮

だしのうまみとみそのコクが、バターナッツカボチャのやさしい甘みを引き立てる和風アレンジ。煮崩れしにくく、見た目もきれいに仕上がります。
材料(2人分)
- バターナッツカボチャ 300g
- だし汁 200ml
- みそ 大さじ1
- みりん 大さじ1
作り方
- バターナッツカボチャは皮をむき、大きめの一口大に切る
- 鍋にだし汁とカボチャを入れて中火にかける
- 沸いたら弱めの中火にし、7〜8分煮る
- 火を弱め、みそとみりんを溶き入れて2〜3分温める
バターナッツカボチャの栽培方法

バターナッツカボチャは生育が旺盛で多収。家庭菜園でも育てやすい品種として知られています。根やつるが伸びて広がるため、地這い栽培の場合は十分な栽培スペースを確保する必要があります。大型プランターでの栽培も可能です。 種まきは春に行い、初夏に定植、夏に開花・結実し、その後収穫となります。
準備・土づくり
畑は水はけと日当たりのよい場所を選び、定植の2週間ほど前に耕して元肥をすき込みます。窒素分が多すぎるとツルや葉ばかりが育ってしまう「つるぼけ」を起こしやすいため、元肥は控えめにし、生育を見ながら追肥で調整するとよいでしょう。 プランター栽培の場合は、深さと容量に余裕のある容器を用い、市販の野菜用培養土を使うと手軽です。
種まき・植え付け
種まきは4月中旬〜5月ごろ、遅霜の心配がなくなってから行います。地植えも可能ですが、ポットで育苗し、本葉が4〜5枚になった苗を定植すると生育が安定します。 植え付けの際は、株間を60〜80cmほど確保し、つるが十分に伸びるスペースを取ります。植え付け後は、根付くまでたっぷり水を与えます。
管理・水やり
生育初期は乾燥に注意し、土の表面が乾いたらしっかり水やりします。つるが伸び始めたら、親づるの先端を本葉5〜6枚で摘心すると子づるの発生が促されます。 子づるは2〜3本を残して整枝すると着果しやすくなります。果実が多くつきすぎた場合は、1株あたり3〜4個を目安に摘果すると、残した実がよく肥大します。追肥は生育状況を見ながら控えめに行いましょう。
収穫と追熟
開花から40〜50日ほど経ち、果皮が硬くなって全体が均一に色づいたら収穫の目安です。ヘタをつけたまま収穫すると、保存性が高まります。 収穫後すぐよりも、風通しのよい場所で2〜4週間ほど追熟させることで、甘みとコクが増します。
注意したい病害虫と対策
湿度が高い環境では、うどんこ病やべと病が発生しやすくなります。また、アブラムシやウリ科を好むウリハムシにも注意が必要です。つるや葉が過密にならないよう、誘引や剪定(せんてい)を行って風通しを確保し、日頃から株の様子を観察して害虫は早めに取り除きましょう。春から初夏にかけては防虫ネットを活用すると効果的です。敷きわらやマルチで土を覆うことでウイルス病の予防にもつながります。
知るほどに身近になる、新顔カボチャ

なめらかな食感とやさしい甘みが特長のバターナッツカボチャは、料理の幅が広く、家庭でも扱いやすいカボチャです。構造を知れば下処理は簡単で、栽培も比較的手軽。収穫後に追熟させることで、さらにおいしさが増します。旬の時期には直売所などで個性豊かな果実に出会えるのも楽しみのひとつ。育てて、選んで、調理して、味わって。果実や種に出会ったら、ぜひ手に取ってみてください。日々の食卓や家庭菜園に小さな発見と楽しさを運んでくれることでしょう。



















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