4000円を下回るコメが山積み
まず公式統計から見てみよう。農林水産省によると、1月19~25日の全国のスーパーからのPOS情報にもとづく分析で銘柄米は5キロで4374円(税込み)。前週より2.4%安。方向感が出るほどの変化ではない。
店頭の様子を見るためにスーパーを回ってみた。すると値札に書かれた大きな数字の税抜き価格はいくつかあった。ただ多くは税抜きで4000円台だ。
統計通りの状況かと思って別のスーパーに行くと、もう一段安い銘柄米が山積みになっていた。税抜きで3000円台後半で、税込みでも4000円を下回る。ここまで来ると、値段が下がったという印象が鮮明になる。
もちろんこれだけを見て値崩れが始まったと断定することはできない。だが2023年の猛暑による不作に端を発する「令和の米騒動」は早晩新たな局面に入る。流通と生産の混乱をいかに抑えるかが次の焦点になる。

米価の先行きは微妙な情勢にある
損切り販売のタイミングに注目が集まる
「本降りになって出ていく雨宿り」。膠着状態にあるいまのコメ流通を見ていると、江戸時代の川柳集「誹風柳多留」にある一句を思い出す。時間がたつほど事態は悪化するのに、なかなか一歩を踏み出すことができない。
高米価にあおられる形で2025年は転作が減り、主食米の生産が前年より約70万トン多い大増産になった。これに約60万トンの政府備蓄米の放出が重なったことで、民間はすでに過剰なコメの在庫を抱えている。
それでも店頭価格がなかなか下がらないのは、コメが確保できなくなるのを心配して農協をはじめとする集荷業者が高値で買い付けたからだ。卸会社も高い値段で買い入れており、簡単には値下げしにくい状況にある。
だがこのまま推移すると予想する関係者は少ない。あまりの高値でコメが売れなくなり、需給が相当緩んでいるうえに、2026年産は米価が大幅に下がるのが確実だからだ。米価が天井を打っているのは間違いない。

コメの過剰在庫が懸念されている
仕入れ値を下回る水準で売れば、その分赤字になる。そうした事態は当然回避したい。だが放っておけば米価が目に見える形で下がり始め、損失はいよいよ大きくなる恐れがある。小雨ではなく、本降りの状態だ。
損切りを早めに決断できるかどうかは体力勝負になる。これまでの高米価で十分に利益を確保できた業者は、米価が大きく落ち込む前に値段を下げて販売し、在庫を減らした方が得策だと考えるかもしれない。
問題はそれが難しい業者だ。ぎりぎりの利幅でやっている業者は高値で仕入れたコメを抱え込んだまま、販売のタイミングを逸する恐れがある。経営への打撃は大きい。いうまでもなく、それは望ましい展開ではない。
焦点は政府備蓄米の買い戻し
生産現場に影響が出ることも予想される。この間の高米価で潤った農家は少なくない。だがそれ以前はずっと米価の下落が続いていた。もし再び米価が急落すれば、高齢農家が営農の継続を諦める引き金になるかもしれない。

















