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全国から約350名が集結! 茨城県行方市で「全国焼き芋サミット」開催

全国から約350名が集結! 茨城県行方市で「全国焼き芋サミット」開催

2026年1月16日(金)、全国有数のサツマイモ産地である茨城県行方市で「全国焼き芋サミット」が開催されました。全国焼き芋サミットは、サツマイモ生産者、出荷団体、流通事業者等、全国の焼き芋関係者が一堂に会し、伝統と革新が融合する中で、焼き芋業界の未来に向けた明確な道筋を示し、焼き芋産業の更なる発展と日本の食文化に焼き芋を根付かせることを目的とし、行方市市制施行20 周年記念事業として実施されました。生産現場や焼き芋の現状に関する講演を始め、トークセッション、焼き芋にまつわるテーマの分科会が行われました。全国から総勢約350名が集まり、盛り上がった当日の様子を抜粋してご紹介します。

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今回、全体司会を務めたのはさつまいもアナウンサーの鳥越佳那(とりごえ・かな)さん。冒頭には全国焼き芋サミットinなめがた実行委員長の髙須敏美(たかす・としみ)行方市長が挨拶をし、プログラムがスタートしました。

講演:茨城県におけるサツマイモ生産の現状と展望

最初のプログラムには、渡邊農業技術士事務所の渡邊健(わたなべ・けん)さんが登壇し、茨城県におけるサツマイモ生産の現状と展望について講演しました。
主な内容は、県内の生産現場における病害虫の発生状況や防除方法についてです。2025年11月に県内で基腐病(もとぐされびょう)が発生した際、早期に感染拡大を防いだことについても触れ、将来的には「おいしい抵抗性品種が開発されることが理想」と期待を膨らませました。
さらに、気候変動、温暖化によりサツマイモの産地は北上し、産地間競争が激しくなると予想される点を指摘。「茨城県が全国有数のサツマイモ産地を保持するには、病害虫を効果的に防除し、高品質なサツマイモを安定して生産することが重要。これが茨城ブランドの構築につながる」と述べました。

講演:さつまいも博の主催者から見える焼き芋の現状とこれから。

次に登壇したのはさつまいも博実行委員会 実行委員長の石原健司(いしはら・けんじ)さん。
まずは、焼き芋が季節関係なく親しまれるようになってきた点や、スーパーで販売されているサツマイモに品種名が記載されるようになってきた点を挙げ、「ブームに敏感な10~20代女性を始め、多世代に興味・関心が広がっている。楽しみ方にも多様性を取り入れながら、焼き芋はブームを超えて成熟し、恒常的に人気があるジャンルとして確立されただろう」と強調しました。
一方で焼き芋がブームから文化へ変換したとはまだ言い切れず、課題もあります。石原さんは、地域ブランディングが難しい点や、どこでもおいしい焼き芋が入手しやすいがゆえに有名店化しづらい点などを提示し、「地域が主体となって、その土地ならではの焼き芋の食べ方や特色となるものを設計していく必要がある」、「ライト層や子供世代、インバウンド(訪日外国人観光客)にどう伝えていくかが重要」と話しました。

トークセッション:焼き芋業界のいま、そしてこれから

トークセッションには渡邊健さんを始め、源次郎ポテト 渋谷農園の渋谷泰正(しぶや・やすまさ)さん、なめがたしおさい農業協同組合の箕輪雅里(みのわ・まさのり)さん、よっしーのお芋屋さん。のよっしーさん、さつまいもカンパニー株式会社の橋本亜友樹(はしもと・あゆき)さんが登壇。
焼き芋業界のトレンドや課題などのテーマで熱いトークが交わされ、「2010年に紅はるかが登場して以降、粘質系の品種が多かったが、近年はしっとりホクホク系の品種が増えてきた」(橋本さん)、「販売側は蜜を出す焼き方や、蜜を閉じ込める焼き方など差別化することで飽きさせないことが大事」(よっしーさん)などの意見があがりました。
最後にサツマイモ産業や焼き芋業界が10年後どんな姿になっていたら嬉しいかについて聞かれると、「コストを抑えながらラクに栽培できるスーパー病害虫抵抗性品種が登場することを願っている」(渡邊さん)、「サツマイモの品質を落とさないために、地力を上げる必要がある」(渋谷さん)、「どこの地域に行っても焼き芋に関心をもってもらえる状況を作りたい」(箕輪さん)と話し、それぞれの分野の観点から未来に向けての志を共有しました。

分科会

終盤には、①生産②焼き芋市場・消費トレンド③地域・観光・体験事業④暮らしと女性の視点の4つの分科会を実施しました。

①生産の分科会には渡邊健さんと山崎和久(やまざき・かつひさ)さんが登壇。渡邊さんは40年にわたる病害虫研究の知見から、山崎さんは甘藷専業農家としての現場経験から、基腐病や立枯病(たちがれびょう)などの病気についてより深く掘り下げました。「基腐病による腐敗芋と他の原因によるものとを見分けることは難しいので、3時間で見分けられる便利な検出キットが有効」、「畑で広まると防除が困難とされる立枯病については、一般的なクロルピクリン剤を使用する他に、消毒の効果を高めるためハイバリアマルチを使用すること、土壌診断でpHを確認し高ければ矯正すること、イネ科マメ科作物等を導入して輪作を行うこと」など現場で実践できる具体的な対策も共有され、生産者にとって有意義な時間となりました。

②焼き芋市場・消費トレンドの分科会には現役焼き芋屋のよっしーさんと鴻巣泰央(こうのす・やすひろ)さんが登壇。生産者が焼き芋を作ることが増えていること、健康面での需要が増えていることなどのトレンドが挙げられました。また、そういった変化を受け止めつつも「大切なのはブームではなく継続すること。継続させるためにお客様のニーズに合わせて出し方を変え、追求する」と強調。さらに、「規格外のサツマイモをペーストやチップスに加工するなど、無駄なく活用する努力も大切」と話し、周りの人や物を大切にすることの重要性についても言及しました。

③地域・観光・体験事業の分科会には天谷窓大(あまや・そうた)さんと佐藤大輔(さとう・だいすけ)さんが登壇。それぞれ焼き芋に関する様々なビジネスやイベントをプロデュースしてきた経験談を交え、焼き芋にどう興味をもってもらうかについて話し合われました。具体的な事例について、「進化系、むっちり系など、地域、焼き手に『何これ!』と思ってもらえるようなキャッチコピーを作ること」、「プレスリリースは1ページ目に強烈なビジュアルと目を引くキャッチコピーを載せてFAXで送ること(FAXで送れば最低1ページ目は見てもらえる)」 などが紹介され、参加者にとって周りの人を引き込むためのヒントとなる内容になりました。

④暮らしと女性の視点の分科会にはサツマイモの生産やPR活動、食農教育など様々な方面で活躍中の新谷梨恵子(あらや・りえこ)さん、渋谷百合子(しぶや・ゆりこ)さん、金田弥生(かねた・やよい)さんが登壇。同分科会で特に多かった話題が、育児と仕事の両立、そして6次産業化についてです。前者では「子育てメインでも、家族や周りの協力を得ることで働くことができた」、後者では「小指くらいの小さなサイズの焼き芋が意外と売れた。女性の感性を活かして商品開発できる」など、女性が活躍するためのヒントを紹介。グループに分かれて参加者同士でも話し合われ、それぞれの悩みや経験を共有できる場となりました。

なお、4つの分科会では、それぞれのテーマごとにグラフィックレコーディング(グラレコ)をリアルタイムで作成。参加者の発言や議論の流れが1枚の絵として可視化され、内容発表では、その図を用いて分科会内容の振り返りと共有を行いました。

イラスト:ヤマダマナミ @yamada_graphic

イラスト:とんぷ @thomp_graphic

イラスト:@mizzzzzuki_graphics

イラスト:@momomo.0820

最後には全国焼き芋サミットinなめがた実行委員長の髙須敏美行方市長が「日本のサツマイモ文化、焼き芋文化を日本のみならず世界に発信していくことを宣言します」と話し、同日1月16日を「全国焼き芋サミット記念日」として制定しました。


写真提供:行方市


写真提供:行方市

サツマイモの生産現場から焼き芋のトレンドまでさまざまなテーマで盛り上がった同サミット。参加者からは「普段聞けない話を聞けて面白かった」、「焼き芋の市場やこれからのことを聞けて勉強になった」などの声が挙がり、今後の焼き芋文化の発展に向けた新たな一歩となりました。

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