マイナビ農業編集部が秋田にやってきた

「空気がおいしい!」
見渡す限りの山。そして澄んだ空気の匂いーー。
そう、この自然豊かな場所は秋田県です。
都内某所から約500キロの道のりを経てやってきました。
なぜ秋田に来たかと言うと、ずばり、”JAとは何なのか?”を探るためです。
令和のコメ騒動や備蓄米放出などで世間が騒ぐ中、たちまち話題にあがるのが「JA」の存在。
実情を知らないからこそ、イメージだけが先行してるのも理由の一つかと思います。
そこで今回はJA全農あきたから紹介を受けて、秋田県内のJAのひとつ、JA秋田おばこの桜庭真悟(さくらば・しんご)さんに協力いただき、現場を取材。あくまでフラットな目線で見て、私が感じたことをありのままお伝えしようと思います。
コメの品質管理の現場を見る
最初にやってきたのは、大仙市にあるコメの流通拠点「おばこライスターミナル」です。

まず、その広さに思わず圧倒されました。
「県内でも最大級の広さなんです。JA秋田おばこ管内は3万2000ヘクタールの耕作面積を持ち、そのうち水田化率は9割と非常にコメの比重が高い農村地帯。その多くのコメがここに集まります」と、桜庭さん。
たしかに、見渡す限り田んぼのこの地で、膨大な量のコメを扱うにはこの巨大なライスターミナルの存在は不可欠なのかもしれません。

おばこライスターミナルの中。上に見える三角の形状をしているものが33トン入る巨大タンク
中を見させてもらうと、すべての機器のスケールが想像以上でした。
1個あたり33トン入る巨大タンクに始まり、コメをフレキシブルコンテナ(フレコン)に自動充填する装置まで、その工程数は13にも及びます。
そのどれもが大規模なものでしたが、特に気になった二つを紹介します。

色彩選別機
まずはこちらの機械。大量のコメが超高速でひっきりなしに上から下へ流れています。
桜庭さんに聞くと、「こちらは色彩選別機と言い、コメの色を選別しています。害虫の被害を受けた斑点米など、着色してしまったものや、異物をくまなくチェックし、エアーガンで弾いているんです」とのこと。
なるほど……!この速さで、しかも色だけではなく斑点なども見逃さずに選別できるとは、すごい技術です。

約9600トンのコメを収納できる自動ラック倉庫。暗くて見えづらいがかなりの高さがある
続いて気になったのはコメを保管する自動ラック倉庫です。
「年間を通して気温15度、湿度60%に保持されている低温倉庫です。約9500の部屋があり、各部屋にフレコンに入ったコメが収納されます。全体で約9600トン(16万俵)のコメが収納できるんですよ。追跡機能もついており、どこに何の品種の何等級のコメがあるのかすぐに分かるようになっています」と、桜庭さん。
規模が大きすぎて、見上げても見えないほど!
この巨大な倉庫の存在により、良品質のコメを安定して供給できているのですね。
- 13の工程を経てコメの品質がグレードアップされている
- 色彩選別機ではわずかな着色粒や異物も見逃さず除去
- 9600トンものコメを品質を保持しながら保管
最新の技術と万全の管理体制。そして巨大スケール。この3つがそろって安心安全でおいしいコメが安定して消費者の元へ届けられることを身をもって感じることができました。
そして、生産者目線で言えば、自身で品質管理を行う際には保管倉庫や設備のコスト、労力は無視できません。これらを一挙に引き受けてもらえれば、生産に集中できますし、何より安心して任せられるというのが少しは伝わったのではないでしょうか。
新鮮な状態で届ける直売所の存在
品質管理のリアルを目の当たりにしたところで、次にやってきたのは「しゅしゅえっと まるしぇ」です。
しゅしゅえっと まるしぇとはJA秋田おばこが運営する直売所で、生産者の作物を新鮮な状態で販売しています。
コメ以外にも野菜やお弁当、特産品まであり、その品揃えの多さとユニークさにテンションあがりまくり(笑)

商品には生産者の思いや食べ方なども添えられており、例えばパプリカは「肉詰め肉厚でいい感じです」と味のある手書きのイラストとともに紹介。レシピを想像できるので、手に取りやすそうです。
そして、一際異彩を放っていたのがこちらのお弁当。
「白米の上にちっちゃい鮭ひとつだけ…?!」(マイナビ農業編集部の心の声)

SNSでも話題になったぼだっこ飯。辛くなるほど鮭の量が小さくなっている
「これは名物のぼだっこ飯です。ぼだっこというのは塩辛い焼き鮭のこと。箸でちょっとずつ崩しながら、小豆くらいの大きさにして白米と一緒に食べます。そうすると白米の甘さが何倍にも引き立つんですよ」と桜庭さん。
なるほど、だから小さいのですね!納得。
昨年販売してすぐSNSで話題沸騰し、累計1万個以上売り上げているそうです。
ここから分かる通り、販促力も見逃せません。
「秋田ではあきたこまちが出る前の昭和50年代から『美人を育てる秋田米』というキャッチコピーを使っています。
品種ごとにキャッチコピーをうたっていることはあっても、県としてコメのキャッチコピーを使っているのはうちだけだと思います」と言うのは、JA全農あきたの畠山恵介(はたけやま・けいすけ)さん。
品質管理だけでなく、消費者にその良さを届けるための努力も惜しまない秋田県の心意気がうかがえました。
- 直売所では特徴や食べ方も合わせて紹介し、その良さを知ってもらう
- 名物ほだっこ飯は累計1万個売り上げるほど話題
- 昭和50年代から続く販促活動の努力
マイナビオフィスで秋田米を実食
品質管理と直売所の現場を知ったところで、秋田からオフィスに戻り、実際に秋田米の「あきたこまち」と「サキホコレ」を炊き、社員で食べてみました。

オフィスでコメを炊いてみた
どちらもツヤがあり、粒が立っていて美しい見た目です。
試食した社員に聞いてみると、あきたこまちは「噛めば噛むほど甘みが出て、ゴハンが進む」、そしてサキホコレは「甘みが強く、柔らかい。一粒一粒の存在感がある」などそれぞれ違った良さが挙げられました。

炊きあがったコメはツヤがあり、美しい(こちらはサキホコレ)
社内で好評だった「サキホコレ」ですが、実はJA全農あきたが「あきたこまち」に並び力を入れている品種です。
「コシヒカリを超える極良食味品種」というコンセプトの通り食味はもちろんのこと、年々被害が拡大している高温障害の耐性があることも強み。秋田県全体で稲の登熟に大きな被害が出た年でもサキホコレだけは約96%が一等米だったそうです。
こうした品種展開を始め、生産技術や経営のアドバイスをもらえるのは、生産者にとっても心強いですね。
- 王道あきたこまちは食べやすくゴハンが進む
- 新星サキホコレは1粒1粒の存在感があり、柔らかい
- 結論、どちらもおいしい!(笑)
取材を終えてみて
秋田県を実際に訪問し、現場を見ることで「JAって結局何やってるの?」のアンサーを垣間見ることができました。
ただ、左から右に流しているのではなく、品質を損なわず、グレードアップさせる万全の管理。作物の良さを最大限に生かす直売所の存在と販促活動。そして気候変動に合わせた品種展開。生産者が生産に専念するための環境作りとサポート、それこそがJAの意義なのだと実感しました。
JA全農あきたの藤丸友次(ふじまる・ゆうじ)さんは、「高い安いで決めつけず、どんな取り組みをして、どんな職員がいるのかを知ってほしい。私たちはおいしくて良いものを作り上げるために、全力を尽くしています」と強調しました。
また、同じくJA全農あきたの須磨彩夏(すま・あやか)さんは、「美味しい秋田米をたくさんの人に食べてもらいたいです」と話しました。
次回は今回紹介しきれなかったJAの価値をさらに深堀していきます。営農指導員と生産者の関係とは?生産者にとってどんな存在?そんな疑問を紐解いていきますので、お楽しみに!

次回登場するのは笑顔がステキなこちらのお二人















