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猟師直伝! 田畑の獣害対策で「わなを仕掛けるべき」3つの黄金スポット

猟師直伝! 田畑の獣害対策で「わなを仕掛けるべき」3つの黄金スポット

里山の耕作地は、野生動物たちにとっての食堂であり通路であり、風呂場でもある…。夜な夜な現れては大切な田畑を好き放題に荒らす獣たちに頭を悩ます農家さんも多いと思います。そこで本稿では、効率よくわなを仕掛けるのならココ!というポイントをハンター目線で伝授。
わな猟は、野生動物との知恵比べといっても過言ではありません。地形や個体の経験値にもよるものの、知っておいて損はないポイントを3つピックアップして紹介します。「わなを仕掛けてもイマイチ捕獲率が悪い」という人はぜひ参考にしてみてください。

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どんな獣がどこから来てる? まずはアニマルトラッキング

獣害にあっている畑の全景

わなを掛けるなら、まずはターゲットにされている田畑の周辺を熟知することから。ぐるりと周辺を歩いて、どんなけもの道があるか、気配の濃さはどうか、どのようなルートを通ってどこへ向かっているのかなどをチェックしましょう。

今回は、筆者の家の近くにある山に隣接した田んぼを先輩猟師と一緒にまわりながら、具体的な「わなの黄金スポット」を見ていきます!

そもそもけもの道とは?

けもの道

アニマルトラッキングの前に、「けもの道」について少し解説します。農家の人や田舎に住んでいる人なら、おそらくごく当たり前に周辺にあるのではないでしょうか。

名前の通り「けものが通ってできる道」なのですが、多くのけもの道は単独の動物が使うわけではありません。野生動物も基本的には歩きやすいところを歩くため、一つの道をシカやイノシシ、タヌキ、アライグマなど、いろいろな動物が使っていることがほとんどです。

このため、けもの道だけを見つけても、「ここを野生動物が通ることがあるらしい」という情報を手に入れたに過ぎません。そもそも、その道が今も使われているとは限らないのです。

「最近来ている動物は何?」「この畑を荒らしているイノシシはどこから来ている?」といった、より絞り込んだ情報を得るために、アニマルトラッキングをしていきましょう。

新しい痕跡と古い痕跡の見分け方は?

夜の間に付いたと思われるイノシシの足跡。輪郭がはっきりとしており、足跡の中の土がまだ乾ききっていない

まず、けもの道を見つけたらチェックしてほしいのが以下の3つです。

1.新しい足跡が付いているか

2.新しい糞が落ちているか

3.倒れた草はみずみずしいか

野生動物は、しょっちゅうルート変更をします。このため、「獣の気配が濃い道」を見分けるのが最初のステップ。新しい痕跡が見つけられなければ、いくらけもの道があってもわなに掛けることは難しいでしょう。

「何時間前に通ったか」までわかるのは熟練猟師じゃないと難しいと思いますが、「今朝か昨日ぐらいに来ていそう」という判断は以下のポイントを見れば可能です。

 

  新しい 古い
足跡 輪郭がはっきりしており、踏みつけられた足跡内の土が湿り気を帯びてツヤッとしている。足跡の中に踏まれた草などがあれば、まだ倒れていてみずみずしい。枯れ葉は比較的形が残っている 輪郭が崩れて土が乾いている。足跡の中の踏まれた草が枯れている。もしくは、新たに草が生えている。足跡の上に枯れ葉が乗っている場合も古いことが多い
みずみずしくツヤツヤしている。棒などで突いてみるとやわらかい。本当に新しいと糞同士がぎゅっとくっついてひと塊になっていることも 表面が乾いてマットになっており、棒などで突いた感じも硬くなっている。形が崩れていたり、まとまり感がなくなっている
けもの道上の草や落ち葉 踏まれた草があれば、折れたり切れたりした部分がまだ瑞々しい。落ち葉が積もっている場所では、落ち葉が立っている 草が倒れている形跡がない。落ち葉が積もっている場所では、落ち葉の表面が荒れておらず均一

 

落ち葉が立つとはこういうこと。写真は鼻で掘り起こした形跡だが、歩いただけでもこのように落ち葉がふわりと盛り上がる。目線を低くして見るとよりわかりやすい

どんな野生動物が来ている?

くくりわなも箱わなも、いろいろな野生動物を捕らえることができます。このため、「何が来ているのか特定する必要はない」と思う人もいるかもしれません。

しかし、田畑を荒らしている犯人を特定できれば、その動物の習性に合わせた誘導の仕方やわなの掛け方もできますし、「これを捕獲できれば安心」という有害駆除のゴールもわかります。足跡から、捕まえるべき相手のアタリを付けておきましょう。

【イノシシ】

イノシシは、蹄の後ろ側にある「副蹄」という小さな蹄の位置がシカに比べて低いので、足跡にも副蹄が付きやすいのが特徴です。ただし、深く踏み込まないと付かないので、地面が固い場所や浅い足跡ではシカと間違えるかもしれません。

シカよりも蹄がカーブしていて左右の間隔も広いので、シカとイノシシ、両方の足跡を見られるようなら見比べながら覚えていきましょう。

シカの足跡は、細くてまっすぐな蹄の跡が2本付きます。指を2本並べて土に押し付けたような規則正しい形は、おそらく一度覚えればすぐに分かるようになると思います。同じくらいの大きさの足跡でも、イノシシと比較すると歩幅が広いのも特徴です。

【その他、代表的な野生動物】
イノシシやシカのような偶蹄類(指の数が2本か4本のヒヅメを持つ哺乳類)ではない野生動物の見分け方は指の数や長さから分類できます。

野生動物の裏をかくわなポイント3選

野生動物の行動パターンと種類が分かれば、自ずとかける場所も決まってきます。アニマルトラッキングと周辺の地形の確認を終えたら、いよいよわなを掛ける場所を決めましょう。ハンター目線のわなポイントはこの3つ!

1.水場周辺の狭まっているけもの道

畑から右手の湿地帯へ、土手を崩して道を作ってしまっている。でも、こうした場所は確実に通るため、近くに根付けになる木があれば狙い目

水を飲んだり水浴びをしたりと、野生動物たちが頻繁に訪れる水場。そこへ向かう道の途中で、根付けになる木などがあり、なおかつ道が狭くなっている場所は絶好のポイントです。

写真のように通る場所が限定されている場所のほか、けもの道が徐々に狭くなっていくような場所も黄金スポット。足元に気を取られることなくルンルンと歩いてきて、そのまま狭い場所へ踏み込んでいくので、わなを踏ませやすくなります。

2.合流するけもの道

奥の笹薮に穴が開いて見える2カ所がけもの道。赤丸の合流地点にわなを掛けておけば、どちらから来た獲物も狙える

けもの道が合流する場所は、複数のわなを仕掛けるチャンス。2方向のけもの道の出口それぞれと、合流地点にも保険で掛けておくことで捕獲率が上がります。写真の場所は、猟友会の先輩が実際にわなをかけている場所。

根付けの関係でけもの道には片方しか掛けられないため、より気配の濃い向かって左側の道と合流地点に掛けて、何度も捕獲しているそうです。

3.「歩くだけの場所」を見極める

細くなるけもの道

特にイノシシの場合、ヌタ場やエサ場では止まってしっかり鼻を使うけれど、歩いているときはそんなに匂いをかがずに歩いていることが多いようです。

このため、ヌタ場や餌場そのものよりも「移動にしか使わない場所」にわなを掛けるのがおすすめです。ただし、少しでも怪しいと思えばしっかり鼻を使ってわなを見つけ、掘り返してしまうこともしばしば。

ワイヤーなどが見えているのはさほど気にすることはないようですが、匂いは極力残さず、掘り跡も最小限にしてわなを仕掛けましょう。

 

自然な障害物を利用できればベスト!

枝などで「またぎ棒」を設置して、獣が足を置いた場所にわなを仕掛けるというのはくくりわなの常套手段。でも、先輩猟師のYさんいわく「人間が置くとやっぱり違和感が出るから、もともとそこにある障害物を利用するのがベスト」なのだとか。
また、野生動物の進行方向から見て、障害物の向こう側に設置する方が匂いをとられにくいので良いそうです。ちょっとした意識の変化で、捕獲率も変わります!

 

掛けてはいけないポイントもチェック

上の写真をよく見ると、けもの道の隣に給水パイプが埋まっている。もしこの近くでイノシシがわなに掛かったら、地面が抉れるほど暴れるためパイプ破損の危険性が

ここまでは「掛けるといい場所」を紹介しましたが、逆に避けるべき場所もあります。捕獲に夢中になりすぎてうっかり危険な場所に掛けないよう、下記の3つもぜひ覚えておいてください。

1.浅い場所にパイプなどが埋まっているところ

田畑の近くでは、水を引くためのパイプが土に埋まっていることがあります。わなに掛かった獲物が逃げようとして暴れ、もしも地中に埋まっているパイプを破壊してしまったら大被害です。わなを掛ける前に、地主さんや田畑の持ち主に水路や給水管の場所を確認しましょう。

2.道路や田畑近くの土手

野生動物が暴れて土手が崩れると、道路や田畑へ大量の土が落ち、通行の妨げや田んぼに欠かせない治水機能の破壊などにつながります。

特にイノシシは地形を変えるほどわなの周囲を掘るので、かかった獲物が暴れることにより迷惑がかかるような場所にはわなを掛けないように気をつけましょう。

3.斜面はできるだけ避ける

土手ではなくても、傾斜地にわなを掛けるのは危険です。安定しない場所での止め刺しは大
事故につながりかねません。

さらに、「斜面でかかったシカやイノシシはなぜか死んでしまうことが多い」と先輩猟師たちは語ります。筆者はまだ遭遇したことがありませんが、もし発見時に死んでしまっていると血抜きがうまくいかず、せっかくのお肉がおいしく頂けなくなってしまいます。

安全面と命を無駄なく頂くという視点から、斜面への設置も避けた方が無難でしょう。

まとめ

「あそこに行けばおいしいものがある」と一度学習すると、野生動物はしつこく同じ畑を狙ってやってきます。また、冬季の休ませている田んぼであっても、その周辺で怖い目にあったことがないと、歩きやすくて便利な通り道にされてしまうことも。

こうした行動パターンを読み解いて、野生動物の執着や習慣を逆手に取れば捕獲率も上がっていきます。まずは自分がわなを掛けたいと思っている田畑の周辺をしっかり歩いて、その場所を訪れている動物の目線で田畑を見てみてください。きっとわなの黄金スポットが見つかるはずです!

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