「180人分の紙」と格闘、集出荷団体の見えない苦労

生産者が手書きした栽培履歴簿を全てファイリングして管理
埼玉県深谷市に拠点を置く「埼玉産直センター」は設立から53年。180名ほどの生産者が所属しており、深谷ねぎや埼玉のブランドいちご「あまりん」をはじめ、たくさんの農作物を作っています。「食べる人の立場になり、考えつくり供給しよう」「消費者に信頼される農業者になろう」「産直運動は、作る人と食べる人が相互理解することが基本である」の3つをスローガンに、おいしく安全な野菜や果物を生産し続けてきました。

地元の旬の野菜を中心に新鮮で美味しい野菜を取りそろえる直売所

(埼玉産直センター 井上賢一代表理事)
同センターでは農業における新たな取り組みに以前から積極的で、生ごみを資源化し、再び土に還すという循環型農業への取り組みを行っています。この取り組みは、2023年の第52回日本農業賞の集団組織の部で優秀賞を受賞しています。

自前の肥料工場で、“ぼかし”と呼ばれる肥料を一貫して生産
産直センターのような組織が自前で肥料センターを有しているのは異例のケースです。選果場で出る野菜残さや取引先の生協・量販店から回収した食品残さなどを活用して、品質のよい有機肥料が作られています。肥料は風などで舞い上がりにくく使いやすいペレット状となっており、所属生産者がよりよい作物を作れるように取り組んでいます。

作目別、季節別に肥料の配合を変え、使いやすいペレット状に加工
生産した作物を生協や東京・大阪といった大都市圏へ出荷している同センターにとって、栽培履歴や農薬使用の管理は組織の根幹を成す業務のひとつです。しかし、その裏側には多大なアナログ作業の負担がありました。

(埼玉産直センター 戸塚夏樹常任理事)
農薬の仕様についての情報は更新されていくため、過去には使用できたものも、現在は使用できなくなっていることも少なくありません。現場のチェックを担う職員の方々は、センターを運営していく業務に加えて、栽培履歴や農薬の使用について厳しくチェックを行っていますが、紙ベースでの入力作業や、部会によって異なるフォーマットに苦慮していました。

栽培履歴簿をチェックする様子

(埼玉産直センター 総務部 今井清貴課長)

(埼玉産直センター 総務部経理課 木部裕樹氏)

(埼玉産直センター パックセンター長 大川温生氏)
こうした「安心なものづくり」への徹底したこだわりがあるからこそ、その証明となる栽培履歴の管理にも一切の妥協は許されません。重要な業務であるからこそ、記録と管理をより確実かつ迅速にできる仕組みが求められていました。
「利他」の精神で現場に飛び込む。
ITのプロが農業に挑む理由
こうした産地の情熱と、現場の苦労に寄り添ったのが、独立系IT企業の株式会社ユニリタです。同社は「利他で紡ぐ経済をつくる」というパーパスのもと、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。

(ユニリタ アグリビジネスチーム 石毛佑輝氏)

ユニリタの担当者は何度も生産現場を訪問し、現場の悩みを理解したうえで農業共通の課題解決を目指しています。そのためにも、生産者のデータだけでなく、組織として活用できる汎用的なサービスを作っていきたいと考えたことが「ベジパレットコネクト」の開発につながりました。
開発に向けて、さまざまな生産者の実際のデータを用いるために協力してくれる団体を模索していたところ、これまでの付き合いのあるところから埼玉産直センターを紹介してもらったことが、機能の充実に大きく寄与しました。

(埼玉産直センター 吉田道行専務理事)
こうして誕生したのが、クラウドによる栽培履歴簿と部会管理のDXプラットフォーム「ベジパレットコネクト」です。
埼玉産直センターのような集出荷団体は、栽培履歴簿のルール順守確認の自動化を実現できます。農薬の公的データベース(FAMIC)とシステムが自動連動し、随時最新の失効情報に更新。変更を自動で検知し、生産者に注意喚起を促すことが可能です。また出荷先ごとに異なる基準を設定、ローカル基準にも対応でき、日々のチェック・メンテナンス業務にかかるコストを大幅に削減することができます。

生産者も、栽培履歴などをスマホから手軽に報告できるようになるため、書類提出のために集出荷団体へ出向く必要がなくなります。栽培基準なども容易に確認できるほか、失効農薬情報もアラートで通知。集出荷団体や部会が推奨する農薬肥料や過去の利用農薬、肥料などの情報もスマホから履歴を追えるようになります。また、生産者が所属する部会の管理にも対応し、栽培履歴の提出状況や各生産者の播種日、定植日、圃場面積、予想収穫量などを一覧で確認できるようになります。

ベジパレットコネクトの操作画面
さらに、生産者が入力した紙を集出荷団体で再度整えて記録する、といった二重作業がなくなることも大きなメリット。ITに不慣れな生産者の場合は、集出荷団体による代理入力も可能となっています。
これらの機能により、ルール逸脱があれば一目で把握できるため、チェック漏れのリスクの劇的な削減を実現。これまで電話連絡で確認していた収穫予測も、より高い精度で簡単に確認し、取引先などへ伝えられるようになります。

(ユニリタ アグリビジネスチーム 深水桂輔氏)
「ベジパレットコネクト」はリリース後も順次アップデートを重ねていく予定です。農業にかかわる人々の声に寄り添いながら、食の安全を守る仕組みづくりを続けていきたいとユニリタの深水氏、石毛氏は語りました。
デジタルが紡ぐ、新しい「顔の見える関係」
デジタル化は、決して人と人の距離を遠ざけるものではありません。 井上代表理事は、その先に描く未来をこう見据えています。

今後は映像やデータによる作業記録を、食卓へダイレクトに伝える構想も。作り手と食べる人が『食の安全・安心』を共有できる仕組みづくりに向け、両者は未来を見据えています。
「安心」という目に見えない価値を、確かな「データ」で証明する。ユニリタが提案するクラウドサービス「ベジパレットコネクト」は、埼玉産直センターのような食の安全と安心を守る人々を支援し、農業DXへの新たな可能性を切りひらいていくことになるでしょう。

お問い合わせ
株式会社ユニリタ
経営戦略本部
経営企画統括部サステナビリティグループ
メール:ml-agriculturesales@unirita.co.jp
















