一度入ると止まらない、ナシマルカイガラムシの恐怖

選果機で、紅斑のついたりんごが弾かれていく。
見た目の問題にとどまらず、生果として販売できなくなることは、りんご農家にとって経営に直結します。加工用に回されれば、価格は半値以下になることも珍しくありません。
ナシマルカイガラムシは、殻(介殻)に覆われ薬剤が届きにくい構造をしています。発生に気づいたときにはすでにナシマルカイガラムシが生育が進んでいるケースも多く、防除の難しさから、ベテラン農家でも頭を悩ませてきました。
青森県弘前市で約3町歩の圃場を管理し、「ふじ」を主力におよそ10品種のりんごを栽培する就農20年のベテラン農家・森山大助さんも、こうした危機感をいち早く感じていた一人です。
小さな違和感を見逃すことなく、「止める」という選択肢にたどり着くまで
森山さんが最初にナシマルカイガラムシの被害を確認したのは、今から3年前のことでした。

しかし森山さんは、その小さな異変を放置しませんでした。自ら調べ、すぐにJAへ相談。そこで、ナシマルカイガラムシ対策として「コルト顆粒水和剤」が有効であることを知ります。


森山さんはもともと、アブラムシ対策としてコルト顆粒水和剤を6000倍に希釈したものを使用していました。しかし、ナシマルカイガラムシに対しては害虫側の耐性や環境条件の変化により、従来の防除体系では限界を感じていたといいます。
殻に覆われる前に、吸わせない。
森山さんがコルト顆粒水和剤(3000倍希釈)のナシマルカイガラムシに対する効果を強く実感したのは、最も効果的とされるタイミングで散布したときでした。りんごでは、6月中旬、ふじの落花から30日前後。ナシマルカイガラムシのクローラー(歩行幼虫)が発生する時期です。

クローラー期は、介殻が十分に形成されておらず、行動が活発な段階です。この時期にカイガラムシの吸汁行動を阻害すると、樹液を吸えないまま生育が止まり、被害の拡大を防ぐことができます。実際に、選果の現場では変化が見えたと森山さんは言葉を続けます。

カイガラムシに「吸わせない」仕組み

(左)日本農薬株式会社 技術普及部 森俊之佑さん、(右)日本農薬株式会社 仙台支店 錦博登さん
コルト顆粒水和剤の有効成分は、ピリフルキナゾンです。この成分の最大の特長は、害虫をすぐに殺すのではなく、吸汁行動そのものを阻害する点にあります。
日本農薬 森俊之佑さんは、次のように説明します。

森さん
カイガラムシが吸汁できなければ、果実への直接的な被害はもちろん、樹勢低下も防ぐことができます。“叩く”のではなく、“吸わせない”。このアプローチが、カイガラムシ対策において大きな意味を持ちます。
また、作用機構が従来薬剤とは異なるため、従来薬剤に抵抗性を持つ個体にも効果が期待できる点や、天敵への影響が比較的少ない点も評価されています。IPM(総合的病害虫管理)の考え方に沿って、防除体系に組み込みやすいことも、継続使用につながってきました。
こうした効果と実績が積み重なり、コルト顆粒水和剤は令和8年から青森県の防除暦にナシマルカイガラムシ対策として採用されることが決まっています。現場での使用実績と評価を踏まえ、県として有効性を認めたという点は、生産者にとって大きな判断材料になります。

錦さん
と、話すのは日本農薬 錦博登さん。錦さんは、森山さんが日頃から最も信頼を寄せている農業資材メーカーの担当者の一人です。

“効くと感じる”だけでなく、“公的に認められた”。その事実が、コルト顆粒水和剤を産地の定番へと押し上げています。
「笑って収穫を終えたい」――生産者の思いから始まる防除

カイガラムシは、一度発生すると防除に多大な時間と労力を要します。だからこそ、被害が拡大する前に対策を講じることが欠かせません。

りんご農家にとって、防除は単なる作業ではなく、1年の努力を実らせるための重要な判断です。被害果が減り、選果での落胆がなくなることは、経営面だけでなく、精神的な負担を軽くしてくれます。

青森県津軽地方では、りんごが地域の基幹産業として位置づけられ、販売ルートの確立や技術習得、情報共有の環境が整っています。信頼できるメーカーやJAと連携しながら、防除の質をそろえていくことが、産地全体の力になります。
生産者一人ひとりが「笑って収穫を終えられる」こと。
その積み重ねこそが、津軽りんごの品質とブランドを、次の世代へつないでいく原動力になることでしょう。

お問い合わせ先
コルト普及会
クミアイ化学工業株式会社
日本農薬株式会社[事務局]
東京都中央区京橋1-19-8(京橋OMビル)
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