「わな」は大事。「わな」を掛ける道具はもっと大事
わな猟免許を取得したあとって、狩猟登録をするにしても有害鳥獣捕獲をするにしても、許可証がくるまでは少し時間が空くんですよね。その間、新米猟師たちはソワソワしながら準備を進めることと思います。でも、その準備の内容って、ほとんどの人が「わな本体」ではないでしょうか?
試行錯誤でくくりわなを作ったり、気になるメーカーの商品を取り寄せたり……。もちろん、それも大事です。むしろ、わながなくては猟ができません。でも、わなを掛けたり直したりするときに必要な道具のことって案外忘れがちなんです。
まずはくくりわなの設置方法をチェック

踏み板を踏むと、バネが伸びて獲物の脚を捕らえるバネ式くくりわな
くくりわなの設置や掛けなおしの際に何がいるのかを知るために、まずはくくりわなを掛ける流れを見ていきましょう。
1.地面に穴を掘り、踏み板の台座を置く

踏み板の台座の大きさに合わせて地面に穴を掘ります。シャベルが必要になりますが、これは当然、想定内ですよね。
2.ワイヤーをセットし、バネを塩ビパイプに収納する

獲物をくくるためのワイヤーを踏み板にセットして、ワイヤーに通されたバネをギュッと塩ビパイプの中に圧縮収納します。
この時、パイプの中にかなり力を込めてバネを収納しているので、バネの力を逃がさないよう、塩ビキャップの近くで蝶ネジをしっかり留めましょう。
セットするタイミングは人それぞれですが、持ち運ぶ際に衝撃で作動してしまうことがあるので、現場で行う方が二度手間にならないと思います。車で移動して、あまり歩かない場所にわなが掛けられる場合は家でワイヤーをセットしてから運んでもOKです。
3.踏み板を台座に置き、塩ビパイプを埋める

手前に埋めてある塩ビパイプの中に圧縮したバネが入っている
バネを収納した塩ビパイプを土に埋めます。パイプを横向きに埋める場合はシャベルでOKですが、写真のように縦埋めにする場合はシャベルでは難しいのでドリルを使います。
ちなみに、縦埋めは横埋めに比べて大変ですが、脚の高い位置をくくってくれるので、わなが外れにくいというメリットがあります。
わなが外れて獲物が逃げるだけならいいのですが、イノシシに突進されてケガをする事故も毎年起きているので、浅く掛からないための工夫が必要です。
4.丈夫な木に反対側のワイヤーを固定する

シャックルで木にワイヤーを固定します。写真ではシンプルに巻いていますが、イノシシやシカを想定する場合はワイヤーを二重に木に巻き付けた方が安心です。
5.わな本体とワイヤーを隠す

木にワイヤーを固定したら、最後の仕上げにわなを落ち葉や土で隠します。ただ、土を載せすぎると重みでわなが作動してしまうことがあるので、落ち葉があるなら落ち葉の方がいいと思います。
上の写真はワイヤーを隠していませんが、「ワイヤーは隠さなくてもあまり問題がない」説も……。人によっては1mmの露出もなく隠すという人もいますし、「野生動物にはワイヤーとわなの関係性がわからないから隠さなくても掛かる」という人もいます。
筆者は、獣がワイヤーに脚を引っ掛けてわなが露出したり、空弾きされたりしてもいやなので、ワイヤーが邪魔になりそうなら隠すし、そうじゃないなら隠さないです。
くくりわなの設置方法でよくある困りごとって?
設置方法を通して見ても、「やっぱりシャベルだけあればいいんじゃない?」と思いませんでしたか? 筆者もそう思っていました。ですが……意外と落とし穴があるんです。これを知ると、「くくりわなの設置と見回りに持って行くべきアイテム」が見えてきます!
1.穴を掘るときに根っこが邪魔する!
これはもう、大体の場所でぶつかる問題です。サクサク掘れる場所の方がめずらしいくらい。根っこって細くても頑丈で、密集していると本当に設置に時間が取られます。
2.細かいパーツの紛失
くくりわなには、蝶ネジやシャックル、締め付け防止金具、ねじりバネの場合はストッパーと、細かいパーツが多いです。しかも、どれも無いとわなを掛けることができない重要なものばかり。山の中で紛失すると、まず見つけられません。
3.パーツが錆びてネジが回らない!
わなの再設置や、獲物がかかったわなを撤収する際に起きる問題。木にワイヤーを固定するためのシャックルが、鉄製だと本当によく錆びます。ピン部分が小さいために、錆びて固くなっていると手では回せないことが……。
4.獲物の脚にワイヤーが絡んで外せない!
わなに獲物が掛かっていた場合、なかなかワイヤーが外せないことがあります。止め刺しを終えてから外すシーンが多いため、血やワイヤーのささくれが付かないようにグローブをしていた方がいいのですが、そうすると細かい作業が難しく、余計に外す難易度が上がってイライラ。
あれば効率アップ! 6種の神器をチェック
くくりわな猟の困りごとがわかったところで、本章ではくくりわなの必須アイテムを紹介します。筆者の見解を多分に含んではいるものの、これから害獣捕獲に挑戦する方にとっては参考となれば幸いです!用途を満たしつつ、自分に最も合うアイテムを探してみてください。
1.刃付きスコップ

最初は普通のガーデニング用シャベルを想定していましたが、山の土は花壇とはまったく違いました。前述のように木の根が地中にはびこっているので、それを断ち切る強さが必要。
というわけで、筆者はナイフのような刃とギザギザの刃が付いた細いスコップを使っています。これなら多少の根っこはシャベル一本で一掃!
2.剪定ばさみ

シャベルの刃でも切れないような太い根、もしくは密集している根は剪定ばさみで切ってしまうのが楽です。
……と言いつつ、筆者が持ち歩いているのはワイヤーカッターです。くくりわなの4mmワイヤーまでは切れないと思うのですが、細い金具やワイヤーのささくれなどは切れるので、いざという時の保険としてこちらにしています。
3.縦穴用ドリル

塩ビパイプを縦に埋める際に使用していますが、実はこれ、犬をアウトドアで係留するためのアンカーです。「くるくるワンワン」という、ハンマー不要で地面にぐいぐい刺すことができるすぐれモノ。
愛犬たちとキャンプに行く際に使用していたのですが、これを埋めてから引き抜くといい感じに縦穴が掘れて、狩猟でも重宝しています!
地面を掘るための道具としては、ほかにも園芸用ドリルなどがあるので、重さや長さなど、自分に合うものを探してみてください。
4.予備のパーツとパーツ入れ

蝶ネジ、締め付け防止金具、シャックル、ねじりばねのストッパーなどは予備を持っていきます。ポケットの中に入れると紛失しやすいので、専用のパーツ入れを用意しておくのがおすすめ。100均の小さなタッパーで十分です。
5.ラジオペンチ

写真のように、屋外で使っているとシャックルがあっという間に錆びてネジが外れなくなります。こうした場合はペンチがあると簡単にネジを回せるので、一本持っていきましょう。普通のペンチよりも、先端が細いラジオペンチの方が使い勝手がいいです。
6.ラバーコーティングの手袋

土を掘ったり埋めたり隠したり……と、何かと土や落ち葉を触るシーンが多いので軍手や手袋は必須です。また、くくりわなを仕掛けるような場所は木や藪も多いので、ケガの防止のためにも持っていた方が安心。
手のひら部分がゴムになっているラバーコーティングのものだと、グリップ力があって作業がしやすく、血や汚れも沁みにくいので重宝します。
【番外編】設置場所を決めるときの3種の神器
最後に、わなを掛ける時は必須ではないものの、下見のときにあると便利なアイテムがあるのでそちらも紹介します。「下見なしで直接行って掛けている」という人も多いと思うので、こちらは参考までに見てみてください。
1.メジャー

くくりわなを設置する際に意外とあるのが、「根付からわなを掛けたい場所への長さが足りない!」という問題です。
わなを設置したい場所を下見する際には、根付とわなを掛ける場所を測っておくとワイヤーの長さも現場に合わせて用意できるのでおすすめです。
2.蛍光カラーテープ

下見して「ここにわなを掛けよう」と決めても、次に訪れたときにその場所を探すのは結構大変です。山の中では本当にたやすく道に迷いますし、決めておいた根付の木もどれだかわからなくなるのは当たり前。
記憶を頼りに探すより、目印を付けておいた方が効率的です。そんなわけで、筆者はわなの下見で場所を決めたら、根付にする木、もしくはその近くに蛍光テープを巻いています。
見回りに行く際も、これがあるだけでかなり時短になりますよ!

蛍光ピンクやオレンジなど、自然界にない色を選ぶのがポイント
3.登山用アプリ(ジオグラフィカ)

圏外でも歩いたコースのトラッキングや覚えておきたい場所のマッピングなどができて、狩猟シーンでも大活躍してくれるのがジオグラフィカ。わなを掛ける時だけでなく、狩猟期間中は道迷いを防ぐためにも大いに活躍してくれました。
登山用アプリはいろいろありますが、ハンターはジオグラフィカユーザーが多いように思います。
まとめ
くくりわなの作業に必要な6種+下見にあると便利な3種の神器、いかがだったでしょうか。筆者はシャベルは腰から下げ、それ以外はウエストポーチに入れて持って行くようにしています。
そこそこ荷物にはなるものの、何かが足りず、家に戻るよりははるかに時短になるんですよね。時間を掛ければ何とかなることも多いのですが、わなの数が多いと一つひとつに手間取っているのももったいないです。
「備えあれば憂いなし」で、ぜひ自分なりの装備を用意してみてください。

















