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塚田拓さん 昆虫・生き物の専門家で、いわゆる“虫博士” 。1968年鹿児島県生まれ。幼少期から昆虫の魅力にはまり、大学院を経て青年海外協力隊としてコスタリカへ。環境アセスメントなどの生物調査を主な生業としている。 地元テレビ・ラジオの準レギュラー、朝日放送「探偵ナイトスクープ」にも出演。昆虫図鑑の共著など。 |
2026年春から急激に増えた白い綿毛の正体とは

指先の白い綿のようなものがチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫。その上の茶色い三角状の虫が成虫。
今回は「チュウゴクアミガサハゴロモ」という外来種の虫が、全国的にものすごい勢いで増えているそうです。僕の畑でも見かけるようになってきたので、注意喚起も含めて、どういった虫なのかをつかぽんに聞きました。


見た目は全然違いますが、写真に写っている白い方が幼虫で、茶色い三角のものが成虫です。



チュウゴクアミガサハゴロモの顔を見るとセミに近い
そう、見た目はガのようですが、この虫は分類上「カメムシ」の仲間。セミやアブラムシやウンカ、さらには水辺のアメンボやタガメも同じカメムシ目です。最大の特徴は、針のように細く鋭い口器。ガやチョウの幼虫であるイモムシが葉をむしゃむしゃ食べるのに対して、彼らはこの針を植物に突き刺し、中を流れる汁を直接吸い上げます。
チュウゴクアミガサハゴロモはどんな害をもたらすか

枝に残った産卵の痕。ここから枝先が枯れたり、折れたりすることもある。
中国から入ってきたこの虫が、国内で初めて確認されたのは2010年代半ばのこと。まだ歴史の浅い外来種ですが、いまや東日本以西を中心に、2026年時点で28都府県にまで分布を広げています。まず驚くのが、食べる植物の幅広さです。


実際、確認されている寄主植物は、柑橘(かんきつ)やブルーベリー、ブドウ、茶から、ケヤキやハナミズキといった庭木まで幅広いです。

クモによる捕食シーンを発見
観察を続けていると、つかぽんが何かを発見したようです。

見ると、小さなハエトリグモが、自分より大きなチュウゴクアミガサハゴロモを捕らえていました。別の枝では、黄色くて小さなハナグモが成虫を仕留めているところも見つけました。なかなか見られない、貴重なシーンだそうです。

自分より大きなハゴロモを捕らえた小さなハナグモ

これだけチュウゴクアミガサハゴロモの数が増えてしまうと殺虫剤などで根絶したくなるかもしれません。しかし、殺虫剤を使うとその天敵となるクモまで死んでしまいます。そうすると、繁殖力の強いチュウゴクアミガサハゴロモの方が数が増えすぎることにもなりかねないので注意が必要です。
どうやって対策すればよいのか

枝に白い綿のようなものが並んで付いていたら、注意しましょう


枝の奥まで卵が食い込むので、取り除くのは難しい。だから卵や幼虫のうちに枝ごと切るのがいいです。切った枝はポリ袋に入れてゴミに出すか、焼却する。それが対策になります。


また、他の害虫に効く農薬がチュウゴクアミガサハゴロモにも効果的だったという調査結果も出ています。通常の防除をしていれば一緒に対策ができる可能性も高いようです。
すでに身近にいる在来のハゴロモたち

アオバハゴロモの成虫
ちなみに「ハゴロモ」と名の付く虫は、外来のチュウゴクアミガサハゴロモだけではありません。日本にも昔から在来のハゴロモが暮らしていて、今回の畑でも何種類か見つけることができました。
まずは、名前のよく似た在来種「アミガサハゴロモ」。チュウゴクアミガサハゴロモより一回り小さく、前翅の白い斑紋の形で見分けられます。

次に、鮮やかな薄緑色をした「アオバハゴロモ」。昔から垣根などでよく見られる、身近な在来種です。
そして、白いラインと目玉のような模様が入った「ベッコウハゴロモ」など。僕はハゴロモという虫の存在すら知らなかったので、今回の出来事をきっかけに勉強になりました。

ベッコウハゴロモの成虫
慌てず、まずは観察から


ということで、今回は虫博士つかぽんと一緒にチュウゴクアミガサハゴロモを観察したところ、外来種が入ってきた直後の貴重な畑の生態系の変化を見ることができました。これから被害が増えることもあるかもしれませんが、どのように虫たちの生態系が変化していくか、じっくり観察していこうと思います。



















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