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「でけえなめこ」を次代へつなぎ、地域の未来を育てる。石川県白山市『木滑地区協議会』の挑戦

「でけえなめこ」を次代へつなぎ、地域の未来を育てる。石川県白山市『木滑地区協議会』の挑戦

石川県白山市木滑地区で、50年以上にわたって生産されてきた「木滑なめこ」。豊かなぬめりと締まった身、料理に合わせて選べる豊富なサイズが特徴の菌床なめこだ。なかでも、1本30グラムを超える特大サイズだけを選別した「でけえなめこ」は、地域の個性を象徴する商品として注目を集めている。

一方で、過疎化・高齢化により、なめこの栽培を支えてきた生産者の確保が難しくなっている。生産効率や販促による収益力の向上、工場の老朽化も課題だ。こうした課題に向き合うのが、『白山市木滑地区協議会』だ。木滑なめこの生産基盤を整え、ブランド力を高めながら、仕事や食を通じて人が集まる地域づくりを目指している。

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地域の課題

50年以上続く「木滑なめこ」を、どう次世代へつなぐか

白山市木滑地区は、石川県南部に位置する山間農業地域である。白山を源とする手取川と高倉山に囲まれた緑豊かな地域で、三つの集落から成り立っている。一方で、過疎地域および豪雪地域に指定されており、人口減少や高齢化、冬季の交通・生活環境など、山間部ならではの課題を抱えている。

そんな木滑地区で50年以上続いているのが、菌床なめこ「木滑なめこ」だ。地域の女性たちがパートとして生産を支え、長年にわたって石川県内に出荷されてきた。

現在の生産量は年間約40トン。なめこの売り上げは事業全体の約7割を占める主力事業で、正社員10人、パート8人の計18人が生産に携わっている。

しかし、過疎化や高齢化の進行に伴い、これまで生産を支えてきた地域の労働力を確保することが難しくなっている。特に土日や年末年始は人手が不足しやすく、生産体制にも影響が出ているという。

生産効率や販売促進にも課題があり、十分な収益力を確保できていない。さらに、工場は築約50年となり、設備の老朽化も進んでいる。現在の工場を使い続けたままでは、事業の継続と成長を両立することが難しくなってきた。

こうした課題を解決するため、地区でなめこ栽培や羊の放牧などを行う「里山総合会社 山立会」と地域住民によって構成された「白山市木滑地区協議会」が、地域資源を生かした産業づくりや交流の創出に取り組んでいる。

木滑なめこの課題解決は、単に一つの事業を維持するだけの取り組みではない。生産基盤を強化できれば、地域の雇用維持や新たな仕事の創出につながる。さらに、木滑地区を訪れる関係人口や移住者の増加、地域の認知度向上にもつながる可能性がある。

だからこそ木滑なめこを地域全体の資源と捉え、協議会の活動と結びつけながら、持続可能な仕組みをつくることが求められていた。

取り組み内容

「でけえなめこ」を核に、生産基盤の再構築に向けて

木滑なめこには、地域を代表する特徴的な商品がある。それが、特大サイズの「でけえなめこ」だ。
通常のなめこに比べて大きく、料理の中でも存在感を発揮する「でけえなめこ」は、他産地との差別化を図るうえで大きな強みとなる。特徴的な商品名やサイズ感、食べ方の提案を通じて、単なる食材ではなく、木滑地区を想起させるブランドへ育てていくことを目指している。

現在の「でけえなめこ」の生産量は年間約4トン。しかし、将来にわたって生産を続けていくためには、工場の建て替えと生産技術の確立が欠かせない。

そこで協議会では、まず既存工場の設備や生産体制、販売体制が抱える課題を整理。そのうえで、新工場の建設と生産能力の拡大に向けた構想を検討している。
将来的には、新工場の建設によって木滑なめこの生産量を年間約180トンまで拡大する計画だ。「でけえなめこ」についても、年間約4トンから約50トンへ増産することを目標としている。
新工場は、老朽化した設備を更新するためだけの施設ではない。生産能力を高め、作業効率や品質を改善すると同時に、ブランド力の強化、販路の拡大、雇用の創出を実現する地域の拠点として位置づけられている。

現在は、研究結果を蓄積しながら、新工場計画や資金調達の根拠づくりを進めている。生産技術や作業工程を検証し、木滑なめこに適した体制を構築することが、計画実現に向けた重要なステップとなる。

販路や販売方法の多様化

木滑なめこは現在、石川県内に加え、東京、大阪、福岡など県外にも出荷先を広げている。地域外での販売を通じて認知度を高め、継続的に応援してくれるファンを増やそうと取り組んでいる。
特に力を入れているのが、飲食店やホテル、直売所などへの販路開拓だ。料理人やバイヤーに「でけえなめこ」の特徴を知ってもらい、業務用食材としての可能性を広げることを狙っている。

また、加工品の開発やEC、ふるさと納税の活用など、販売チャネルの多様化にも取り組んでいる。生鮮品は、鮮度や食感が魅力である一方、販売時期や物流の制約を受けやすい。加工品によって新たな食べ方や用途を提案できれば、販売期間の延長や顧客層の拡大にもつながる。
ふるさと納税は、商品を届けるだけでなく、木滑地区や白山市を知ってもらう入口にもなる。地域外の消費者との接点を増やすことは、将来的な来訪や関係人口の創出という面でも効果が期待できる。

さらに、収穫体験や県外のマルシェイベントへの出展にも取り組んでいる。直接消費者と接することで、商品の特徴や生産者の思いを伝え、なめこの大きさや食感、調理方法を体験として届けることができる。

取り組みの成果

地域の雇用を守り、県外にも広がる木滑なめこ

木滑なめこは現在も地域の主力事業として生産が続けられており、雇用を維持するための重要な基盤となっている。

協議会では、プロモーション会社とも連携し、ブランド化や販促物の整備を進めている。商品の見せ方や情報発信を整えることで、これまで木滑なめこを知らなかった人にも、その価値を伝えやすくするためだ。

幅広い層に商品を知ってもらうため、なめこの加工品開発にも取り組んでいる。生鮮品としての鮮度や食感を大切にしながら、異なる食べ方や用途を提案することで、木滑なめこの可能性を広げようという試みである。

さらに木滑地区では、なめこに加えて、羊事業やジビエ食堂などの取り組みも進めている。地域の食や自然、暮らしを組み合わせることで、木滑地区全体の魅力を高め、訪れるきっかけを増やしていく考えだ。
なめこを購入するだけでなく、地域を訪れ、食を楽しみ、そこで暮らす人々と交流する。そうした関わりが生まれれば、農産物の販売を超えた地域とのつながりへと発展していく。

他の地域で参考にすべきポイントとは

地域の主力産業を、地域づくりの拠点へ

木滑地区協議会の取り組みから参考にできるのは、地域の主力産業が抱える課題を、事業者だけの問題として捉えていない点だ。
第一に、設備更新を地域の未来への投資として考えている。新工場の建設は、老朽化対策にとどまらず、生産能力の向上、収益力の改善、雇用の維持、関係人口の創出を同時に実現する拠点づくりとして構想されている。

第二に、地域の特徴的な商品をブランドの核にしている点だ。「でけえなめこ」は、木滑地区で長年培われてきた生産技術と、消費者に伝わりやすい個性を持つ。地域でつくる意味や商品の物語を明確にすることが、ブランド化の力になる。

第三に、生産・販売・地域づくりを一体で考えている点である。飲食店やホテルへの販路開拓、加工品、EC、ふるさと納税、イベント出展を組み合わせることで、単一の販売先に依存しない仕組みを目指している。

第四に、産学官や地域との連携を生かしている点だ。研究結果を蓄積し、新工場計画の根拠をつくりながら、プロモーション会社や地域の事業とも連携している。地域内外の知恵や人材を組み合わせることが、課題解決の力になる。

今後は、新工場の建設を実現し、生産量を年間約180トン、「でけえなめこ」を年間約50トンへ拡大する構想を進めていく。加工品やEC、ふるさと納税、体験・交流イベントも充実させ、木滑地区を訪れるきっかけを増やしていく計画だ。

「でけえなめこ」から始まる、木滑地区の未来

白山市木滑地区協議会が目指しているのは、なめこの生産量を増やすことだけではない。
50年以上続く木滑なめこを次代へつなぎ、「でけえなめこ」という地域の個性を磨く。そのうえで、新工場を生産と交流の拠点とし、雇用、販路、関係人口、地域の認知度を同時に高めようとしている。

過疎化や高齢化、人手不足、設備の老朽化、収益力の向上など、木滑地区が抱える課題は複合的だ。しかし、地域の食と仕事を軸に、産学官や地域内外の人々が連携すれば、課題解決を新たな価値づくりへ転換できる。
新鮮ななめこを届ける生産者の技術と、「でけえなめこ」に込められた地域の個性。木滑なめこをきっかけに人が訪れ、食を楽しみ、地域と関わり続ける。その循環を生み出すことが、木滑地区の未来につながっていく。

▼問い合わせ先
山立会ホームページ
山立会Instagram

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