男爵いもとメークイン依存の課題
ジャガイモシストセンチュウが根に寄生すると養分や水分の吸収が阻害され、生育不良で収量が大きく減る。日本では北海道で1972年に確認され、毎年のように被害が出ている。一度圃場に侵入してしまうと根絶が困難な害虫だ。
セミナーは9月30日、東京都渋谷区にあるキユーピーの本社で開かれた。テーマはジャガイモシストセンチュウの脅威と今後取るべき対策だ。
「北海道の主な産地が被害を受けており、いまも広がりつつある。このままいくとジャガイモの安定供給にも影響が出る」。登壇した農林水産省農産局の須永新平(すなが・しんぺい)地域作物課長はこう強調した。
そのうえで須永氏は重要な指摘をした。「ジャガイモと言えば男爵いもかメークイン。(この2つは)抵抗性を持っておらず、植えるほどジャガイモシストセンチュウが拡大するリスクがある」。ではどうすべきなのか。
「この2つでないと嫌という人が多く、(抵抗性品種の)生産がなかなか伸びない。でも(食べ比べて)これが男爵だと当てる自信がどこまであるだろうか。イメージではなく中身を見ながら、しっかり味わってほしい」
新たに登場した抵抗性品種も、食べてみれば十分おいしいという意味だ。この言葉に導かれて、キユーピーとデリア食品の担当者が壇上に進んだ。

セミナーの様子
ポテサラ適性が証明された「ゆめいころ」
ジャガイモシストセンチュウの抵抗性品種には「ゆめいころ」「きたかむい」「しまあかり」などがある。今回のセミナーではそのうち、2021年に品種登録されたばかりの「ゆめいころ」が有望品種として取り上げられた。
それを示すため、キユーピーの食創造研究所の藤村亮太郎(ふじむら・りょうたろう)野菜価値創造部長が強調したのが「ポテトサラダ適正」。加工のことを考慮に入れながら、「ゆめいころ」について解説した。
ポテトサラダで重要なのは「なめらかな食感と適度な甘さ」。ジャガイモを貯蔵するとデンプンが分解されて糖になる。「糖化」と呼ばれるその作用がポテトサラダに向いているかどうかを左右する。「糖化が進んでいないと硬くてパサついてしまい、進みすぎると水っぽくなってべちゃつく」
糖化の速度は品種で異なる。そこでキユーピーは抵抗性品種を含む複数のジャガイモについて、糖化の進み具合がベストな時期を探り当て、品種リレーの体系を確立した。これにはポテトサラダが主力商品のデリア食品も参加した。
このうちとりわけポテトサラダとの相性がいいのが「ゆめいころ」だった。男爵いもと比べると食感がよりなめらかで、青臭さが少なくてほのかに甘い香りがする。マヨネーズの味とよくなじむことも確認されたという。
これが今回のセミナーの1つのポイントだ。ジャガイモ生産を維持するため、抵抗性品種に切り替えるのは当然。そのうえで具体的にどんな商品にするのかを想定し、数ある品種の中からどれを選ぶかが重要になる。

デリア食品のさまざまなポテトサラダ
青果とポテサラのクロス販売作戦
次にデリア食品の齊藤真寛(さいとう・まさひろ)執行役員経営推進本部長が登壇し、「ゆめいころ」導入のロードマップを示した。2026年に地域限定でポテトサラダの原料に採用し、27年に全国に拡大、30年までに使用するすべてのジャガイモを抵抗性品種に切り替えるというのがその内容だ。
ここで齊藤氏は「ゆめいころ」の使用拡大に向けた戦略を説明した。

















