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年間売上350万円の農家も。大分県安心院町に学ぶ農泊ビジネス

年間売上350万円の農家も。大分県安心院町に学ぶ農泊ビジネス

2017年07月29日

農業を体験したり、都市にはない農村ならではの魅力を体感できる農泊が人気です。そんな農泊にいち早く日本で取り組んだのが、大分県の「安心院町グリーンツーリズム研究会」。農泊を実施するためには、様々な壁が立ちはだかったと言います。その取り組みや農泊の実態について取材しました。

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年間売上350万円の農家も。大分県安心院町に学ぶ農泊ビジネス

観光や見学ではなく、産業を体験するために農村に宿泊する「農村民泊(農泊)」。すでに欧米では広く浸透していることと、都市部に集中する日本の外国人観光客の足を地方に向けたい、などの背景もあり平成28年より農林水産省は農泊産業拡大の方針を打ち出しました(※1)。一方で、農泊を成功させるノウハウや、農家にとってのメリットなどはまだあまり知られていません。

そこで今回は、大分県の「安心院町(あじむまち)グリーンツーリズム研究会」を取材しました。同団体は平成8年に発足し、農泊に全国で初めて取り組んだグリーンツーリズムの先駆け的存在です。現在でも多くの外国人観光客が訪れており、農泊の成功モデルとして注目されています。その取り組みや成功に導いた背景について、NPO法人安心院町グリーンツーリズム研究会会長の宮田静一(みやたせいいち)さんにお話をうかがいました。

農泊を実施するため、障壁を乗り越えるところから始めた

農泊を実施するため、障壁を乗り越えるところから始めた

——「安心院町グリーンツーリズム研究会」の立ち上げ当時、どのような課題がありましたか。
立ち上げ当初、農泊実施には3つの壁がありました。

まず1つ目は、農家における家庭内の壁です。今でこそ農泊について少しずつ知られるようになりましたが、当時は「農泊を受け入れてみたい」という農家のお嫁さんがいても、お姑さんに「農家が他人を泊めて金儲けをするなど、農家の沽券にかかわる」と言われてしまうこともあったそうです。また、ときには他の農家から「他人を泊めてまで金儲けなんて、落ちぶれたな」と思われることもあり、農泊に踏み出せない農家も多かったといいます。

そして2つ目は、私たちと地域との壁。もともと代表が町内出身者ではなかったため、何かおかしなことを始めようとしている、あやしい団体と思われていたように感じました。ちょうど私たちの会の発足が地下鉄サリン事件の翌年だったせいか、当時は私たちの団体を指して“グリーン教”などと、新型宗教のような言われ方をされていました。

「安心院町グリーンツーリズム研究会」の立ち上げ当時、どのような課題がありましたか

3つ目は、法律の壁です。私たちは平成8年9月に第1回「実験的農泊」を行いました。しかし、当時の旅館業法では「通年的に宿泊客を受け入れる場合はホテル、旅館の施設基準を満たすことが必要」と義務付けられていました。

また、食品衛生法では「宿泊客に飲食物を提供する場合、客専用の調理場など施設基準条例のクリアと、飲食店(旅館)営業の許可が必要」(※ただし、自炊型などで宿泊客自ら調理し飲食する場合は、営業許可不要)とされていました。

どちらも農泊という形での実現は難しく、農泊を実現するためには、法律から変えていくほかはないと痛感したのです。

——それらの課題は、どのように解決していったのでしょうか。
まずは、町の方々に楽しんでいただけるような地域イベントを開催しました。「リバーサイドウォーク」、「全国藁こずみ大会」、「スローフード感謝祭」、「祇園坊講演会」、「GT実践大学」など町の資源を活かし、町の方々が参加して完成するイベントで、まずは町の方々に農泊を理解してもらいたかったのです。

川を歩きながら自然環境について学び、考えるイベント「リバーサイドウォーク」の様子
川を歩きながら自然環境について学び、考えるイベント「リバーサイドウォーク」の様子

また、アグリ部、企画開発部、環境美化部、農泊部など、より専門的な取り組みを行う部活動もあります。これらの活動を町以外の多くの方にも知ってもらうため、広報部活動を立ち上げました。PR活動に力を入れ始めると、各メディアが私たちの活動を取り上げて応援してくれました。

町の方々の理解、そして、町外への認知の拡大などが、農泊実現のための法的認知へ大きく舵を切ったのだと思っています。

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