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早期定年退職で未経験の3人が農業にチャレンジ【やりがい編】

早期定年退職で未経験の3人が農業にチャレンジ【やりがい編】

2017年07月29日

55歳で早期退職退職をして、農業を共に始めた男性3人。就農してみると、予想外に感じたメリットとデメリットがあったとか。法人設立時の初期投資額や現在の取り組み等について、詳しくお聞きしました。

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早期定年退職で未経験の3人が農業にチャレンジ【やりがい編】

アーバンファーム八王子」は、大手企業を早期退職した3人の男性たちが55歳で立ち上げた農業法人です。設立から1年半が経ち、同法人代表の続橋昌志(つづきばしまさし)さんは、想定外のメリットやデメリットを感じているようです。
【家族説得編】では、新規就農にあたっての覚悟や、家族の反応などについて、また現在の取り組みや、やりがいについて続橋さんにおうかがいしました。

法人設立時の費用と初期投資はいくら?

法人設立時の費用と初期投資はいくら?

農業法人化や新規就農にあたっての初期投資には、どれくらいの資金を準備したのでしょうか。

「会社の資本金は1人300万円ずつ出して、3人で900万円。それ以外の初期費用に1人100万円ずつ出しあい、300万円を捻出。合計1,200万円を用意しました。新規就農に際して、車両や機械、資材などで200から300万円はかかります。トラクターは100万円以上、保冷庫も100万円ぐらいします。野菜を洗う動力噴霧器も30万円ぐらいしますし、マルチャー(畝にビニールを張るための機械)やネット、支柱やグラスファイバーなど、新規就農者はすべて購入しなければなりません。できる限り中古で手に入れようとしたのですが、全てを揃えるのは簡単ではありませんでした」

アーバンファーム八王子には、トラクターもビニールハウスもありません。3人が“師匠”と呼び、新規就農にあたって大きなサポートをしてくれた農家の方にトラクターで耕運してもらい、保冷庫の一部を使わせてもらっていたそうです。

保冷庫

機械等の費用に加えて、農地の賃借料や種・苗、肥料、農薬代などもランニングコストとしてかかります。さらに設備面の初期費用も大きくのしかかります。「収穫した農作物を洗ったり、袋詰めしたり、資材を置いておくための作業場が必要になりますから、我々は思い切って最初に3人で出しあった資金で作業小屋を作りました。我々3人の“秘密基地”です。さらに収穫した農作物を保管しておく保冷庫は、つい最近手に入れたばかりです」

就農で実感 予想していなかったメリットとデメリット

綿密に計画を立て、資金面の準備も行ってきた3人。これまで1年半やってきて、想定外だったと感じたメリットとデメリットをそれぞれ教えていただきました。

就農で感じたメリット

就農で感じたメリット

1:地域の方々との交流
「地域の方々との交流がこれほど楽しいとは思いませんでした。サラリーマン時代はお隣さんの名前も分からないくらい地域とは距離がありました。今は近隣の農家や飲食店、インターンシップの学生や福祉施設の方、主婦の方など幅広くお付き合いをさせていただいており、とても楽しい時間を過ごしています」

2:自由な時間が増えた
「サラリーマン時代は朝7時に家を出て、23時に帰宅。家に寝に帰るだけの生活でした。でも今は朝6時から作業するものの、夜7時には家にいます。ほぼ半日を家で過ごせていて、以前に比べると家庭での時間も持てる有意義な生活を送っています」

3:収入が少なくても工夫すれば楽しい人生を送れる
「もちろん蓄えはあらかじめ必要ですが、野菜は食糧として確保できていますから不安感は小さいです。サラリーマン時代のように外食はなかなかできないですが、代わりにバーベキューをしたり、畑でお弁当を食べたり、ちょっとしたレジャー気分も味わえます。昔はなんて無駄遣いをしていたのだろうと実感します」

就農で感じたデメリット

就農で感じたデメリット

1:体に負担がかかる
「中腰作業が多いことや、重い農作物を運ぶことで体に負担がかかることが多く、体のあちこちが痛いですね。虫や草、薬等で皮膚がかぶれたりすることもあります」

2:農作業後の外出が大変
「畑に出ていると汗や土で汚れますから、シャワーを浴びて着替えないと外出はできません。大手町で活動する福祉関係のボランティアをしているのですが、そこまで出かける前の身支度が意外と大変です」

地域貢献で充実感がアップ 農業は可能性を秘めた産業

地域貢献で充実感がアップ 農業は可能性を秘めた産業

アーバンファーム八王子では、福祉関係のボランティアが縁で、子どもたちの自立支援のための就業体験として、夏に中高生のインターンシップを受け入れています。平成29年の夏は4人の中高生が来る予定だそうです。

「セカンドライフを考えた時、恩返しするステージに来ていると感じました。何の資格も持たない私たちができることは、“人生のアドバイス”くらいと始めたのがきっかけです。日本の未来を担う子どもたちに、挫折することなく、すくすくと育っていってもらいたいと思っています。地域への貢献、社会への貢献を、農業を通じて行うことは、起業前から考えていたことでした。将来的には“農福連携”を具現化していきたい。こうした“農業+α”を新規就農者として発想できると、人生がさらに楽しくなると思います。」

さらに、アーバンファーム八王子は株式会社を立ち上げて農業を始めた経緯もあって、市の商工会議所に登録しています。それがきっかけで、“八王子野菜の良さを知ってもらう”というテーマのクラウドファンディングに参加しました。師匠やJA八王子のサポートを受けながら、ショウガ栽培にチャレンジし、地元の飲食店やケーキ屋などと共同でショウガを使った商品開発に取り組みました。

栽培したショウガを使って地元の店とコラボレーション
栽培したショウガを使って地元の店とコラボレーション

「クラウドファンディングがきっかけになって飲食店やケーキ屋さん、お茶屋さん、燻製屋さんなどお付き合いさせていただいています。農業は実に可能性を秘めた産業だと思います。農業改革はもちろん、地域の活性化や福祉との連携など、地域の皆さんが豊かになるための一翼を担えると思います」

そして、“可能性を秘めた産業”だからこそ、新規就農を考えている方には、“緻密な経営計画と覚悟”が必要なことをしっかりと伝えたい、と続橋さん。

「正直、収入は苦しいです。特に東京で就農することは、農地の確保も含めて非常に難しいです。県境はまだ農地があるかもしれませんが、代わりに獣害との闘いがあると聞いています。一方、地方で就農する場合は販売先の確保が大きな課題になると思います。でもそこで活路が見出せたら、とても明るい人生が待っているとお伝えしたいです。農業は本当に楽しいです。新たな取り組みにトライしようとしている農家の方を応援したいと思っています」

同期3人で新規就農というケースは珍しいかもしれません。シェアハウスや民泊など、さまざまな“つながり”に着目して新しい暮らしやビジネスが生まれてきています。今後、新規就農にも、いろいろな形やケースが生まれてくることでしょう。作業小屋を“大人の秘密基地”と呼んでいたアーバンファーム八王子の3人。これからもその取り組みに注目です。

関連記事:早期定年退職で未経験の3人が農業にチャレンジ【家族説得編】

アーバンファーム八王子
住所:東京都八王子市小比企町2602-2
http://ufh.tokyo
※写真提供:アーバンファーム八王子

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