レタス王国・長野県川上村「少子化対策のための結婚環境向上事業」とは – マイナビ農業

マイナビ農業TOP > 就農 > レタス王国・長野県川上村「少子化対策のための結婚環境向上事業」とは

就農

レタス王国・長野県川上村「少子化対策のための結婚環境向上事業」とは

レタス王国・長野県川上村「少子化対策のための結婚環境向上事業」とは

2017年07月29日

平均年商が約4,000万円という長野県川上村のレタス農家。しかし、非婚率が高く、農業の継承が危ぶまれていました。そこで川上村が行ったのが、婚活事業ではなく、”結婚環境向上事業”でした。まずは、女性が暮らしやすい村作りから着手したのです。女性にとって居心地の良い村を目指した川上村の取り組みについて詳しくお聞きしました。

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

レタス王国・長野県川上村「少子化対策のための結婚環境向上事業」とは

長野県の東端にある小さな農村、川上村。標高1,300メートル(※1)という高地ならではの冷涼な気候を活かした農業が盛んで、レタスの生産量は日本一を誇ります。そして、村のレタス農家の平均年商は約4,000万円(平成28年実績値)です。

高収入の農家が多い村にも深刻な悩みがありました。全国の農村部と同様に、農家の非婚率が高く、農業の継承が危機的状況にありました。

しかし、一般的な婚活事業を行っても他の地域との差別化は図れません。川上村では、まず移住してきた農家の“お嫁さん”が活き活きと生活できる環境を作り、住みやすさを伝えることが移住者誘致の起爆剤になるのではないかと考えました。これが、村を挙げての結婚環境向上事業「Kawakami Smart Project」の出発点です。詳しいお話を、川上村副村長・政策調整室室長である西尾友宏(にしおともひろ)さんにおうかがいました。

移住者誘致 ターゲットは農家に嫁ぐ“お嫁さん”

人口減少に悩む地方自治体で、移住者誘致の動きが活発化しています。川上村も例外ではなく、移住者を呼び込もうとする動きが起こり始めました。しかし、耕作放棄地がほとんどない川上村では農業への新規参入が難しく、就農希望者の移住は見込めません。

一方で、農家の非婚率が高いという現実もあり、お嫁さんを呼び込もうということになりました。「未来に農業を継承していくために、川上村にとって必然の流れでした。そのためには、まず女性が住みたくなるような魅力的な村でなければなりません」と西尾さん。

女性にとって居心地の良い村を目指して

女性にとって居心地の良い村を目指して

お嫁さんを呼び込むために川上村が始めたのは、婚活事業ではなく、結婚環境向上事業でした。まずは、女性が暮らしやすい村作りから着手したのです。

さっそく、女性の社会参画を促進すべく、女性や若者のアイデアや意見を募り、起業家や大手コンビニチェーン、クラウドソーシング、クラウドファンディング企業、金融機関等を審査員に据えたビジネスコンテストを開催。優秀アイデアは、起業家やライフスタイルプロデューサーがバックアップすることで、事業化できる仕組みを作りました。実際にこのコンテストから誕生した商品化・事業化のプロジェクトは、5つ以上進行しています。

また、家事や子育てで忙しい女性の自由な時間を作るため、村独自のアプリも開発中です。サービスやモノを共有するシェアリングエコノミーの考え方のもと、家事をアウトソーシングできるサービスを作り、現在は実証実験を行いながら実用化に向けて取り組んでいます。今後は民間企業へ事業継承し、サービスの恒久化を図る予定です。

女性たちが自主的に立ち上がる

女性たちが自主的に立ち上がる

「女性の活躍を推進するようになると、女性自身にも変化がでてきました」と西尾さん。彼女たちが自主的に立ち上がり『Kawakami Girl’s Collection』というイベントを立ち上げました。女性たちの持つ特技や、アイデアを発表するイベントです。
すでに3回開催され、回を重ねるごとに規模が拡大しています。

「この取り組みの中で、女性が『川上村に来てよかった、と心の底から思えるようになった』など、facebook(フェイスブック)に書き込んでいたのが印象的でした。役場に遊びに来てくれる女性が増えたことも嬉しいですね」と西尾さん。

実は、7割は村外からのお嫁さんだった!

こうした取り組みに感化されたのは、川上村に嫁いできた女性たちの素性によるところも大きかったのかもしれません。川上村の女性の7割は村外からのお嫁さんで、その大半は都市部から移住してきました。

彼女たちは、元々持っている経験や知識・資格などを活かしたいという意欲がありました。しかし、それを活かせる環境が十分にありませんでした。「たとえば、美容師や保育士の資格保有者の方がいるのに、住民は別の町で髪を切ってもらったり、子どもを預けたりしています。非常にもったいないことですよね。彼女たちが活躍する場を作れば、産業が多様化するきっかけになると思うのです」と西尾さんは語ります。

Instagram(インスタグラム)と連動した婚活ツアーを実施

Instagram(インスタグラム)と連動した婚活ツアーを実施

川上村では結婚環境向上への取り組みのほか、村での女性のライフスタイルを動画などにまとめ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使って認知拡大を図りました。さらに、日本最大級のファッションイベント『東京ガールズコレクション』に出展し、会場を訪れた数万人の女性たちへ川上村をPRしました。

平成29年2月には、JTBと連携してInstagram(インスタグラム)と連動した婚活ツアーを開催。平均年齢28.3歳、16名の女性が参加しました。デコレーションした、村の木造の中学校を会場に、東京都の有名シェフによるディナーを用意して、男女の出会いの場に貢献しました。

ツアー参加女性に、イベント終了後に聞いたアンケートでは、満足度83.3%、リピート希望率86.7%、「気になった男性がいた」と回答した方が46.7%という結果が出ています。

「住民の女性同士がサポートし合える取り組みをすることで、行政の介入がなくても、自立的に発展していく村を目指していきたいですね。女性をはじめ、村民それぞれが持つ力を発揮できる環境を作ることは、村にとっても意義のあることだと思います」と西尾さんは語ります。

食文化の変化を察知し、結婚環境向上事業という思い切った投資でレタスのシェア拡大に成功した川上村。“女性の活躍促進”という時代の流れを把握し、レタス農業を次世代へ継承していくため、思い切った施策で課題解決に挑んでいます。

川上村役場
住所:長野県南佐久郡川上村大字大深山525
電話:0267-97-2121
http://www.vill.kawakami.nagano.jp
※写真提供:川上村

(※1)川上村勢要覧2017
http://www.vill.kawakami.nagano.jp/www/contents/1001000000049/files/kawakamiyouran2017.pdf

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

カテゴリー一覧