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香川県のネギ農家の挑戦

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女性が子育てしながらイキイキ働ける農業を。
香川県のネギ農家の挑戦

女性が子育てしながらイキイキ働ける農業を。<br/>香川県のネギ農家の挑戦

2017年07月31日

香川県三豊市でネギの周年露地栽培を営む「農業法人Sun so(讃葱)」の尾池美和(おいけみわ)さん。香川県は、面積が日本で一番小さく農地も狭いため、多品種少量栽培が主流ですが、尾池さんはあえてネギの専業に。そこには、女性が働きやすい農業をめざす尾池さんならではのアイデアがたくさん詰まっていました。

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香川県三豊市でネギの周年露地栽培を営む「農業法人Sun so(讃葱)」の尾池美和(おいけみわ)さん。香川県は、面積が日本で一番小さく農地も狭いため、多品種少量栽培が主流ですが、尾池さんはあえてネギの専業に。そこには、女性が働きやすい農業をめざす尾池さんならではのアイデアがたくさん詰まっていました。「農業女子プロジェクトアワード2016」最優秀賞、「農業の未来をつくる女性活躍経営体100選」をW受賞した尾池さんの仕事場を訪ねました。

尾池美和さん略歴

・ 香川県三豊市生まれ

・ 短大卒業後、営業事務として会社勤務

・ 結婚出産を経て、仕事と子育ての両立の難しさを痛感。夫の農園を手伝い就農

・ 2012年、農業法人化。「Sun so(讃葱)」の取締役に就任。女性が働きやすい農業を実践中

加工専売品としてネギを生産する

私たちは、年間を通じて九条ネギと青ネギを栽培し、業務用として市場ではなく直接加工業者に卸しています。スーパーでいうと、野菜売り場に並ぶ長いままのネギではなく、輪切りにしてパックに入った薬味用ネギの材料です。他にもラーメン店やうどん店などでも使われています。

九条ネギは葉が柔らかく、倒れやすい品種です。そのため、品質は同じでも、葉が少し曲がると市場ではランク落ちや規格外扱いになるのでロスが多くなります。そこで加工用に特化し、独自に販路を開拓することで、年間通じて安定した出荷量を確保できるようになりました。

2012年には農業法人化し、現在年間270トンを目標に、主に首都圏や京阪神向けに出荷しています。

子育てを両立できる職場を作りたい

私の家は兼業農家で父がお米をつくっていましたが、年に一度の稲刈りに借りだされるくらいで、農業はほぼ未経験でした。一方、夫の家代々農家で、私が農業を始めたのも結婚してからです。そう言うと、「農家に嫁いだからはじめた」と思われがちですが、そうではありません。誰も「農業をして欲しい」とは言いませんでしたし、私もそのつもりはありませんでした。もともと会社勤めで事務職をしていましたので、出産後は事務の仕事を見つけて再就職しました。

ところが、子どもが小さい時は想定外のことがいろいろ起こります。子どもが肺炎で入院し、やむを得ず仕事を休まないといけない日が続いたとき、会社から「次はいつ来られる?」と電話がかかる度に、とてもつらい気持ちになりました。もちろん相手に悪気はありませんが、女性が子育てと仕事を両立するのはこんなに大変なのかと思いました。その経験がきっかけで、夫の農園を手伝いながら、女性が働きやすい職場をつくろうと思ったのです。

本格的な農業は初めてだったので、体力的に最初は大変な思いもしました。それでも、人から言われるのではなく、覚悟を決めて自分で農業の道を選びましたし、理想の会社をつくりたいという夫婦の夢もあったので、とにかく無我夢中でした。

農業初心者の女性でも安心して働ける仕組み

Sun soのスタッフは私と夫を含めて13人。うち10人が20~40代の女性パートさんです。平均年齢は34歳、まさに子育て世代が中心です。女性ばかりで、かつ人手も少ないので、可能な限り機械を導入して省力化を心がけています。そのおかげで、農業初心者でも安心して働いてもらえます。

ネギの収穫期は年3回。種をまいて、苗立てから収穫まで、春から夏は40から60日ほどかかりますし、気温が下がる秋から冬は半年くらいかかります。地ごしらえして苗立て、苗植え、成長して収穫したら、また地ごしらえというふうに、1年を通して約80カ所の畑でこのサイクルを繰り返しています。栽培品目をネギに絞ったため、作業は同じ工程の繰り返しなので、覚えやすく、農業経験がない人でも習熟が早いです。

収穫したネギは、すぐに工場で洗浄し、皮をむいて箱詰めします。取引先の要望に応じて、葉を3枚残す、葉先の枯れ込みをとって出荷するなど、すべて手作業で細かなオーダーに応えられています。

先祖が守ってきた土を受け継ぐ

私たちの畑がある観音寺市は、昔から香川県でも有数の農業地域です。主人もの畑を借りて自分で農園をはじめました。先祖代々守り育ててきた土は、いわば財産。実際に作物を育てるようになって、そのことを痛感するようになりました。

肥料は、地元の木質堆肥や牛フン堆肥などに微生物を使ったぼかし肥料を加え、最適な土壌バランスを保っています。観音寺市では地域全体で農畜連携の堆肥づくりに取り組んできたので、私たちもその恩恵を受けています。

今、観音寺市以外にも、香川県内や岡山県の耕作放棄地などを活用して園地の拡大を検討しています。先祖が守ってきた土を受け継ぎ守っていくには、稼げる農業をどう実現するか、農家にも経営センスが必要です。私の場合は、会社員をやっていた経験が今に生かされていると思います。

夢は定年まで働ける会社

この仕事をしていて一番うれしいのは、スタッフの成長を見るときです。今までは1年以上勤続する人は少なかったのですが、法人化してからは若い人が来てくれるようになり、長く続けてくれる人が増えています。勤務年数が上がると仕事のレベルも上がりますし、ベテランが多いと新人の上達も早くなります。周りにお手本がたくさんいますからね。

子育てはいつか終わるもの。そのとき、お母さんたちにも何か自信になるキャリアを身につけて欲しいと思います。農業だから、パートだからと遠慮することなく、自信を持って「Sun soで働いています」と胸を張って言える職場をつくりたい。パートでも原則土日祝は休みとし、有給休暇取得率も100%、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。また将来的に独立を目指す女性のための支援プログラムも設けています。最終的にはやっぱり人が大切。女性がイキイキと定年まで働ける職場づくりが私の夢です。

 

農業法人Sun so(讃葱)

http://www.sunso.co.jp/

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