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季節の暦 七十二候「寒蝉鳴」〜涼しさを連れてくるひぐらしの声〜

季節の暦 七十二候「寒蝉鳴」〜涼しさを連れてくるひぐらしの声〜

立秋は、七十二候のうち、初候「涼風至(すずかせいたる)」・次候「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」・末候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」の3候で構成されています。
この中で8月12日から16日頃を示す「寒蝉鳴」についてご紹介します。

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立秋は、七十二候のうち、初候「涼風至(すずかせいたる)」・次候「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」・末候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」の3候で構成されています。

この中で8月12日から16日頃を示す「寒蝉鳴」についてご紹介します。

寒蝉鳴の由来

この時期になると、蜩(ひぐらし)が鳴き始めることが、この名前の由来です。

「ひぐらし」という名前は、日暮れに鳴くところから名付けられました。

和歌にも「聞くからに寂しかりけり涼風のわたる木末のひぐらしの声」というものがあります。

涼風の吹く木立からのひぐらしの声を聞き、秋の気配が淋しく感じられるというこの歌からも、いよいよ秋が深まってくるという印象を受ける時期です。

「寒蝉」は秋に鳴く蝉のことで、「つくつく法師」をさす場合もあります。

「蜩」も「つくつく法師」も俳句では秋の季語になっています。

蜩は実際には夏のうちから鳴き始めます。

夏の代名詞ともいえるミンミンゼミやアブラゼミより早く鳴き始めるのに、なぜ秋の季語になるのでしょうか。

それは、朝夕の涼しいときにに鳴く、その涼しげで少し淋しい声が秋を連想させるからともいわれています。

この時期の行事

この時期の一番の行事といえばお盆です。

地域によって違いますが、ほとんどが8月13日〜17日頃となっています。

お盆には亡くなった方や先祖の霊が帰ってくるため、皆でおもてなしをする行事とされています。

特に新盆(初盆)には初盆の法要を行うのが一般的であり、親族だけでなく故人の友人・知人を招くこともあります。

家族揃ってお盆を迎えるのが理想ではありますが、実際は実家が遠い、休日が取れない等の理由でお墓参りが難しい場合があります。

そのときには、家の中に盆棚を作り、迎え火を炊くだけでもいいので、実践してみましょう。

盆棚は地域によって作り方が異なりますが、一般的には竹で棚を囲って縄を張り、ホオズキで飾ります。

棚にはお線香、お位牌、ナスで作った牛やキュウリで作った馬、盆花、お供え物等を置きます。

この飾りにも、馬には「来るときは馬に乗って少しでも早く」、牛には「牛に乗ってゆっくりとお帰りください」、ホオズキには「迷わないように明るく照らすため」という言われがあります。

本格的な準備ができる場合は、盆灯籠を掲げたり、迎え火を炊く、送り火を炊くといったことも実践できるとよいでしょう。

お盆が終わる時には霊を送るため、山の送り火や精霊流し(灯籠流し)が行われる伝統があります。

現在の盆踊りは地域の親睦を深めるお祭りのようになっていますが、元はお盆に帰ってきた先祖の霊を迎え慰め、またあの世へ送るために行われていました。

お盆に合わせて長期休暇をとることで、ご先祖の供養だけでなく祭事に参加でき、日本に古くから伝わる伝統に触れるよい機会となります。

お盆の花と盆花迎え

お盆の花は先祖の霊の依り代になるといわれています。

盆花は迎え盆までに早朝から山へ出かけて採り、盆棚に供えます。

これを「盆花迎え」と呼ぶこともあります。

この花は秋の草花の代表である桔梗(ききょう)、撫子(なでしこ)、百合(ゆり)、女郎花(おみなえし)などが一般的です。

お盆の由来

お盆は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、古代インド語の「ウランバナ」が語源といわれています。

「逆さつり」という意味を持ち、それほどの苦しみを受けている亡者のために供養を行い、苦しみを取り除くことが由来といわれていますが、色々な異説があります。

日本で最初にお盆を行ったのは1,400年ほど前の飛鳥時代、推古天皇であるとされています。

それから長い間、お盆は貴族や僧侶など、身分の高い人たちが行う特別な行事でした。

現在のように先祖の霊を供養する様式になり、一般の人たちも行うようになったのは、江戸時代頃といわれています。

この時期の食材

この時期には桃が旬のピークを迎えています。

お盆のお供え物にも、ブドウなどと一緒に入っていることが多いのではないでしょうか。

日本には縄文時代に中国から渡来したといわれていますが、現在の品種のほとんどは明治時代に導入されたものを品種改良してできたものです。

桃には果糖やカリウムが多く含まれていますので、疲労回復に良い果物といえます。

夏の暑さで疲れた体を癒やすのに良い食材です。

また、食物繊維も含まれていますので便秘予防の効果も期待できます。

桃は冷やしすぎると味が落ちるので、食べる1から2時間前に冷蔵庫に入れて冷やすと美味しくいただけます。

ちなみに、皮は果頂部(枝についていたのとは反対側)からむくと、キレイにむくことができます。

桃の葉は乾燥させてお風呂などに入れると、あせもやかぶれなどの症状を緩和するといわれており、この時期には果実だけでなく葉も利用することの出来る植物です。

野菜では、冬瓜(とうがん)も旬を迎えています。

冬瓜は冬の瓜と書きますが7月から9月が旬の野菜です。

名前の由来ですが、日陰の風通しのよいところにおくと冬まで保存できるため、「冬瓜」という名称がついたといわれています。

薄味でさっぱりとした食感をもち、夏バテ気味で食欲が落ちた時でも食べやすい野菜です。

含まれるカリウムには血圧を下げる効果があるとされ、低カロリーで95%以上が水分のため、利尿作用も期待できます。

和風の味付けの他、コンソメにも合う野菜で、煮物や吸い物、炒め物向きです。

この時期の花

秋の七草の一つでお盆の時に飾る女郎花の花は、十五夜にも飾ります。

開花時期が8月から10月となっています。

原産地は東アジア〜シベリアで、草丈が1から1.5mほどになる多年草です。

「万葉集」や「源氏物語」にも登場するほど昔から親しまれてきた、日本人になじみ深い花です。

和名の詳しい由来については諸説ありますが、「女性を圧倒するほど美しい」という意味から「女圧し(おんなへし)」となり、それが転じたという説が一般的です。

全草を乾燥させて煎じたものは、解熱・解毒作用のある生薬として利用されています。

同じオミナエシ科には、女郎花に似ていますが大きくたくましく、白い花を咲かせる「男郎花(おとこえし)」という花もあります。

 

この時期は日本を代表する伝統行事の一つであるお盆がメーンとなる時期です。

ご先祖様だけでなく、親しい人たちにも日頃の感謝を伝えられるよい機会です。

時間が許す限り、故郷でゆっくり過ごされてみてはいかがでしょうか。

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