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醤油づくりが育んだ趣ある歴史のまち野田

醤油づくりが育んだ趣ある歴史のまち野田

千葉県野田市では、古くからしょうゆ醸造業が発展した地域として有名です。野田のしょうゆづくりは1558年~1570年ころ、飯田市郎兵衛という人物により始められたといわれています。

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千葉県野田市では、古くからしょうゆ醸造業が発展した地域として有名です。野田のしょうゆづくりは1558年~1570年ころ、飯田市郎兵衛という人物により始められたといわれています。1917年には、高梨・茂木両一族の八家が合同して“野田醤油株式会社”を発足し、これが現在のキッコーマン株式会社となります。野田市には現在もキッコーマン本社のほか、キノエネ醤油株式会社、窪田味噌醤油株式会社などの醤油醸造会社があります。

野田醤油株式会社(現キッコーマン株式会社)を起源とする野田市の醤油づくりの歴史

野田市は千葉県の北西部に位置し、県のキャラクター・チーバくんで例えると、ちょうど鼻の部分にあたります。今も史跡や公園などが多く残るのどかな環境ですが、古くからしょうゆ醸造業が発展した地域として有名です。まち中に点在する名建築の数々は2007年に経済産業省から近代産業遺産群に認定されました。

野田のしょうゆづくりは1558年~1570年、飯田市郎兵衛という人物により始められたといわれています。それまで大量に運び込まれていた関西のしょうゆにとって代わり、野田のしょうゆは江戸市中の需要を賄えるほどに普及し、江戸っ子の食文化を支えてきました。

1917年には、高梨・茂木両一族の八家が合同して“野田醤油株式会社”を発足し、これが現在のキッコーマン株式会社となります。

野田市には現在もキッコーマン本社のほか、キノエネ醤油株式会社、窪田味噌醤油株式会社などのしょうゆ醸造会社があります。キッコーマンの工場の中にはしょうゆの歴史から作り方まで、しょうゆのあれこれを体験しるから学べる醤油ミュージアム“もの知りしょうゆ館”があります。ここでは、工場見学をしながらしょうゆのあらゆる知識が学べるほか、宮内庁に納めるしょうゆの醸造所“御用蔵”を見学できたり、さまざまなしょうゆの味比べや“醤油ソフトクリーム”が楽しめる“まめカフェ”が併設されています。

甘さが口いっぱいに広がる野田市の枝豆

野田市は関東平野の中央部に位置し、東西を利根川と江戸川が流れ、南には利根運河が流れています。江戸川の水質がしょうゆづくりに適していたこと、豊富な川の水運によりしょうゆの原料が入手しやすかったこと、製造したしょうゆ製品の運搬にも便利だったことなど、川にまつわる複数の要因が相まって、野田のしょうゆづくりは発達してきました。しょうゆの原料は「大豆」「小麦」「塩」の3つ。

市内でも、終戦直後の1940年代半ばから大豆づくりが盛んだった記録があります。当時は多くの農家が自家用の味噌作りなどのために大豆を作っていました。その後、食料事情の回復に伴い、生産は大豆から枝豆へと転換していきました。枝豆は栽培面積約300ヘクタールを誇り、今では野田を代表する作物となりました。

「子どもたちに、おいしい枝豆を食べてもらいたい」と語るのは、SENOU FARM(セノファーム)の瀬能淳矢(せのじゅんや)さん。採れたての枝豆は、市場に流通する枝豆とは味が異なり口いっぱいに甘さが広がります。昔は、庭先にお湯を用意し、収穫後すぐにゆでて食べられるようにしていたといわれるほど、採れたては本当においしいです。

市が開催している枝豆の収穫体験もあるので、ぜひ野田で採れたての枝豆の味を堪能してみてください。

野田の魅力をふんだんに味わうイタリアン コメ・スタ

野田の食材をふんだんに使った料理が楽しめるイタリアンレストラン「コメ・スタ」。今、注目される「地産地消」のスタイルを古くから取り入れています。“野田市のビザ”は、しょうゆを醸造した際にできる「もろみ」を使用しています。もろみはなかなか手に入らないので、キッコーマンから直接譲ってもらっているというのは地元ならではのエピソードです。アクセントに白髪ネギをトッピングし、シンプルながらしっかりした味がおいしいと評判です。ほかにも、もろみを使ったパスタ、しょうゆ味のごはん、しょうゆコロッケをベースにしたカルツォーネなど、しょうゆを使った料理が盛りだくさん。加えておもてなしのすばらしさ。誕生日には生歌でもてなしてくれるなど、温かな雰囲気とおいしい料理が両方楽しめます。

【住所】野田市堤根238 【電話番号】04-7121-0010 【営業時間】11:00-22:00 (L.O.21:00) 【定休日】無休

【メニュー】野田市のピッツァ

地元民から絶大な支持を受ける、郷土愛あふれる銘菓 喜久屋(きくや)

1959年に創業した老舗和菓子屋。昔かたぎの妥協を許さない職人さんたちの丁寧に手づくりした和菓子が、常時5、60種並びます。地元では、帰省土産やお中元・お歳暮などで“野田のお菓子”として選ばれ、節句など季節ごとにも欠かせないお菓子として地元の方に愛されています。野田特産のしょうゆや枝豆を活かしたお菓子が特に人気で、数々の賞も受賞しています。美しいべっ甲色が印象的な“醤油羊羹 御用蔵”は、キッコーマンの最高級しょうゆ“御用蔵”を使用。和菓子の横綱と呼ばれる羊羹を野田のしょうゆを使って作ろうと試行錯誤し、完成までに6年の歳月がかかったそう。食べると口の中にしょうゆの豊かな風味がふんわりと広がります。ほかにも、しょうゆで蜜漬けした大きな栗が丸ごと入っている野田の代表銘菓“野田っ子 紫”、枝豆にそっくりで、旬の時期に仕込んだ枝豆あんを包んだ“野田産枝豆”など、四季折々郷土愛あふれる創作和菓子が楽しめます。

【住所】野田市清水132-1 【電話番号】04-7122-1604 【営業時間】8:30-19:00 【定休日】火曜

【メニュー】御用蔵(1棹) 野田っ子 紫(1個)

素材の味を感じられる、こだわりの老舗煎餅 藤井本店(ふじいほんてん)

昭和初期に創業した老舗の煎餅屋。看板商品でもあるしょうゆせんべい“野田せんべい ふじ”は、千葉県産米を中心に使用し、味付けのしょうゆは「せんべいの生地と唱和する」との理由から、キッコーマンの濃口しょうゆのみを使用するというこだわりぶり。米としょうゆ、原材料本来の味をしっかりと感じられる逸品です。このほか、七味やにんにく味のせんべいや箱に入った贈答用の煎餅を取り扱っているのも藤井本店ならでは。都内で開催されている「せんべい・あられ祭」にも出店し、「野田のせんべい屋さんの食べ比べセット」を販売しています。「せんべいは、ご飯と原料が同じ。しょうゆ以外混ぜないから、封を切らなければ半年は持つ」と、店主藤井浩一(ふじいこういち)さん。保存食としても活用できるように研究を重ね、野田のせんべいの知名度を上げていきたいと語ってくれました。

【住所】野田市野田572 【電話番号】04-7122-2825 【営業時間】8:00-19:00 【定休日】月曜

【メニュー】野田せんべい ふじ(1枚)

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