甘味が強いからカロリーは高め?
桃はカリウムが豊富で、体内の余分なナトリウムを排出させる効果があり、皮膚や粘膜、血管を強化してくれるビタミンCも含みます。また、食物繊維やポリフェノールの一種、カテキンも含まれており、がん予防や老化防止の効果も期待できます。
さわやかな酸味をつくっているのはクエン酸。疲労回復に役立ちます。また、葉酸は貧血予防に効果があります。
甘みがあるので、気になるのがカロリー。桃100g=約40kcalです。1個約200gなので、1個分だと約80kcalです。他の果物と比べると、同じ100gでも、バナナ100g(約1本~1.5本分)で86kcal、リンゴ100g(約2/5個分)で54kcal、ミカン100g(約1個分)で46kcalなので、それほどカロリーは高くないと言えます。
果実だけじゃない! 葉にも、種にも栄養たっぷり
桃の葉には、タンニンやマグネシウム・カリウムなどの成分があります。また、肌荒れを抑える効果があります。お風呂に入れて、あせもや肌荒れ対策として、かつては夏の暑い日に「桃湯(ももゆ)」に入ることを習慣としていたそうです。
しかし、市販の桃には葉がついて販売されていることはありませんよね。そのため、桃の葉の効果を実感したいときは、桃の葉エキス配合の入浴剤を使ってみてください。
また、桃の種は桃仁(とうにん)と呼ばれ、脂肪油、アミグダリンなどの成分を含んでおり、漢方薬としてよく知られています。桃仁には、消炎・鎮痛や血のめぐりを良くする作用があり、便秘、肩こり、頭痛、そして高血圧や脳梗塞の予防にも効果的だと言われています。そのため、古くから漢方では婦人病などに用いられてきました。
小さく可憐な花を咲かせる桃
桃の原産国は、中国と言われています。誕生したてのときは”毛毛(モモ)”という名のとおり、硬い果肉の表面がたくさんの毛で覆われているものでした。
日本で桃が食べられ始めたのは、弥生時代まで遡ります。全国の遺跡から種が発見されているそうです。
「桃」と聞いて、果実でなく花をイメージされる方もいるのではないでしょうか。
4月のはじめ頃に、ピンク色の可愛らしい花を咲かせます。「桃の花」は春の季語になっています。そして、夏にはおいしい実をつけます。
ひな祭りのときに飾る桃の花は、食べる桃とは別のものだそうです。
桃には、果実を食べるための桃と観賞用の桃があるんですね。
小3月3日、ひな祭りが「桃の節句」と言われる理由とは
中国では古くから、「桃の木には体の中の悪いものを取り除く力がある」と考えられていました。桃に対するその考え方が日本に伝わったことで、「ひな祭り」のときに桃が使われるようになったと言われています。
3月上旬は、旧暦では桃の花が咲く時期とも重なります。枝にぽつりぽつりと咲かせた可憐な花は、女の子のイメージにピッタリですね。
桃の旬は短い 旬の時期においしく食べるポイント
桃はバラ科モモ属の果物で、数多くの品種があり、大まかな系統で分別すると白鳳系、白桃系、黄金桃系の3種類、また収穫時期で分けると、早生種、中生種、晩生種の3種類があります。
白鳳は7月中旬から8月上旬が旬。一番人気の人気品種で、果肉は白く上品な甘味があり、みずみずしいのが特長です。
白桃も7月下旬から8月上旬が旬。岡山県や和歌山県で生産されており、果皮も果肉も白っぽいのが特長です。果肉はやわらかく多汁で、甘味もたっぷりの高級品種と言われています。
黄桃の旬は8月下旬から9月上旬。黄色い果肉はかためなので、加工用にされることが多いのですが、昨今では生食用に出回ることもあります。コンポートとして食べるのがオススメです。
ちなみに、缶詰に加工される桃は、日本の白桃とアメリカの黄桃をかけ合わせて作った、缶詰専用のものです。海外では白桃よりも黄桃のほうが、生で食べる果物としてよく食べられています。とくに欧米では桃といえば、黄桃のイメージが強いそうです。
桃の主な産地は、山梨県と岡山県が有名ですが、福島県や長野県でもつくられています。
購入する際、できれば手で触れてやわらかさを確認したいですが、桃はとても繊細な果物なので、気をつけなければ傷んでしまいます。
優しく触れつつ、次の点に気をつけてながら購入しましょう。
・甘い香りがある
・皮の産毛がしっかりしていて、きれいなもの
・傷やあたりがないもの。
果肉が鮮やかなピンクのものは甘いので、きれいなピンク色のものがオススメです。
しかし、軸の周囲の青いものは未熟で硬く、産毛がなくなっているものは熟しすぎて傷みやすい状態なので、気をつけましょう。
冷やしすぎると味が落ちるので、食べる寸前に冷やすようにしましょう。
1から2日は冷蔵庫で保存できますが、味が落ちるため、なるべく早く食べきりましょう。
この果物も?! 実は桃の仲間
桃の仲間でパッと思い浮かぶのは「すもも」ですよね。他にも、「ネクタリン」や「プルーン」も桃の仲間です。
それぞれの果物について、少しご紹介します。
「すもも」
巴旦杏(はたんきょう)とも言い、果肉にはβカロチン、果皮にポリフェノールを含み、どちらも強い抗酸化力があります。
日本すももは「プラム」を指します。日本すももは生食用として栽培されているのが特徴です。
「ネクタリン」
こちらは、桃の変種とされています。大きさは、桃より一回り小さいのが特徴。また、桃「毛桃」と呼ぶのに対し、皮の表面にはうぶ毛がなく、ツルツルしていることから、「油桃(あぶらもも)」とも呼ばれます。
果肉はオレンジ色をしていますが、黄桃ともまた少し違う感じです。桃とあんずを合わせたような味です。
「プルーン」
プルーンと言えば、生よりもドライフルーツとしての方が馴染み深いのではないでしょうか。
プルーンは「西洋すもも」とも言われており、カリウム、βカロチン、ビタミンB1、ビタミンB2、鉄、葉酸などを豊富に含み、ミネラルフルーツ(奇跡の果物)と称されるほどです。よく洗って、皮ごと食べることで栄養を余すことなく摂取できます。お馴染みの干したプルーンは栄養がさらに凝縮されています。
いずれも、旬は8月がピークですが、6月下旬から9月まで楽しめます。
白桃や白鳳のシーズンはそろそろ終わりを迎えますが、まだまだ楽しめる桃の仲間を味わうのはいかがでしょうか。
味だけでなく、桃とは異なる色や大きさ、食感もあわせてお楽しみください。