売り物にならないみかんを生絞りジュース 一流ホテルも認めた「みかん農園の成功秘話」 – マイナビ農業

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売り物にならないみかんを生絞りジュース 一流ホテルも認めた「みかん農園の成功秘話」

売り物にならないみかんを生絞りジュース 一流ホテルも認めた「みかん農園の成功秘話」

2017年08月28日

収穫したみかんのうち、顧客に販売できるのは3割程度という「谷井農園」。残りは加工用として安く売るか破棄するかの選択肢の中、それらで作った生搾りジュースが一流ホテルなどに評価された成功秘話をご紹介します。

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実家のみかん農園を継いだ谷井康人(たにいやすと)さんは、日本一甘いみかん作りに取り組み、10年という歳月をかけて高糖度のみかんの栽培に成功しました。さらにその後、売り物にならないみかんを利用して、ジュース作りにも着手。今では日本を代表する高級ホテルと提携するなど、実績を積み重ねています。
谷井さんの著作「奇跡のみかん農園」(SBクリエイティブ)から、谷井さんの成功の軌跡を追いかけました。

化学肥料や農薬を使わずに、糖度の高いみかんを生産する

谷井農園は、古くからみかん栽培が盛んな和歌山県有田郡湯浅町にあります。現在、農地7ヘクタール、社員13人を抱え、地物の三宝柑や温州みかんの他に、ブラッドオレンジやバレンシアオレンジ、伊予柑など10種類以上の柑橘類を育てています。

30年前、谷井さんが「日本一の甘いみかんを作りたい」と最初に試したのが、与える水の量を減らして糖分を凝縮させる「マルチング」という栽培方法。みかんの平均な糖度は、10~13度といわれていますが、マルチングの開始から5年、初めてみかんの糖度が16度近くに達しました。しかし、「確かに甘いけれど、どうもおいしいと感じられない」と違和感を抱いた谷井さんは、「その年の気候に逆らわずに“自然体”でしっかり陽を当てて完熟させる方法しかない」という結論に至ります。
自然体というのは、つまり「何もしない」ということ。「何もしない状態」でおいしいみかんのために重要だったのは、土の質を高めることでした。

肥料は、動物の糞や魚粉末、落葉、米ぬかなどの有機物を原料に、酵母菌を入れて発酵させたものを使用。化学肥料や農薬を使わず、1年間の降雨量をおおむね予測して水分を見ながら、畑や土、一帯に生えている木々に、必要な分だけ有機肥料をまいたのです。

おいしさで勝負。農協や市場に頼らず「個人通販」へ

自然体の農法を続けて約10年、「舌にわずかに酸味が残る甘すぎないみかんが出来上がりました。糖度は15〜16度でした。

谷井さんが父親から農園を引き継いだ昭和60年当時は、この地域で生産されたみかんのほとんどは農業協同組合が買い上げていました。みかんの姿形や大きさから、秀・優・良などの等級、L・M・Sなどの階級に分けられ、味よりも傷がないきれいなみかんが良しとされていました。そんな中、谷井さんは見た目よりも味を重視し、「市場には出さない」と決め、「個人通販」へと大きな方向転換を図りました。

個人通販で力を入れたのが、社内の受注システム整備です。電話で注文を受け、パソコンなどに慣れないスタッフでも簡単に入力できる、独自のシステムを開発しました。最初に400万円でシステム会社に顧客データベースのプログラム制作を依頼したのですが、「もっとこうしたい」という思いが出るようになり、1年半でこのプログラムは使わなくなってしまったそうです。現在の独自開発のシステムなら、受注作業にかかる時間が当初の10分の1で済むそうです。

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