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農業は見た目で変わる?デザインからサポートする「ファームステッド」

農業は見た目で変わる?デザインからサポートする「ファームステッド」

2017年09月02日

農家の方の、「自ら情報を発信したい」「自分の農場のことを伝えたい」という思いを実現するためには、デザインスキルが必要。デザインの力の可能性、現場の声を大事にしたブランディングについて、ファームステッド代表の長岡さんに語っていただきました。

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農場や牧場など、第一次産業をデザインで応援している株式会社ファームステッド。オリジナルロゴマークのデザインや、ポスター・パンフレット・ホームページ等の制作を通し、農家や牧場などのブランド力を高めたり、地域の発信力を高めることに成功しています。「地方にこそデザインを」という思いが生まれたきっかけや経緯、デザインの具体的な手法について、代表取締役の長岡淳一(ながおかじゅんいち)さんにお話しをうかがいました。

十勝の農業に貢献したいという思いから生まれた

ファームステッドの「第一次産業をデザインで応援する」というユニークなコンセプトは、いかにして生まれたのでしょうか。

代表取締役でクリエイティブディレクターである長岡さんは、北海道帯広市出身です。祖父の代まで農業を営んでいた家で生まれ、農家や農業に対する憧れを持って育ちました。大学時代を東京で過ごしたのち、Uターン。地元でアパレルと飲食業を起業しましたが、地元で農業に携わる人々とのつながりが増えるにしたがって、子どもの頃から抱いてきた農業への憧れが再燃したそうです。

「自分も農業に携わる仕事がしたい、自分なりに十勝の農業のために何かできることがあるのではないか」と考え始めたことがきっかけとなりました。

農家の発信力を高めるためにデザインスキルが必要

十勝の農業のために貢献する方法を模索するなかで、まずは自らが立ち上げていたアパレル業との関連性から、オリジナル農作業着のプロデュースや市場調査を行いました。そうして農家との付き合いが深まってくると、農家から「自ら情報を発信したい」「自分の農場のことを伝えたい」といった相談を受ける機会が増えていったそうです。

「パンフレットやウェブサイトを作ったり、彼らの声を実現するためには、デザインのスキルが必要だと感じていたんです。そんなとき、帯広出身のデザイナーである阿部岳(あべがく)さんとの出会いがあったのです」。阿部さん自身、東京で第一線のグラフィックデザイナーとして活躍した経験がありながら、これまで地元にまったく貢献できていないことを感じていたそうです。自分の培ってきたデザインのスキルを地元で役立てようにも、ネットワークがないことにもどかしさを感じていたようです。

長岡さんが求める専門的なデザインスキルを阿部さんが持っており、阿部さんが必要としているネットワークを長岡さんが持っていることから、二人は意気投合。2013年、株式会社ファームステッドを立ち上げました。

長岡さん(右)と阿部さん(左)

経済指標では測れないデザインの力の可能性

設立から4年。株式会社ファームステッドは、デザイン・ブランディング・コンサルティングの3つを大きな柱に、少しずつ活動の幅を広げ、北海道だけに限らず、全国からデザインなどの依頼がきています。
これまでで特に思い出深いのは、北海道・美瑛町の本山農場から依頼された案件です。4代続く畑作農家で、原生林だった地を切り開いた先人たちへの感謝と尊敬の気持ちを形にしました。農場としてさらに発展させていくために、オリジナルロゴマークのデザインから、一連のデザインを依頼されました。

「農場の基礎を築いたおじいさまとの想い出をとても大切にされていることが印象的でした。そこで、そのおじいさまが愛用していたハンマーに注目し、そこに刻まれた特徴的な刻印をロゴにデザインしました。依頼主にとってそのハンマーは、おじいさまが抱いていた農業への想いを、受け継いでいこうという決意を呼び起こさせる大切なシンボル。それがロゴマークとなって、数々のアイテムにプリントされるようになって、農業に対するモチべーションがますます向上していったそうです。」

ロゴデザイン制作後は、依頼主が「今までとはまったく違う気持ちで農場に毎朝向かう自分に驚いた」「毎日寝る前に、次の日の仕事を考えるのが楽しくてしょうがない」と話していたそうです。

「前向きな気持ちを呼び起こさせ勇気を与えるという、経済指標では測れない、デザインの力の可能性にあらためて気づかされましたね」。

生産物や製品の歴史を伝える役割も

ロゴマークを作ることで、その生産物や製品の歴史やこだわり、想いを表現し、ブランディングにつなげていくことができます。
「最近手がけたのは、台湾の高品質な紅茶『日月潭紅茶(にちげつたんこうちゃ)』です。日本統治時代に、日本人である新井耕吉郎(あらいこうきちろう)氏が、茶葉の栽培から紅茶の生産まで指導し、作り上げたものです。没後70年になる今も“台湾紅茶の守護者”として、現地で尊敬され続けているそうです。そんな彼の功績を日本にも紹介したいと、日月潭紅茶の生産を行う台湾の魚池郷農会(農協)からご依頼いただき、デザインブランディングからお手伝いさせていただきました」。

ロゴマークは生産物の歴史や裏側にあるストーリーを伝えることができ、農家にとってブランディングにつながったり、地域振興になることもあるのでしょう。

現場の声を大事にしながらブランディング

「ファームステッド」では、仕事の依頼を受けると必ず現地へ赴き、生産現場を見て、そこで働く人に直接話をうかがうことを大事にしています。そうすることで、クライアントの現状や方向性を掘り下げていくのです。

「私自身に農業の技術的な知識や経験はありませんが、生産者とプロデューサー・デザイナーという異なる業界の専門家同士のアイディアが融合するからこそ、素晴らしい化学反応が起きると思っています」。

今後も、第一次産業のデザインブランディングという新しい分野の開拓に邁進していきたいと語る長岡さん。

「まだまだ知られていない素晴らしい生産者はたくさんいます。そうした人たちに誇りを持って仕事をしていただくために、私たちにできることはこれからもたくさんありそうです」 と、今後の展望について長岡さんは話しています。

 

株式会社ファームステッド

http://farmstead.jp/
写真提供:株式会社ファームステッド

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