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「全国バラ切花品評会」最優秀賞歴代最多ばら園のバラを育てる秘訣

「全国バラ切花品評会」最優秀賞歴代最多ばら園のバラを育てる秘訣

2017年09月20日

琵琶湖の南東部に位置する滋賀県竜王町で、47年間バラを作り続ける「杉本ばら園」。バラの品質日本一を決める「全国バラ切花品評会」で、内閣総理大臣賞などの最優秀賞を通算4回受賞し、皇室へバラを4回献上するなど、日本トップクラスのバラ園です。2011年に先代を継ぎ、現在2代目を務める杉本正樹(すぎもとまさき)さんに、バラを栽培し続ける取り組みについてお話をうかがいました。

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総合評価の高いバラを安定的に作ることを目指す

杉本さんにとって、「良いバラ」とはどんなバラですか。

「良いバラ」を定義するのは難しいです。花のボリュームを重視する人、茎のしなやかさ、香り、色の出方、花の持ちを大切にする人など、生産者によって考え方が違い、それが生産者のこだわりでもあります。
私にとって良いバラとは、1年を通して安定した品質を提供出来るバラのことです。花のサイズも、ある時期は大きいけれど、時期がずれると小さくなったりするのは良くありません。天候に左右されやすいからこそムラが生じないように、いつでもお客様に安心して買ってもらえる、安定感のあるバラ作りを目指しています。その積み重ねがお客様との信頼関係を育み、ブランド力を高めることになると思います。それは先代から受け継いだ杉本ばら園の考え方でもあります。

販路を考え約30品種のバラを栽培

現在、何種類のバラを栽培していますか。

5,400平方メートルの敷地に、約30品種栽培しています。バラは大きく2つのタイプがあります。ひとつは、1本の茎に1輪の花が咲くスタンダードタイプ、もう1つは茎が分かれて花が複数付くスプレータイプです。それぞれ10品種ずつを高付加価値品種として栽培すると共に、2010年にイギリスのデビッド・オースチン社とライセンス契約して、生産可能になったイングリッシュローズを9品種ほど栽培しています。イングリッシュローズは、うちを含めて国内では2カ所しかライセンス契約を結んでいないので、まだあまり知られていないバラです。

バラも作れば売れるという時代ではなくなってきたので「花屋の店頭販売用」、「ブライダル用」、「イングリッシュローズなどの高付加価値品種」の3本柱で、販路を考えたバラ作りに取り組んでいます。

夏に2カ月休ませることで美しい秋バラに

バラは1年中出荷しているのですか。

通年で出荷するほうが経営的には安定するのですが、7月下旬から9月中旬までの約2カ月間は出荷を休んでいます。人間も365日休まず働けば疲れてしまいます。バラも同じです。バラは高温多湿な日本の夏が苦手なので、無理をさせず秋からの出荷に向けて、夏は養生させています。

養生とはどんなことをしているのですか。

バラは切られると、それがストレスになります。うちでは一定期間は何も手を加えず、好き放題に伸ばしてやるんです。人間も大の字になって寝転ぶと気持ちがいいですよね。そうやって疲れを取った後、秋からの出荷に必要な体力をつけてあげると、9月からまたいい花を咲かせてくれます。

竜王町の豊かな水が育む健康的で美しいバラ

竜王町はバラ作りに適しているのですか。

日照時間が若干少ないので、最適とは言い難いです。滋賀県ではもう少し南の守山市などにバラの生産者がいるのですが、この町ではうちだけです。とはいえ、琵琶湖からもほどよい風が吹いてきますし、何より豊かな水脈はバラ栽培の生命線です。バラ栽培では1日に20トンから30トンもの水を使うのですが、すべて地下130メートルから汲み上げた湧水を利用しています。不純物が少ないので、バラにはいい影響を与えていると思います。

ハイラック方式で安定した品質のバラを生み出す

どのような栽培法を用いていますか。

現在のバラ栽培の主流は、「アーチング方式」という方法です。ハウスの中で、バラは2メートルを超えるほど大きく育ちます。そのバラを切って出荷するのですが、切る位置がいつも決まっているのが、アーチング方式です。それに対して、うちで採用しているのは「ハイラック方式」という方法です。

ハイラック方式は、バラの枝の太さや季節などその時の状況を総合的に判断し、切る位置を調整する方法です。一カ所で切り続けるとバラにストレスがかかるので、切る位置が変わるハイラック方式のほうが、バラへの負荷も少ないので、安定供給を目指す我々のバラ園には適している方法と言えます。

品質のよいバラは作れるのですが、切る場所が一定ではないため、スタッフには経験と専門的な知識が求められます。ハイラック方式でバラを育てているのは、全国の生産者でも多くありません。我々のバラ園では新しいスタッフには2年間はアーチング方式で採花してもらい、ハイラック方式の採花は、3年目以降のベテランスタッフに任せています。

バラの鮮度を保ち市場に運ぶための工夫

出荷用の花はいつ切るのでしょうか。

出荷のための採花は、水揚げのしやすい時間帯で、基本的には朝に行います。ガクが開きかけ、花びらも少し膨らんだくらいのものを選ぶようにしています。採花の方法も365日違います。季節や品種ごとの開花スピードに合わせてタイミングを調整し、花に負担がかからないように切っています。その後すぐに殺菌処理と栄養剤処理を施して、冷蔵庫に入れます。
それから、手作業で花を選別していきます。花や葉に傷みがないかなど、細かくチェックし、品質の良いものだけを出荷しています。

市場にはどうやって運ぶのですか。

花のボリュームに合わせて、1箱10本から30本入れて梱包します。バラは横に寝かせるのではなく、立てて出荷します。そのほうが、花や葉がつぶれたりせず、良い状態で出荷できるからです。箱の下に水を張った専用のバケツをセットし、そこにバラを立てて入れています。輸送中に蒸れないよう、箱に穴を開けて通気性にも配慮しています。

市場には、段ボールに詰められたバラが全国各地から続々と届きます。膨大な数の茶色い段ボール箱が並ぶなか、遠目からでも杉本ばら園のバラだとすぐに気づいてもらえるよう、白い化粧箱を利用しています。良いバラを作ることは基本ですが、欲しい人に確実に手にしてもらえるにはどうすればいいか。見た目のインパクトが大事だと思っています。

出荷用の箱で、差別化を図る。見落としがちですが、その差は一目瞭然です。細やかなところまで配慮することが、日本一と言われるバラを作り出す秘訣なのかもしれません。良いバラを作ることはもちろん、バラの品質を維持して市場に出荷し、欲しいと思う人の手元まで確実に届ける。一つ一つのプロセスを丁寧かつ大切にしている杉本さんの姿勢が、高く評価されるバラ作りに通じているのでしょう。

関連記事:「いいものを作れば売れる」時代ではない バラ園2代目がはじめた挑戦

杉本ばら園

http://sugimotobaraen.com/

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