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輸送が難しいラズベリー 鮮度を保ったまま消費者へ「ポストハーベスト学」最前線

輸送が難しいラズベリー 鮮度を保ったまま消費者へ「ポストハーベスト学」最前線

最終更新日:2017年12月14日

採れたてに近い品質のまま、消費者まで農産物を届ける技術を「ポストハーベストテクノロジー(収穫後技術)」といいます。その技術を裏付ける新しい学問体系がポストハーベスト学です。今回は、東京農業大学農学部農学科ポストハーベスト学研究室の教授であり、品質保持技術の開発を専門とする馬場正(ばばただし)さんに、ポストハーベスト学の最新事情についてお話をうかがいました。

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輸送が難しいといわれるラズベリー 鮮度を保ったまま消費者のもとへ

ポストハーベストテクノロジーが発達すると、どのようなメリットがあるのですか。

収穫時点では新鮮で商品としての価値がある農産物が、その後の流通過程で劣化が進み、商品性を喪失することをポストハーベストロス(収穫後損失)といいます。ポストハーベスト学が発達すれば、これらを減らし、より高い水準で品質を保持したまま消費者に届けることができるようになります。

例えば、ブロッコリーは呼吸が盛んに行われる野菜で、鮮度低下の激しい野菜のひとつです。その鮮度を保つために氷を使います。ブロッコリーを発泡スチロール箱にタテに並べて、上から氷を詰めます。氷がとけきるまでは、コールドチェーン(低温に保つ物流方式)が実現できます。この場合、低温で呼吸を抑えることで鮮度低下を防ぎます。

最新の研究について教えていただけますか。

今、研究に力を入れているのがラズベリーです。国産のラズベリーがイチゴのようにスーパーに並ぶのを夢見ています。実は、ラズベリーは傷みが早く、カビや身崩れなどを起こしやすいため、新鮮な状態を維持して輸送するのが難しい青果物です。これを品種開発、栽培技術、ポストハーベスト技術を総動員して鮮度を保ったまま届ける研究を進めています。

品種改良により、輸送に強い農作物を作ることも可能で、実際にアメリカ産には輸送耐性に優れた品種があります。しかし、日本産には流通に強い品種は存在しないため、収穫を早めて輸送中に熟させる方法、つまり味を犠牲にして輸送するしかないのが現状です。

栽培技術については、クリスマスシーズンに収穫する、摘芯処理についての研究結果も発表しています。ラズベリーはクリスマスケーキの飾り用として使われる12月末に最も需要が高いのですが、その時期に収穫できるように「摘心」という芽を摘む作業を夏場に行います。摘心によって開花時期が遅れるため、収穫も遅れ、通常栽培では収穫できない12月末に収穫が可能になります。

ポストハーベスト技術としては、高濃度二酸化炭素処理があります。これは、輸送前に高濃度の二酸化炭素に数時間暴露させることで、果実を硬くしてから輸送する技術です。

当研究室では、収穫用のハサミも業者とともに共同開発しました。このハサミを使うと、果実に触らずに収穫できるため、収穫に伴う果実の傷みを最小限に抑えられます。また、芯がついたままの状態でラズベリー果実を収穫できるので、輸送時の傷みも少なくなります。

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