IoTを活用して外国人旅行者をおもてなし
「おもてなしプラットフォーム」は、本人同意の下、利用者の情報が全国各地で共有、連携されます。訪日外国人旅行者は一度登録することで、様々な地域で飲食、宿泊、レジャーなど、自分の条件に合ったサービスが受けられます。2016年10月より、関東、関西、九州で実証事業が始まり、経済産業省は2020年の社会実装を目標としています。
岩手県三陸エリアは、東日本大震災での津波の影響で観光客数が減少し、現在もまだ震災前の水準には回復していません。三陸沿岸地域で観光客数増加のための課題として掲げられているのが、次の4つです。
・地域資源の活用
・情報発信と誘客活動
・地域受け入れ体制の整備
・インバウンド対応
この4つの解決に取り組むために構築されたのが「三陸おもてなしステーション」です。これは「おもてなしプラットフォーム」を活用した取り組みで、利用者は「おもてなしプラットフォーム」のウェブサイトから「三陸おもてなしステーション」にアクセスが可能です。
8月22日から三陸鉄道の主要駅を拠点とした実証実験をスタートし、国内外の旅行客、特に訪日外国人旅行客を増加させることを目的に、2020年の本格運用を目指しています。
「三陸おもてなしステーション」実証実験の詳細
三陸おもてなしステーションには、次の7つのサービスが用意されています。
地域体験サービス
農家が作物の収穫体験を提供したり、暮らしや体験などを提供するホストと、非日常の体験をしたいと思うゲストをつなぐサービス「TABICA(たびか)」。そのインバウンド観光客向けサイトが「WOW! JAPAN Experience+(ワウ!ジャパンエクスペリエンス+)」です。「日本の達人、職人が提供する“文化体験プログラム”」をコンセプトに、地域ならではのユニークな体験を提供します。
わかめ漁師に弟子入り体験(体験料金10,100円 ※大人子供同一)や、三陸鉄道車両で行われる車掌体験(体験料金10,800円)などの日帰り観光体験ができます。

(左)わかめ漁師に弟子入り体験、(右)三陸鉄道車両で車掌体験
ゲストには英語が話せるコーディネーターが同行するため、英会話の能力に関わらず、サービスを提供している地域の方が案内人となることができます。観光客は旅行日と目的地を入力するだけで、自分のスケジュールに合った体験を探して参加することができます。
現地観光アプリ
「おもてなしプラットフォーム」のウェブサイトから、観光アプリケーション「三陸おもてなしステーション」をダウンロードして、自分のスマートフォンにインストールできます。観光情報を見るだけではなく、アプリ内での決済や現地に設置されたロボットとの通信ができるため、便利にお得な情報を取得することができます。
ECサイト
三陸地域は海産物、野菜、果物はもちろん、地元の人に長く愛され続けているおいしい食べ物や、素晴らしい伝統工芸品があります。三陸地域の文化や伝統を生産者のもとから直接届ける、地域密着型インターネットショッピングモール「三陸まるごと市」で購入ができます。
モバイル決済
モバイル決済には様々な方式がありますが、日本の「はんこ」文化をモチーフに、ユニークな決済方法を実現しました。対象店舗で買い物をした際に、「三陸おもてなしステーション」のアプリを提示すると、店舗はスマートフォンに電子スタンプを押して、決済が完了します。外国人観光客が日本の「はんこ」文化が体験できるユニークな仕掛けが設けられています。
Free Wi-Fi(フリーワイファイ)
駅売店内にWi-Fiスポットを設置。商品を購入するとWi-Fi接続チケットが入手でき、無料でWi-Fiを利用することができます。
※対象駅:久慈駅・宮古駅・釜石駅・盛駅 各駅売店
ロボット駅員
久慈駅と釜石駅にいるロボット駅員が切符の買い方から観光情報、また駅での困ったことに対応したり、楽しいゲーム機能も搭載しています。
シェアサイクル
アプリで登録するだけで、手軽に自転車を借りられるシェアサイクル「COGICOGI(こぎこぎ)」が利用できます。電動アシスト自転車なので、楽に移動できます。
訪日外国人の旅行目的は、日本を代表する有名な観光地を巡ることから、日本の暮らしや文化に触れる体験型に移り、地方を訪れる旅行者が増えています。「三陸おもてなしステーション」も、そうした流れをより高めていくものと期待できます。
参考記事:農家が「農業体験を提供」体験型シェアリングサービス「TABICA」とは
おもてなしプラットフォーム
http://miqip-info.jp/business/
三陸おもてなしステーション
https://sanriku-omotenashi.pluszone.jp/pr/