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定住した5人に1人が農業関連の職へ「地域おこし協力隊」から就農を考える

定住した5人に1人が農業関連の職へ「地域おこし協力隊」から就農を考える

新規就農を希望する方の選択肢の一つに、「地域おこし協力隊」制度があります。地域おこし協力隊とは、ある地域に一定期間移住し、地域活性化の支援を行いながら、最終的にその地域へ定住を目指す制度で、総務省が実施しています。実際、地域おこし協力隊となり、就農した方はどのくらいいるのでしょうか。また任期中はどのような活動を行い、任期後はどのように地域で暮らしていくのでしょうか。今回は、総務省の地域力創造グループ地域自立応援課の課長補佐、中井孝一(なかいこういち)さんと、総務事務官、楠佑介(くすゆうすけ)さんにお話をうかがいました。

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地域おこし協力隊員とは 定住した5人に1人が就農

地域おこし協力隊の活動内容は地域によって異なり、地域文化の振興や教育活動、福祉など多岐にわたります。隊員は、自分の興味がある活動内容を行っている自治体に応募し、方針や条件が折り合えば、その地域に移住し1年間から3年間活動することになります。

地域おこし協力隊は、農業に特化した制度というわけではありませんが、農業に関する募集も多くあります。地域おこし協力隊員に対して行われた調査で、任期後に同一市町村に定住している人の、およそ5人に1人が就農しています(※1)。

農業従事者のみならず、地域ブランドの開発やPRを担う人材を求める自治体も多いそうです。

「地域の方は隊員に対して、自分たちにはないスキルや視点を活動の中で活かしてくれることを期待しています。現在、赴任中の隊員には地域ブランドのパッケージデザインを行っているデザイナーや、地元の特産品を使った工芸品作りをしているアーティストもいます」(楠さん)。

地域おこし協力隊のその後は 定住は約6割

地域おこし協力隊の任期後に、その地域に定住している人は約6割となります。さらに、平成25年に定住した人の大多数(98%)は、2年後の平成27年にも同じ地域に住み続けているというデータもあります(※1)。

このように、一定の成果が得られるのは地域に溶け込んで活動を行うため、任期終了後の暮らしが具体的にイメージしやすいからだと考えられます。また任期中は、自治体から報酬が支払われ「サポートデスク」で相談に乗ってもらえるので、安心して任期後の生活の準備が出来るのもポイントです。

「サポートデスクでは、専門の相談員が対面や電話、メールで相談を受け、効果的なアドバイスを提供しています。相談員には協力隊の先輩もいます。経験がある人だから理解できる悩みもあるので、彼らの協力は本当にありがたいですね」(楠さん)。

地域おこし協力隊の事例1:有機農業農家で研修中の隊員(大分県臼杵市)

地域おこし協力隊の制度を利用して、就農を希望している方はどのような活動をしているのでしょうか。

大分県臼杵市の隊員、山崎誠(やまざきまこと)さんは、有機農業農家を志しており、技術や知識を得られる場を探していました。その中で、有機農業に特化した取り組みを行っている臼杵市が、地域おこし協力隊の募集をしていることを知りました。

臼杵市は「安心安全な農作物を消費者に届ける」という思いから、平成22年に「臼杵市土づくりセンター」を設立するなど、市を挙げて有機農業に注力しています。センターでは草木8割、豚糞2割を主原料とした自然の土に近い堆肥「うすき夢堆肥」の製造も行っています。

化学肥料を使わず、うすき夢堆肥など完熟堆肥で栽培された作物を「ほんまもん農産物」として認証し、ブランド化して販売する取り組みも始めたそうです。

こうした取り組みに共感した山崎さんは、臼杵市の地域おこし協力隊として移住し、現在は有機農家のもとで研修に励んでいます。また、県内外のイベントで「ほんまもん農作物」の販売やPR活動を行ったり、小学校の食育授業に参加するなど、有機農業の技術や知識を習得しながら幅広い活動をしています。

地域おこし協力隊の事例2:任期後に定住した隊員(鹿児島県種子島)

地域おこし協力隊の任期を終え、定住を決めた人もいます。

鹿児島県西之表市(にしのおもてし)に赴任した遠藤裕未(えんどうひろみ)さんは、任期中に「一般社団法人なかわり生姜山農園」を立ち上げました。農園は、種子島北部にある西之表市の南端、中割校区にある「生姜山」と呼ばれる集落の中にあります。

遠藤さんは現在も同農園の事務局長として活動しており、化学肥料を使わない生姜の栽培や、生姜を使った商品の開発、販売などを行っています。

さらに、平成27年10月には生姜を使った農園カフェ&レストラン「Ginger Village(ジンジャーヴィレッジ)」をオープン。設立当初から掲げている「農薬や化学肥料を使わない持続可能な栽培」という理念を守りながら、日本一おいしい生姜作りを目指しています。

地域おこし協力隊の情報収集なら「移住・交流情報ガーデン」へ

このように、地域おこし協力隊として活動しながら夢を叶えようとする人たちがたくさんいます。多くの方の活動内容や、各自治体の募集内容を知りたい方は、東京駅の八重洲口から徒歩約4分の場所にある「移住・交流情報ガーデン」を訪れてみてはいかがでしょうか。

全国各地の自治体から集めた移住、交流に関する資料が取り揃えられており、地域おこし協力隊の情報も充実しています。また、移住、交流に関する相談を直接できる窓口も設置されており、情報提供から相談までワンストップで対応してくれます。

「厚生労働省や農林水産省など、各府省とも連携してサポートしています。就農相談員もいますので、お気軽にご相談ください」(中井さん)。

自分の夢を叶えながら、地域活性化に貢献できるのが地域おこし協力隊の魅力です。長期間その地で働きながら暮らし、ゆくゆくは定住を目指します。興味のある方は、応募前にセミナーや相談窓口を利用して、しっかり情報収集をして臨みましょう。

地域おこし協力隊

https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/
地域おこし協力隊Facebookページ
http://www.facebook.com/chiikiokoshikyouryokutai/
地域おこし協力隊合同募集セミナーは随時開催されています。最新の日程や内容は、地域おこし協力隊ホームページでご確認ください。

画像提供:総務省
※1 平成27年度 地域おこし協力隊員の定住状況等に関する調査結果
http://www.soumu.go.jp/main_content/000376274.pdf

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