地域と共生 女性農業家が営む「はのさち農園」 – マイナビ農業

マイナビ農業TOP > 生産者の試み > 地域と共生 女性農業家が営む「はのさち農園」

生産者の試み

地域と共生 女性農業家が営む「はのさち農園」

地域と共生 女性農業家が営む「はのさち農園」

2017年10月04日

富士山麓の豊かな水と自然に恵まれた山梨県都留市に、「はのさち農園」はあります。年間50種以上の野菜を栽培し、専業農家として全てを一人でこなしている羽野幸(はのさち)さんに、野菜作りや農業のこだわりをお聞きしました。

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

山あいの地に豊かな田畑が広がる都留の田園風景

羽野幸さん略歴

・山梨県都留市在住
・2012年4月に独立就農。「はのさち農園」を営む
・8.7反の田畑で、米や野菜を栽培
・作物は個人宅やレストラン、スーパーなどに直接販売

お客様のニーズに応えた少量多品目栽培

現在、田畑は8.7反。少量多品目で50種~60種の野菜と米を作って販売しています。野菜は、トマトやナス、オクラ、ピーマン、カラシナなどを栽培しています。

個人向けの野菜セットには、食べ慣れているものから珍しいものまで入っています

個人のお客様向けに販売している「野菜セット」には、8種類から10種類の旬の野菜を詰め合わせてお送りしているので、似たようなものばかりにならないよう、バリエーションには気を遣います。食べ慣れている馴染みのある野菜の他に、流行っている野菜やちょっと変わり種も交えて、と考えていると自然と多品目になるのです。

都留市は山あいの町なので、農地に適した広い農地はあまりなく、1枚当たりの面積が小さいのが特長です。私の畑は、山の中や自宅から少し離れたところにあるので、毎日移動しながら畑を見ています。

苗作りから配達までを一人でこなす

はのさち農園は、私一人で運営しているので苗作りから始めて、植え付け、草刈り、収穫まですべて自分で行います。収穫期である夏から秋は、配達や発送もあるので、特に忙しいです。朝は午前4時前に起き、日が暮れるまで作業が続きます。

雪化粧をした都留市の田園風景 冬の寒さは厳しい

都留市は12月に入ると朝は氷点下まで気温が下がります。そのため、出荷は大晦日で終了しますが、1月の下旬には苗作りの準備が始まります。忙しいですし、大変なこともありますが、やっぱり大好きな都留で自然に囲まれて仕事ができるのは楽しいです。

採れた野菜は、すべて直接販売しています。個人通販や宅配、自然食レストランや地元のスーパーが主なお客様で、顔を知っている人がほとんどです。私の野菜作りへの考え方や、取り組みに共感してくださる方が少しずつ増えて今に至っています。

農薬と化学肥料を使わない安心な野菜を届けたい

はのさち農園で収穫されたジャガイモ。農薬や化学肥料を使わずに育てられます

野菜作りのこだわりは、農薬と化学肥料を使わないこと。野菜と向き合って、農作物の力を引きだすお手伝いをするのが私の仕事です。タイミングを見計らい、植え付けや収穫などベストな判断ができれば、農薬や化学肥料を使わなくても作物は育ちます。その分、成長はゆっくりですが、安心できる野菜を届けたいという思いを大切にしています。

肥料は油かす、米ぬかなど自然なものを使用していますが、いずれは肥料も入れず、土の力だけで野菜を育てる方向に切り替えているところです。私の畑は赤土質のところが多いのですが、場所によって土の持つ力や性質が異なるのを感じています。土と野菜の状態を見ながら、余計なものを入れずに作れるよう、現在は勉強しながら模索しているところです。

自家採種で都留の地に合った野菜を育てる

発根したナスの種。2017年は固定種と自家採種を併用しています。ナスにおいては、来年は全て自家採種に切り替える予定

もうひとつのこだわりが種です。現在、はのさち農園では50種以上の野菜を育てていますが、今年はそのうち、40種程度を固定種と自家採種した種で育てています。いずれは自分で全ての作物の種を採りたいと思っていますが、まずは採種(次回の栽培のために植物の種をとること)しやすい品目から始めています。

形や大きさの揃った作物が収穫できるよう、品種改良を行ったF1の種(交配によって作られた新品種の1代目)は、大規模農業には適していますし、今の日本の農業人口を考えると、必要なものだと思います。ですが、はのさち農園では少しずつ種を採りながら、都留の土地に合うものを育てていけたらと思っています。

とはいえ、採種には技術も必要ですし、種を採るために畑を片付けられない(※)ので、収穫効率が下がる可能性もあります。勉強しながら少しずつ種類を増やしていっています。

(※)畑を片付ける:畑を何も植えていない状態にすること

やりたい農業をやるには地域との共生が必須

田植え体験の様子。地元や母校から参加者が集いました

農業は、地域によって土も気候も違う、自然を相手にする仕事です。さらに、人によって様々な考え方があるため、100人農家がいれば、100通りのスタイルがあります。それが難しくもあり、楽しいところではないでしょうか。

これから農業を始めたいという方は、おそらくご自分のやりたい農業スタイルや作り方があると思うのですが、まずはそれを地域の方に受け入れてもらえる環境作りを重視すると良いと思います。

特に、農薬や化学肥料を使わないやり方はまだ少数派なので、地域によっては受け入れられない場合もあるかもしれません。その時、自分のやり方を押し通すのではなく、例えばマメに農道の草刈りをするなど、受け入れてもらう姿勢が大切です。代々受け継がれてきた大事な土地をお借りしている立場だということを忘れなければ、きっとお互いにとって良い方法が見つかると思います。

ワークショップや農業体験で地域に恩返し

忙しい合間を縫って、ワークショップや農業体験などの活動にも精力的に取り組んでいる羽野さん。土や自然に親しむ人を増やしたい、と始めた活動は、地元都留市への恩返しにもなっています。地域との共生は、農業に従事する人全てが心に留めておくべきことの一つではないでしょうか。

関連記事:20代で就農 山梨県の女性専業農業家【ファーマーズファイル:羽野幸】

はのさち農園

https://sachihano.jimdo.com/
写真提供:はのさち農園

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

カテゴリー一覧